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Review List of 風信子 

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     2018/02/27

    ヴァイオリン独奏を前面に押し出す編曲を以って二つのコンチェルトの周囲に額縁のように当てられた小品三曲が耳を引きつける しっとりとした肌触りと絡みついてくるような気を放って大きく深い起伏を描いていく ブロコフィエフかバティアシュヴィリか判然としないもののその粘着気質を感じさせずにおかない 土臭いがほとばしる精気に圧倒される 好悪が分かれるだろう スマートさもメローさもいっ時顔を出すが綺麗事で終わらない ネゼ=セガンの共演も大いに物を言っている 独奏ヴァイオリン一人が桧舞台に立ってライトを浴びられるわけではないコンチェルトはユニークで面白い ソロがオーケストラと一体となって紡ぎ出す幻想性に富んだ音楽を愛せるかどうか 印象派以上に想像力を掻き立てる美しさに聞き惚れる わたしのようなコンチェルト嫌いにはたまらなく愉しい時を持てる あなたも如何

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     2018/02/26

    青い燕尾服の前に突き出された大きな掌から始まる”田園” CDの演奏より幾分ゆったりしたテンポを採るがヴィブラートは極力抑えられている 冒頭からベートーヴェンの心理状態と音楽の主題を明確に表現している 何より演奏者が”田園”の精神世界を感じ取っている演奏だとすぐ分かる 力の抜けた長閑さと愉悦が行き渡っている音楽は愉しく美しい 自然に笑みが零れる 指揮者に演奏者にそしてわたしに至福が訪れた瞬間だ ”第7”も同様のスタイルで演奏されたから ただリズムを畳み掛けるような真似はしない 出入りを丁寧に聞かせ柔軟に歌う 祝祭の気分が充満してもニュートラル感は保つから心理の諸相が垣間見える ベートーヴェンを聴いているのに自分を見ているようだ 舞踏の渦に入り込んでいながら神経は覚醒している自分に気づく 鏡の中のアリスように プロムシュテットは辿り着いたのだ 身を預けられる大樹の下に 枯れない泉の端に 比べるもののない世界に朋を招きたい あなたも如何  

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     2018/02/24

    ポリーニの出発の頃だから かれこれ半世紀近く前の録音ということになる 折に触れ聴き続けてきた 情に溺れそうになった時 優しさが枯渇しそうになった時 青い夜に 朽葉色の昼に 思い出してはディスクを引っ張り出してきた 日常の音楽的環境では受け止めきれない迷妄した心理をフラットな地平に降り立たす働きをしてくれた そこでは情感は絶たれたというが然にあらず 物としての音楽が鳴り響いた時 その背後に隠しても隠しきれない生の感情が溢れている ポリーニは即物としてピアノを奏しながら 確かにシェーンベルクの幾分朴訥な直情を見抜いていた 後半ほど少し引き過ぎてしまった感が否めないが やはり今も音楽の生命を失っていない演奏だ もう技法を論ずる必要も興味もなくなった ただ音楽があるばかりだ 朋は憶えているだろうか あたなは如何 

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     2018/02/23

    歌うチェロに曳かれて”ドヴォルジャークのチェロCon.”の世界に嵌った アリスがウサギの穴に落ちたように でもそこにボヘミアはなかった 北欧とバルト三国を母国とするモルクとヤンソンスだからか オスロpoもだ スマートで飄飄とした歩みに沿ってわたしも軽やかなステップを踏んでいく 刺激物がない響きの心地よさに浸った 物足りないという勿れ そのまま”チャイコのロココ”へ シンフォニックな響きは消え失せ モノローグを紡ぐように連ねていく この幽けき抒情を汲んでこそ聞こえてくる声がある ドヴォルジャークは歌う人 チャイコフスキーは物語る人 時代を同じくしてもその魂に宿る音楽心は自ずと離れている それでいいのだ ここに見えてくる作曲家の相(すがた)を愛そうではないか あなたも如何 

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     2018/02/23

    名曲名演奏として愉しんだ これに限らないがオペラを見ると白ける B級映画以下だ 舞台あるいは映像があると音楽を味わいたいが気が削がれる 本来演劇あるいはミュージカルや映画は視覚と聴覚が捉えた刺激が融合または相乗して感動を高めるものだが オペラは劇場の都合で歪められ作品が意図した表現を実現できないまま興行されている ウェーバーの”魔弾の射手”は傑作であり その音楽は今も魅力を失っていない アーノンクールはチューリヒ・オペラにピリオド演奏を徹底させていない 金管楽器とティンパニーはピリオド楽器を使わせているが 特定の部分以外は通常の奏法を許容している 指揮者とオーケストラを見て音楽が聴けるのは序曲だけだが価値はある それにしてもナチュラルホルンの合奏は朋にも聞かせたいものだ あなたも如何 

