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雲谷斎 さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2012/11/09

    ずいぶん前に満点レヴューを書いたが、すでに失効になったらしいので、これから耳にするかもしれない方に向けて、再度書かせてもらいたい。というのも、このアルバムはそれほどすばらしいからだ。最初は60年代にLPで発売され、以降もう半世紀の間、現役盤として聞き継がれてきたことになる。ジョニー・ソマーズで何か1枚と言われれば、これをあげたい。ボサノヴァの帝王、ローリンド・アルメイダがプロデュースして実現した録音だが、このアルバムではアルメイダは黒子に徹しており、ヴォーカルを重視した音づくり。そのボサノヴァの伴奏も実に品のいい雰囲気を醸し出し、さながら高級ホテルの夜更けのバーでいい酒を手に聴く心地よさ。もともとハスキーな声質の彼女だが、その歌がこんなに人をしびれさせるというのもこの盤を置いてはないだろう。夜のしじまに彼女の吐息すら感じられる歌が次々と流れていく。

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     2012/11/09

    イギリスの超廉価優秀録音盤、ONE DAY MUSICの往年の名レーベルSTORY企画のなかでも、このLONDON AMERICANシリーズは破格の充実ぶりだ。なにしろ1956年から61年までの6年分が各2枚組(50曲)、計300曲が聞けるというのだから、ヤワな日本のオールディズCDなど、足元にも及ばない。全部を紹介するわけにもいかないので、この60年盤を引き合いに出すと、Everly Brothers,Ricky Nelson,Eddie Cochran,Bobby Darin,Anita Bryant,Johnny Tillotson,Johnny Burnetteなどというビッグ・シンガーの歌が次々と登場。さては、Larry VerneのMr Custerなどという、最も知名度の低い(それだけに入手困難な)ビルボード・トップチャート曲まで忍ばせていて、魅力、聞き応えとも十分。そうか、イギリスでは彼らのヒット曲はロンドン・レーベルで発売されていたのかと改めて気づかされ、このレーベルのすごさを今さらながら感じ入る次第。モノラルながら録音は最高水準。価格も2枚組で千円以内というありがたさ。これ以上のコストパフォーマンスのいいオールディズ名盤を探すのは今のところ無理ではなかろうか。

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     2012/10/27

     ミミー・ロマンといえば、そう「恋の条件反射」。1960年代初頭に発売されたたった1枚のこのEPで彼女のファンになったポップス・ファンは数知れない。それにもう1枚、ワーナーから出た「ジョニー・ウィル」(パット・ブーンの「ジョニーのまごころ」のカバー盤)のしびれるようなリズム感も忘れがたい。このたった2曲を聞いたがために、以来半世紀にわたって彼女のアルバムを探し求めるはめになった。ホントに無駄な試み…!
     ところが、今年の夏にドイツのBEAR FAMILYから彼女のアルバム(25曲)が発売されたことを知った。まさか!にわかには信じられなかったが、手許に届いたのだから本当だった。あまりにありがたくて、すぐには聞けなかったほどだ。このアルバムの25曲は彼女がカントリー・シンガーとして活躍していた50年代半ばのごく短い期間の録音集成である。このCDで初復刻の曲も4曲含まれていて、この4曲はポップスの雰囲気が漂う。アルバムのほとんどの曲はカントリーであり、またそれだからこそBEAR FAMILYはCD化したのだろうが、彼女のカントリーはどこかポップス調であり、ポップスはカントリーの雰囲気濃厚である。それが25曲も聞けるのであるから、日本独自のヒットである「恋の条件反射」や「ジョニー・ウィル」が収録されていなくても彼女の明るい、はずんだ声を堪能するには不足はない。 それに、同封されている貴重な写真満載の解説ブックレット(英語)の立派で読み応えのあることといったら!彼女の全ディスコグラフィーも完璧である。歌手としても、音楽のみならず、このような立派な解説がついたアルバムが残せたら本望であろう。ドイツ人の気質なのであろうか、ここまでやるか!という思いに音楽だけにとどまらない刺激を受けるに十分なCDだった。




     

