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2012/10/08
■中身が良くわからないので有名な謎のレーベル”Concerto Royale”(現在は”Membran”傘下のレーベルらしい)の”206200-360”(CD3枚組)を買ってみました。パッケージを見ても録音年が分からず。どんな録音なのかとドキドキものでしたが。録音は(全てステレオ録音という意味で)比較的新しく、状態も良好でした。内容も総じて良くて買って良かった。とくカンタータ200番のラウテンバッハーのヴァイオリンが「大当たり」だと思います。
以下は、主にBach Cantatas Websiteを参考にしています。
■CD1
1-5:Cantata No.56 BWV56「われは喜びて十字架を担わん」
指揮:Jorg Faerber
Baritone: York Lutz; Oboe: Heinz Miller
Jugendkantorei der Marienkirche Reutlingen (Kantor: Gunther Heller)
Wurttembergisches Kammerorchester Heilbronn
録音年:Late 1960’s ?
■指揮者”Jorg Faerber”は、1929年-Stuttgart, Germany生。1960年、”the Wurttembergisches Kammerorchester Heilbronn (Wurttemberg Chamber Orchestra in Heilbronn)”を創設、そこに40年以上留まり、バロックのレバートリーに定評がありました。”Jorg Faerber”と”Wurttembergisches Kammerorchester Heilbronn”による録音は、本録音(カンタータ56番「われは喜びて十字架を担わん」)だけのようです。録音年は、正確には分からず1960年代後半のようです。”Jorg Faerber”は60年代”Vox”に録音を行なっていたようなので、この録音も”Vox”のものではないかと思われます。
■6-16:Easter Oratorio BWV249「復活祭オラトリオ」
指揮:Marcel Couraud
Soprano: Friederike Sailer; Contralto: Margarethe Bence; Tenor: Fritz Wunderlich (仮名:”Werner Braun”?); Bass: August
Messthaler Solo Violin:Susanne Lautenbacher; Oboe
d’amor:Friedrich Milde; Continuo:Martin Galling;
Ensemble Vocale et Instrumentale, Stuttgart
録音年:1956
■この録音は他社からも発売されています。オーストラリア・エロクェンス盤”Eloquence 4767142”です。指揮者”Marcel Couraud”は、1912年-Limoges, France生、1986年-Loches, France没。歌手には”Fritz Wunderlich”が参加、ヴァイオリンには”Susanne Lautenbacher”が参加しています。ただし、ジャッケトにはテノール”Werber Braun”と表記されており、何らかの理由で仮名で参加したようです(何があったんでしょうかね?)。ブンダーリヒの美声が本録音の聞き所に決まっていますが、ラウテンバッハーのヴァイオリンも大変な聞き所です。なお、原録音は”Philips”と思われます。エロクェンス盤と、”Concerto Royale”盤は若干音が異なるように思われるので、マスターが異なっているのではないでしょうか。
■17:Cantata No.200「カンタータ200番」
指揮:Marcel Couraud
Alto/Contralto: Margarethe Bence; Susanne Lauterbacher (Violin); Dieter Vorholz (Violin); Martin Galling (Continuo)
L’ensemble instrumental de Stuttgart (Stuttgarter Orchester)
1956
■上の演奏と同時にほぼ同じメンバーで演奏されたものと思われます。CD化はもしかすると初めてかもしれません。カンタータ200番は、断片ではありますが、とても愛らしい作品だと思います。ラウテンバッハーらのヴァイオリンとアルトの”Margarethe Bence”はこの小品を、実に誠実に愛情を込めて演奏していると思います。このCDはセット最大の佳作だと思います。
■CD2
1-22:Christmas Oratorio (Excerpts) BWV248「クリスマス・オラトリオ(抜粋)」
指揮:Hans Grischkat
Soprano: Maria Friesenhausen; Alto: Hildegard Laurich; Tenor: Peter Wetzler; Bass: Bruce Abel
Schwabischer Singkreis Stuttgart / Sudwestdeutsches Kammerorchester Pforzheim
1972
■指揮者”Hans Grischkat”は1903年-Hamburg, Germany生、1977年-Stuttgart, Germany没。クリスマス・オラトリオの抜粋です(オリジナルでは多分全曲録音だった)。バッハ、ヘンデル、モンテヴェルディ等の録音があるようです。ヴンダーリッヒの参加したミサ曲ロ短調もmembranから販売されています。
■CD3
1-6:Mass in minor BWV235「ミサ曲 ト短調」
指揮:Helmuth Rilling
Soprano: Elisabeth Speiser, Alto: Ingeborg Russ, Tenor: John van Kesteren; Baritone: Gerhard Faulstich, Bass: Jakob Stampfli
Gachinger Kantorei Stuttgart / Bach-Collegium Stuttgart
1967
■指揮者は言わずと知れた”Helmuth Rilling”。有名なミサ曲ロ短調以外にも、バッハはミサ曲を作曲していました。ほとんどが、既存作品のパロディですが、そんな事情を全く感じさせない完成度だと思います。
リリングはこのミサ曲シリーズを60年台後半に録音しています。
■7:Motete BWV228「モテットBWV228」
8:Motete BWV226「モテットBWV236」
指揮:Gerhard Wilhelm
Stuttgarter Hymnuschorknaber/Boy Choir Stuttgart
1960-70年代?
■指揮者”Gerhard Wilhelm”は、1918年-Stuttgart, Germany生。Munchingerの受難曲録音に合唱指揮者として参加しています。他にも幾つか録音があるようですが、このモテットの録音は該当するデータがありませんでした。60年代から70年代の録音と思われます。
■当初の危惧とは反対に、60年代の佳作を聞けたので満足して★5つです。