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     2018/02/21

    シューリヒトが一番 事実が一般には通らないのが世の常とはいえ こんな当たり前のことが理解されていない シューリヒトだから凄いのではない その姿も拝まず声に耳傾けたこともない 残された録音だけを聴いてスコアを読んで 当たり前に演奏を再現していることが明らかになっているにも拘らず シューリヒトを特異な位置に押しやって 自分流にブルックナーを捏造して悦に入っている他の指揮者を崇拝している御仁は数え切れないほど世にいる シューリヒトが伝えたブルックナーの相(すがた)を見よ 雄渾にして翔ぶが如く軽やかな佇まいはブルックナーを含む誰もが理想とする格好良さではないか 虚仮威しや尊大な持って回った英雄像はかけらも伺えない 神を憧れを持って拝してもへりくだったりへつらったりする卑しさを持たない 愛と感謝は爽快な気の流れをもたらす モノラル録音は嫌いだがシューリヒトは聴きたい あなたも如何 

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     2018/02/20

    グリンカから聴き始める 何故なら聴いたことがない曲だから こうしたアニヴァーサリー盤は得てして売れ筋を集めたベスト盤になりがちだが V.ユロフスキーには未来への意思と覚悟があると見た 今後を見据えているということだ だから単売では出し難い楽曲を多く集めている 知らない興味がないかもしれないが聴いてみてよ 面白いしLPOも良い演奏しているんだ って感じ これって良い実に好い グリンカ実際ほのぼのとしていて味がある曲だし演奏も愉しい ロシア音楽はやっぱりグリンカから始めないとね 全てライヴの記録だけれど ちょっとオンマイクでも 克明な録音がとれている ユロフスキーは冷静だが敢然と音楽に立ち向かっている その潔さが音楽の芯を見つめる眼差しとなって音楽の隅々に行き届いている 運びの良さと溌剌とした輝きが真骨頂だ 円熟とか重厚とか音楽を盛るような真似はしない バカのように素直な演奏だ これを青臭いなどと思うようではかなり毒が回っているということだ まずは耳傾けてと朋に言おう あなたも如何   

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     2018/02/20

    加山雄三に黒沢明作品への出演があった ”椿三十郎”と”赤ひげ” 石原裕次郎は市川崑作品に名を留めた ”太平洋ひとりぼっち”だ 二人は大衆人気俳優ではあっても大根である 出自も七光り 大量生産映画時代の稼ぎ頭だったが俳優としての演技力を褒める人はいない しかしその存在は永遠となった 上記作品が残る限り生き続ける ”太平洋ひとりぼっち”は堀江謙一が小型ヨット単独で太平洋を横断した実話に基づいている 映画としては難しい 何しろ映画の中核が水とヨットと人ひとりだけで進行する 市川崑でなければ実写化は不可能だったろう その音楽が武満徹だった ここに3人のギタリストが武満の映画音楽を演奏している ちょっと難しいが聴くうちに引き込まれる 今頃紹介されても手に入らんよと言われるだろう わたしも友人に聞かせてもらったきり忘れて逃していた たまたま旅の途中 田舎のレコード屋で見つけて 今度は入手した 限定盤で手に入りにくいだろうが どこかで出会ったら あなたも如何

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     2018/02/19

    これはまた面白い バロックとジャズとラヴェルそしてアイヴズだ みんな一緒くたにしてシャッフルして繋げた ジャズはバロックを素材にしたヴァリエーションでマッシモ・ピンカとジョナサン・ケレンが書いている 指揮はラヴェルのピアノを弾くグレイルザンマーでオーケストラはジュネーヴ・カメラータ 小さな弦楽合奏団にゲストで管を呼び ジャズ・ピアニストやドラマーを加えている これは一体なんなんだ なんて詮索する前に聴いてしまう 間違ってはいけない ジャズ・バンドがパロック曲を演奏するのでは無い アイヴズもラヴェルも勿論スコアにある通り指定された楽器で演奏する ピンカとケレンが書いた曲がジャズになっているのだが一筋縄ではいかないアイディアが散りばめられていて興味深い それは現代音楽と言っていい だがいわゆるクラシックと言われている楽曲どもがすでにサイケデリックであることを忘れてはいけない アイヴズの「答えのない質問」にアイヴズが答えたという形でケレンが書いた曲が輪をかけて面白いと付け加えておく 音楽はこう来なくちゃときっと朋も言う あなたも如何  

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     2018/02/18

    F.X.ロト&レ・シエクルがライヴで取り上げたフランス音楽の内からスペイン色を持った楽曲を集めた まとめて演奏されたわけではないから出来不出来があるかと思えば そこには貫徹された技量をそそぎこむ集中力と音楽の特色を把握するセンスが働いていた スペインを描きながらも四人の作曲家の個性をも描き出された シャブリエは熱情を推進力として前面に押し出す マスネは明確なイメージを色彩的音色と旋律線によって打ち出す ラヴェルは情緒や情趣を明瞭な音像と常に移ろう音色の妙によって高めていく ドビュッシーは色彩の中に陰影を幾重にも重ねることで輪郭線の曖昧な音形を生かしている 所謂ピリオド演奏だが 19世紀末から20世紀初頭のフランスの楽器とオーケストラがいかなる音を出し当時の先端のフランス音楽を音化していたかを知ることができた 他国では成し得ない音響の妙であり 今となってはフランスですら幻となっているサウンドと音楽なのだ 一度知ってしまったらこの美しさを忘れられようが無い あなたも如何 