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     2012/10/24

    実は、このCDを聞いてみたいと思ったのは交響曲もさることながら、4曲の序曲が収められていたからだった。シューマンの序曲はドイツ音楽の魂のような作品ばかりなのだが、どうしたわけかそれを集めたCDは録音がほとんどない。ヴィルトナー指揮のポーランド国立放響盤(7曲収録)が唯一の比較盤となった。ヤルヴィはシューマンの序曲をとても高く評価していて、その想いは「マンフレッド」の導入部に見事に彫琢されている。この部分を聞いただけでもただごとではないという雰囲気に包まれる。こんなシューマンの演奏もあったのかという驚き!研ぎ澄まされた刃物で音符を切り込んでいくような迫力!今までまったく耳にしたことのないシューマンの世界だった。交響曲第2番も同様の切り口だ。クレンペラー盤の茫洋としたシューマン解釈とは対極に立つキリリとした謳い口。それでいて、もちろんシューマンの曲がもつリリシズムをないがしろにするようなこともない。実に驚くべき技の冴えだ。もうシューマンの2番はこの演奏があればいいではないか、といいたいところなのだが、残念ながらそうともいえない。いちばん気になったのは、シューマンの管弦楽演奏に不可欠な音のふくよかさや厚みに欠けていることだった。これは俊敏な技の冴えと裏腹の関係にあるのかもしれず、それをもってこの演奏を評価するのはまちがいなのかもしれないが、ただ、全曲を聞き終えたところで、ヴィルトナー盤の序曲やサヴァリッシュ(=SKD)の2番を聞き返したくなったのも事実である。私にはそれらの演奏の方がシューマンらしく感じられる。

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     2012/09/28

    バスクに行くというので、関係する音楽作品をまとめて聞いてみたが、そのなかでこれは出色の1枚であった。全21曲の「バスクの前奏曲」を聞いて、これがスペイン音楽だという人はいないであろう。フランス・ロマン派のピアノ曲集、それもシャミナードなどのサロン音楽の粋に通じる曲想だ。前奏曲集といえばショパンやドビュッシーの傑作を思い出すが、それに匹敵するとまでは言わないものの、このドノスティアの作品はもっと評価されても然るべき充実した内容のものだ。ちなみにドノスティアというのはバスクの美食の街サン・セバスティアンのバスク語読みであって、最初このCDを手にしたときには人名なのかとまどってしまった。それほどバスクばりばりの作曲家であるらしい。この佳曲集をマソが情感たっぷりに弾きあげていて、聞き応えも申し分ない。聞いていると、バスクはスペインであっても、その心はスペインでないことを否応なく教えられる。「前奏曲」のほかに9曲もの小品が録音されていて、これらもまた滋味豊かでよくできた曲ばかりである。ところで、この「前奏曲」のうち第1曲(即興曲)では「白地に赤く日の丸染めて」のメロディが、また第15曲(涙)では「箱根の山は天下の険」とおぼしきメロディが出てくる。これはどういう符合なのか、いろいろ調べてみたが、よくわからなかった。どなたか、識者の方のご教示をいただければ幸いです。それはともあれ、バスクのメロディは日本にも通じるものがあるのだと不思議な思いをもって79分近くを聞きとおした。

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     2012/09/26

    驚いた!3枚組60曲収録のこの値段もさることながら、音の新鮮さにまず脱帽。曲の多くは50年代末期から60年代初期にかけての名曲だが、同一曲の他の盤(LPも含めて)との比較でも、この録音は瞠目に値するすばらしさだ。加えて、選曲のにくたらしさ。今では入手困難な曲もさりげなく含まれていて、日本で発売される「なんとかOldies」などというくだらないCDとは比較にならないすぐれたチョイスだ。まったく感激もの。50年もポップスと付き合ってきて、これほど出来のいいのコンピレーションCDにははじめて出会ったといってもいい。幸い、このレーベルは収録曲目がすべて明示されているから、2、3曲聞きたい曲があったら迷わず買うことをお勧めする。それで十分モトが取れるし、聞きすすむうちに、あなたもこのCDのとりこになることは必定。発売元の ONEDAYMUSIC には SUMMER のみならず、他のシーズンも企画してほしいと切望しておきたい。

