幸福な遊戯 角川文庫

角田光代

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784043726011
ISBN 10 : 4043726015
フォーマット
出版社
発行年月
2003年11月
日本
追加情報
:
15cm,221p

内容詳細

ハルオと立人と私。恋人でもなく家族でもない三人が始めた共同生活。この生活の唯一の禁止事項は「同居人同士の不純異性行為」―本当の家族が壊れてしまった私にとって、ここでの生活は奇妙に温かくて幸せなものだった。いつまでも、この居心地いい空間に浸っていたかったのに…。表題作「幸福な遊戯」(「海燕」新人文学賞受賞作)の他、2編を収録。今もっとも注目を集める作家、角田光代の原点がここにある。記念碑的デビュー作、待望の文庫化。

【著者紹介】
角田光代 : 1967年神奈川県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。90年「幸福な遊戯」で「海燕」新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、98年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、『キッドナップ・ツアー』で99年産経児童出版文化賞フジテレビ賞、2000年路傍の石文学賞を受賞。2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

ユーザーレビュー

総合評価

★
★
★
★
★

5.0

★
★
★
★
★
 
1
★
★
★
★
☆
 
0
★
★
★
☆
☆
 
0
★
★
☆
☆
☆
 
0
★
☆
☆
☆
☆
 
0
★
★
★
★
★
この行間から溢れかえる喪失感は何なのでし...

投稿日:2021/04/17 (土)

この行間から溢れかえる喪失感は何なのでしょう?  話自体は恋人でもない男女三人が一つ屋根の下に住んでいるというオーソドックスなもので(経験上、こういう場合、女はどっちかとやっている場合が多い)、特に新鮮味はない。ちょうど、九十年代初頭にはこういうフリーターははいて捨てるほどいた。  なのに、こう、チクチク痛む読後感だ。  それはこの先の三人の行方が決して幸せとよべるものではないからなのかもしれない。事実、「自分探し」のなれの果ての三十代中後半を見れば一目瞭然だ。もしかしたら著者はそういう時代を読んでいたのか?  もしこれが著者のただのひらめきであるとするなら何でもないが、故意だとすればとんでもない才能である。

boggie999 さん | 神奈川県 | 不明

0

読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

powered by

  • ヴェネツィア さん

    表題作を含む3つの中篇小説からなる。「幸福な遊戯」は、角田光代氏のデビュー作。文体は生硬さが残るが、作品の文学としての"純"度はむしろ高い。「海燕」新人文学賞も当然か。語り手のサトコには、疑似家族以外に何もない。したがってそれが崩壊した時、彼女は自身のアイデンティティを喪失する。しかもそれは築かれた当初からきわめて脆弱であったのだ。自分自身が何者であるかもわからず、当然ながら先行きに方向性もない。それは、この時期の角田氏そのものの姿であったのかも知れない。

  • さてさて さん

    『何がどこで間違ってしまったのだろう。どこで糸はねじれてしまったのだろう』。1991年に角田さんのデビュー作として刊行されたこの作品。そこには、デビュー作からすでに角田さんらしい主人公の女性達の不安定な心持ちが描かれていました。現実から目を逸らすかのように今の何かしらの『幸せ』に心を向けていく彼女達。30年も前の作品にもかかわらず時代をあまり感じさせないことに驚くこの作品。女性ならではの繊細な心の機微の描写に魅了されるこの作品。『幸福』とはなんだろう、改めて考えるきっかけを与えてくれる、そんな作品でした。

  • ミカママ さん

    初期の作品らしい、とは思いましたが、まさかこれがデビュー作とは。なるほどそれで、文章が少し硬い感じだったのね。そして主人公の女性たちも、あまりに不思議キャラ。読んでる最中で何度もこれは「ばななさん」作品かと。(笑) 大好きな角田さん作品、これからも読み続けていきます。

  • おいしゃん さん

    角田光代デビュー作を含む3編。どれも他作にも出てくる「がらんどう」な心、存在がテーマ。デビューからぶれない軸を持っていること、そして何より文章力の高さに改めて感服。それにしても特に「無愁天使」などは、芥川賞を狙ったのでは?と思うような、狂気も含む不思議な世界観。

  • masa さん

    このバランスは長くは続かないだろうと絶頂期にぼんやり思う。そこから後はもう、常に肌で感じているのに頭が理解を拒んでいるだけの状態になる。どうやっても無理だとわかっていながら、必死に今を繋ぎとめようとする僕の言葉は、まるで他人の台詞みたいな響きで耳に流れてくる。実のところ、どうするのが最も合理的だったり、道徳的だったりするのか、そんな判断など不可能だ。正気でいられないほどの激しい寂しさと孤独。抜け出したくて己や他人の死に焦がれ、安易に死を想うことに嫌悪する。幾度も輪廻する絶望と仄かに漂う希望。再出発の物語。

レビューをもっと見る

(外部サイト)に移動します

角田光代に関連するトピックス

  • 映画『愛がなんだ』Blu-ray&DVD 2019年10月25日発売 角田光代のみずみずしくも濃密な片思い小説を、“正解のない恋の形”を模索し続ける恋愛映画の旗手、今泉力哉監督が見事に映... HMV&BOOKS online|2019年08月06日 (火) 12:30
    映画『愛がなんだ』Blu-ray&DVD 2019年10月25日発売
  • 角田光代&堀江敏幸の連載を書籍化 二人の人気作家がこれまで手にした小説、絵本、詩集、料理本に登場する「食」を、100篇のエッセイとしてまとめた『私的読... HMV&BOOKS online|2015年11月20日 (金) 19:05
    角田光代&堀江敏幸の連載を書籍化
  • 角田光代の珠玉のエッセイ集 愛すべき、私たちのしょっぱい日常。恋愛の苦み、読書の深み、暮らしの滋味…膝を打ちたい気分で人生のあれこれを語ったエッ... HMV&BOOKS online|2015年06月16日 (火) 14:09
    角田光代の珠玉のエッセイ集

文芸 に関連する商品情報

おすすめの商品