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     2018/02/18

    数は少ないがハイドンのチェロのための協奏曲はいい曲だ 時代や国を越えて人の心を打つのではないかと想う こう思わせるのがこのモルクとI.ブラウン&ノルウェーCOの演奏いや歌なのだ 本当に歌い交わしている 語るがごとく歌えと言うが行うは難い 奏法がどうの演奏スタイルがどうの言う気にならない いい演奏なのだから どうでもいいとは言わないが正誤を問う気にならない 加えてハイドンのひととなりが窺えるようでもあり親和性が深く感じられる曲であり演奏だ 聴いていると心が豊かになる 穏やかな心の声と息遣いが心の野を温め広げてくれるのを感じる 人はここまで寛ぎの心で人に語りかけられるのだと感じるとともに自分の偏屈さに思い至り恥ずかしい 大切にしたい朋と言葉を交わしながら聴きたい あなたも如何 

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     2018/02/17

    ブッフビンダーはウィーンを代表するピアニストだが ベートーヴェン ブラームス ハイドン モーツァルトとウィーンに所縁のある人たちの代表作をほとんど演奏録音している にも拘わらずシューベルトは録音がほとんどない その貴重な記録の一つがこの”即興曲集”だ とりわけD.935はここだけでしか聴けない それがまた名演奏なのだ それにしてもこの遺作となった4曲の魅力は底が知れない 即興曲だから形式は自由であって不思議はない それよりこの4曲を一つの曲種と言えるのか ましてや曲集としてまとめるべきものなのか甚だ疑問だ その個性の違いは際立っている これをブッフビンダーはいとも易々と弾き分けて見せるのだ 誠に味わい深い 終わればすぐ繰り返し聴きたくなる演奏であり音楽なのだ 勿論D.899 Op.90に不足のあろうはずがない シューベルトの名刺代わりと言っていいほどシューベルト音楽の愉悦が溢れている ブッフビンダーにはさらなる演奏録音を期待したい 朋らを集めて聴きたい あなたも如何  

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     2018/02/16

    待っていたダウスゴーのニールセン交響曲全集になるのだろう録音が始まった かつて第3交響曲と管弦楽曲集でその適性を示していたから大いに称揚していた オーケストラがデンマーク国立SOからシアトルSOに代わっているので あのニールセン独特の歌い回しや語り口が実現できるのか訝しんだ 果たしてシアトルSOは優秀な合奏体だと知れた 雄大で壮麗な管弦楽を響かせる ダウスゴーの指揮の下に音楽は流麗にそして雄弁に語り歌う ただニールセンが難しい音楽なのはしばしば各楽器それぞれの奏者が突然裸で投げ出されたような あるいはこのまま置き去りにされそうな孤独を感じる点なのだ 偏にニールセンの性質と繊細な感性が恐怖の瞬間を各所に生み出しているのだ 強いていえばシアトルSOの一人一人がこの壁を乗り越えあるいは消化仕切れていない嫌いはある ソロイスティックに音が薄くなった時幾分無機的に聞こえてくるのが残念だ これからの健闘を期待する それでも生きのいいニールセンの始まりだ 朋とともに聴きたい あなたも如何 

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     2018/02/15

    これらのシンフォニアはメンデルスゾーンがローティーンで書いたというが その時まだベートーヴェンは存命だった 彼の”第九”の後では誰も交響曲は書けなくなった シューベルトの20代はちょうどその時代で 多くの交響曲は試行錯誤を繰り返すばかりで完成に至っていない ようやく”大きなハ長調”を書き上げるが発表できないまま世を去る 10年後シューマンに発掘されメンデルスゾーンの指揮で初演されるまで遺室で眠ることになる メンデルスゾーンも13曲の弦楽による試行の後 管弦楽としての交響曲に取り組む そこからメンデルスゾーンの交響曲は数える習慣になっているから5曲となるが実際は18曲である たとえ弦楽合奏であっても前古典派の序曲との境が曖昧なシンフォニアの域に留まってはいない その優れた作品性をC.ケルンが表出している ピリオド楽器によるピリオド演奏なればこその生命が吹き込まれている 古びることのない名演奏を朋と共に聴きたい あなたも如何

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     2018/02/15

    純正な古楽器によるピリオド演奏ではないけれど これはこれで美しいではないか 小品あるいは断片17曲中ヘンデルが6曲バッハが5曲を占める この二人同じ時代の同じ国に生まれて音楽に携わりながら一度たりと出会うことがなかった運命の二人は共に稀代のメロディーメーカーだった 亡くなって250年以上を経て尚愛され演奏されている事実が音楽の本質を語らずして示している 美しいメロディーに勝る音楽言語はないと 二人の曲間をつなぐ6人のメロディーも知らない人はいない美しいもの 気品すら感じさせる孔雀のジャケットとこの安価 手元に置いて愉しまずしてどうする あなたも如何  

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