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     2012/09/25

    2005年のSKDといえば、ベルリンの壁崩壊後すでに15年以上経ち、ようやく新たな環境での活動が地に着いた時期である。あまり多くないSKDのマーラー、70年代最盛期のSKDに比べての音色如何、といくつかの興味があって聞いてみたが、すべてに満足というわけにはいかなかった。演奏それ自体は実にけれん味のない明晰、剛直なもので、ハイティンクのめざすマーラー像がよく彫琢されていて好感がもてる。加えて、怒涛のような音のうねりが曲のダイナミズムをいやがうえにも高める。静謐を基調とした解釈(とりわけ前半)がかなり長く続く分、このコントラストは効き目十分である。折り目正しい激昂とでもいった巨匠の風格がハイティンクに感じられるようになってきたのは嬉しいことだ。ただ、この録音には問題が多いことも指摘しなければならない。なにより、管(打も含め)と弦とのバランスが悪い。管の音圧に録音レベルのピークを設定するのは当然であろうが、当盤では、それに比して弦のpやpp(場合によってはmp)まで、聞こえるか聞こえないぐらいまで音量は減衰してしまっている。まさに「マラ3マニア」さんが嘆かれるとおりなのである。だが、いうまでもなく、この曲は大部分がpやppを基調に構成されている。それががよく聞き取れないというのであれば、録音としては瑕疵があるといわざるをえない。Profileから出るSKDのライブは多くがその本拠地であるSenper Operを会場とするもので、これもそうなのであろう(60nにわたる立派な解説に、なぜかただの1行も会場の記載がないが、写真から判断すれば)。私はこの会場でのProfileのSKDライブ録音にはかねがね不信を抱いていて、なるべく買わないようにしていた。ところが先年、この会場でのライブ録音であるポリーニ、ティーレマンのブラームス、ピアノ協奏曲第1番がDGから発売され、ついそれを購入して憤慨に耐えない目に会ってしまった。レーベルが違えば録音も違うだろうという考えが甘かったのである。そのCDはこのマーラーもどきの話ではなかった。海賊盤まがいの曖昧模糊とした、よく聞き取れないオケの音しか刻まれていなかったのである(ところが、これが『レコード芸術』誌では93点の録音評だったので、私も同誌で反論した次第)。それはそれとして、このせっかく力演のマーラーを聞きづらいものにしたのは、Senper Operのマイク・セッティングにあることはまちがいない。それでなければ、管の強奏がやたら目立ち(狂騒に近い)、弦とのバランスを著しく欠くなどという録音にはならないはずなのである。先に述べたDG盤も弦の録音がひどすぎるがための失敗作だったことからすれば、この会場のマイク・セッティングのおかしさに気づかない録音スタッフには何を言っても無意味だろうという失望感が残るだけである。かれこれ40年来SKDの録音を聴き続けてきて、ルカ教会での残響を絶妙にSKDの音色に溶け込ませていたEMIの70年代名録音の数々が耳に残っている世代からすれば、SKDもベルリンの壁崩壊を境に、それ以後はその時の音を再現させるのはむずかしい状況になっていたのだろうなと思わざるをえない録音であった。ときどき明瞭に聞こえる弦はさすがに一流と思わせる品とたたずまいを有してはいるが、まったりとしたコクと優雅さには達していない。これが70年代にはあったのだ。録音とも相まって、いまひとつその雰囲気に包まれるマーラーであったならば、この文句タラタラ爺いも星5つはためらわなかったのですよ。

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     2012/09/24

    ブラームスが生涯心血を注いだ合唱曲には昔から名演も多いのだが、代表作をまとめて聞くとなれば、案外探すのに苦労する。クレンペラー、ワルターの録音も交響曲や他の作品との併録である。LPのディーター・ハウシルト盤も6枚を引っ張り出すこととなる。もう少し、便利に聞くことはできないものかと探したのがこの1枚である。近年はCDにも競合盤があるにもかかわらず、なぜこの盤かと問われれば、指揮のアントニ・ヴィトへの信頼である。いくつかの他の曲で聞いた、地味ではあるが、けして本質を見失わない堅実さはブラームスの合唱曲演奏への絶対的必要条件である。その思いはこのCD収録6曲のどれを聞いても裏切られなかった。往年の巨匠の演奏のようなデモーニッシュな雰囲気とは別の、すがすがしいブラームスの合唱世界を楽しむことができる。ワルシャワ・フィルと合唱団もヴィトの意図をわきまえた好演である。ただ、惜しいかな、どの曲も同じ調子に聞こえてしまうのは、演奏のめりはりとコクにやや乏しいことに起因するかもしれない。

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     2012/03/22

    このCDのライナーの表現を引用すれば「度を超したほどのロマンティック」な演奏がジャッキー・グリースンの身上であり、彼はほどなくロカビリーが全米を席巻する世情のなかでもそのスタイルを崩すことはなかった。この54年リリースのLPは、数えきれないほどある彼のアルバムのなかでも絶対に忘れることのできない傑作というにふさわしい1枚。ゆったりしたストリングスに、グレン・ミラー楽団で名演を残したボビー・ハケットのトランペットがソフトに絡み、夜のしじまを哀感たっぷりに演出する。それにこのジャケット!これがLPなら申し分ないが、これほど静かな音楽をスクラッチを気にせず聴けるのはCDならでは。ジャケの小さいのも許してしまえそう。このCDはまさにムード音楽の歴史に残るLPを見事に蘇らせてくれた。大拍手!それに音だって、54年のLPだというのに立派なステレオ録音!あの頃のアメリカは本当に夢のような世界を創りあげていた。

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     2012/02/24

    ボロディンの2曲の弦楽四重奏曲はどちらも傑作で、これまでタカーチ四重奏団の演奏を至高として聞いてきたが、このフィッツウィリアムス四重奏団のCDはそれに匹敵するか、あるいはそれを凌ぐかもしれないすばらしい出来だ。これまで知らなかったことを恥じるばかり。ボロディンの弦楽四重奏曲は凛と張りつめた気高さがなければその美点は引き出せないが、かといって演奏に無駄な力が少しでも入ると、たちまち曲のもつ優美さが失われてしまうというデリケートさも併せもっている。この両者が融合しなければこの曲の名演にはなりえないが、フィッツウィリアムス四重奏団の演奏はその条件をみごとに備えている。録音の優秀さとも相まって、ボロディンの弦楽四重奏曲の一、二を競う名演の初CD化に拍手をしたい。

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     2011/12/16

    当時、この日本公演をテレビで見て感激した記憶がある。これによってオペラのすばらしさを知った。それが再現されているこのDVDが悪かろうはずがない。演出の都合によるカットもないし、この歌劇の最も正統的な舞台を堪能することができる。それにクラウス、ギャウロフ、スコットらの心搏の演技と歌唱。ギャウロフの「金の子牛の歌」など鳥肌が立つほどの風格。それに当時のN響のうまさ。技術というよりエチュアンに率いられた必死さ、ひたむきさが伝わる。ただひとつ残念なのはこの当時にあってモノラル録音であること。その経緯については解説があるが、技術陣としてはさぞ悔しい思いであったろう。これがステレオなら文句なく★6つである。とはいえ、もっと残念なこともあって、それは、いまだにこのDVDを超える「ファウスト」の上演を視聴することができないことである。つまり、もう40年もこれを超える「ファウスト」は、少なくとも情報的には発信されていないのである!では、これから先は?芸術の革新とやらを標榜して、その実、自己満足を押し付けるだけの舞台演出家が跋扈する昨今のオペラ事情からすれば、もう将来はないであろう。と、そんなことまで考えさせられるのがこのDVDである。

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     2011/12/16

    Connie Stevensの歌を聞くにはLP時代にベスト盤があったのだが、今ではCDリストにも見当たらないから、36曲収録のこのCDは独特の甘ったるい歌い方で60年代前半に大人気を博した彼女のファンには待望の復刻だろう。LPではステレオ録音されていた数曲もこのCDでは1曲(Kookie,Kookie)を除いてシングル盤再生にこだわったモノラル録音。ただし、編集・録音には RHINOが関わっていて、50年前のものとは思えない、文句のないすばらしい音。もともとConnie Stevensは当時の人気美人女優で、歌はいってみれば余技。日本でいえば山口百恵みたいな存在だが、百恵ちゃんよりはもう少し長じて歌っていたから、持ち前の舌っ足らずに色気が加わり、他の誰も真似のできないキュートさが売り物になった。ドイツ語で歌うわ、カントリーも歌うわで、そのどれもがファンの心をくすぐったのだから、歌い手も聞き手もまさにウィン、ウィン。Mr.Songwriterなんて、もう最高だもんね。あゝ、そんな時代がこの日本にもあったのでした。これは宝物みたいなCDです。

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     2011/12/16

    信じられない話だが、何とこれがジョニー・ソマーズ初のシングル盤ポップス全曲集。その昔 Johnny Get Angry の大ヒットに気をよくしたアルバムが発売されたこともあるが、これはあくまでも“間に合わせ”もので、以後いわゆる全集企画の発売はまったくなかった。60年代前半にリアルタイムで彼女の歌を聞き、ファンになったおじさんも今や初老の域にさしかかり、遅すぎるともいえる発売だが、ともあれ、彼女のシングル盤をこうしてまとめて聞けるのは幸せなことで、企画・編集者には感謝あるのみ。今もジャズ歌手として現役で活躍の彼女だが、往年のヒット曲集を出すのが面倒なことはよくわかる。というのも、ビルボード・チャート基準でみれば、100位以内が3曲(最高位7位)だけではCD編集は難しいだろうと思うからだ。もとより彼女はジャズ歌手をめざしていて、その合間にポップスも歌ったというタイプだったからチャート・ランク至上というわけでもなく、それがためにいわゆるベスト盤ポップス・シンガーのような売り出し方をレコード会社もためらったのだろう。このCDでも、え、これがジョニー・ソマーズ?という曲が何曲か聞けるが、それはジャズとポップスの狭間で試行錯誤をしていた時代の彼女の歌だと思えば、それもまた興味深い。全36曲すべてシングル盤にこだわったモノラル録音。もちろん、かなりの曲は今ではステレオ録音で聞けるが、モノラル録音にはEP盤を聞いたときの新鮮な思いを蘇らせるという魔術も含まれているようだ。RHINOが録音・編集にかかわっていて、さすがに重心の安定した聞きやすい音を復刻している。

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     2011/12/11

    バレンボイムは若い頃、クレンペラーの指揮でベートーヴェンの協奏曲を録音して注目を浴びたが、それから半世紀も過ぎようという今、自らがシェフを務めるSKBで再び巨匠のもとでソリストを務めた。その巨匠とはブレーズ、それに今回の曲目はリストだ。そのことからして興味津々、いったい誰がこのような顔合わせを可能にしたのか。ブレーズがリスト?よく引き受けたものだ、というびっくりから、そういえばバレンボイムはリストの協奏曲の録音はまだなかったな、という驚きまで、とにかく興味は尽きない。演奏はといえば、ブレーズは大きな楽譜を前にテンポを重視した堅実なオーケストラ・コントロールを心がけ、曲の機微、強弱の表現はバレンボイムに任せるという風。ところがこのバレンボイム、普段はこのオーケストラのシェフなのだから、ピアノに向かいながらもオケの方を向けばたちまち彼らがそれに反応するという具合で、端的に言えば、この演奏には指揮者が2人いるといってもいいかもしれない。ピアノ協奏曲第2番の、チェロや独奏楽器とピアノの掛け合いの部分など、その効果満点で、お見事の一言。しばしば派手な演奏=聞き応え、に通じていたリストのピアノ協奏曲(特に第1番)だったが、それだけが聴きどころではないということを教えてくれる1枚。この録音はリストのピアノ協奏曲の名盤として語り継がれるのではなかろうか。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/03

    ずいぶん前に買って時折聞いていたのだが、どう評価していいものか、ソマーズ・ファンとしても悩ましい1枚。ジョニー・ソマーズの声は絶好調だし、ハスキーの愛らしさは依然変わらず、それにトミー・オリヴァーの演奏にも文句なし、録音もすばらしいのだが、いかんせん曲の面白さがイマイチかなぁ。でも、ソマーズ・ファンなら持っていたいCDでしょう。

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