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0 people agree with this review 2010/05/07
この演奏、使用している版に興味深いものがあるが、特に未完の第四楽章がなかなか面白い。たしかにコールズみたいな「らしさ」は無いが、随所に大胆にブルックナーニ迫ろうという編者の強い気持ちが感じられる。それが空回りしているようなところもないわけではないが、その積極性は評価したい。演奏はオケの弱さやライヴにつきもまののキズ等に不満がないわけではないし、変わった内容のCDかもしれないが、全体的にはストレートな魅力にみちたものとなっており好感がもてる。演奏時間は、22:52、10:08、21:42、22:51。
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3 people agree with this review 2010/05/06
ラトヴィアの指揮者というとヤンソンスや以前来日し好評を博したオラリー・エルツがいるが、1978年11月生まれのこのネルソンスもそんなラトヴィアの指揮者の一人。またそのヤンソンス門下というから、昨年来日したアレクセーエフとは兄弟弟子の関係ということにもなる。そんなネルソンスのここでの指揮ぶりはそのヤンソンスをたしかに彷彿とさせる熱いものがあるが、それだけではないとても柔軟で豊かな拡がりもこの指揮者は兼ね備えている。それにオケからとても冴えたしかも練れた円やかな響きを要所で引き出しているのも素晴らしい。特に弱音でのそれが見事。演奏時間は「ばらの騎士」が24:42、「英雄の生涯」が47:48。「英雄の生涯」では終演後の観客の反応がなかなかです。ヤンソンスの代わりにウィーンで「カルメン」を指揮するということで遅まきながら知った指揮者ですが、これからがとても楽しみな指揮者です。あと本人の公式サイトにおけるその指揮姿が若き日の師ヤンソンスに似ていますが、ネルソンスはヤンソンスのバイエルン放送響でも指揮していますので、そのときはオケでもネルソンスのその指揮ぶりがさぞや話題になったのではないでしょうか。
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5 people agree with this review 2010/04/30
偉大な記録を少しでも多く、少しでも高音質でという気持ちはよくわかるしその熱意は買いたい。だがそれらをひとりでも多くの方に、特にムラヴィンスキーの実演を知らない方に、より知ってもらおうという気持ちがもっと強ければ、ここまでの価格設定、もしくは発売の仕方は少なくともなかったような気がする。特に若い方や音楽学校の学生さんなどは懐がそんなに潤沢ではない人が少なからずいることを思うとなおさらだ。これではムラヴィンスキーを愛聴するファン層が今後より狭くそして高齢化してしまうのではと、そんな危惧さえ感じてしまう。幸い一部分売がようやくされるようだけど、では他のテイクはどうかというとあいかわらずのままだ。旧譜を1050円で売るのもいいが、こういう高額商品を期間限定で半額にするとか、もしくはすべて数量限定で各2000円で分売するということも考えるべきだと思う。それにいくら丁寧なライナーでも見る人がいなければ書いた人もガッカリだろう。ぜひ一考を要してほしい。尚内容は文句無しの五つ星だ
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2 people agree with this review 2010/04/29
この第四楽章はおもしろい。「これは本当にブルックナー自身が書いたのでは? 」と思わせるほどよくできた補作部分もあるが、こんなの絶対にありえないという、トンデモもののところもありと、とにかくじつに大胆名出来となっている。ただこれとコールズの版をうまくつなぎ合わせると、けっこうなものが出来るのではないかという気もするので、これらをさらにつなぎあわせたような面白い版が将来登場することを期待したい。ただコーダはあまりにもあまりにもで、その出来にただただ…でした。ブルックナーの交響曲は好きだけど、まだ9番は一度も聴いたことがないという人が聴いたら、いったいどういう感想を持つのだろうか。とても興味があります。
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0 people agree with this review 2010/04/29
チェコの代表的な室内楽を一組にまとめたもの。今となってはお買い得盤という価格ではないが、それでも当時一枚一枚買うよりはお得だった。演奏はライヴの時ほど尖った演奏はしていないが、プラジャークとしてはリラックスした味わい深い演奏となっている。スメタナあたりと聴き比べるとなかなか興味深いものがある。
5 people agree with this review 2010/04/28
ドリーブは壮麗な音の洪水とでも形容したくなるような演奏。全曲盤はマリ盤を愛聴しているけど、できればオーマンディにも全曲を録音してほしかった。ショパンの曲も音楽の美しさが零れてきそうなくらいの瑞々しさだ。風圧を感じさせるような弦の響きもまたたまらない。しかも指揮もオケもじつに真摯に真正面から音楽をとらえたものとなっているため、何度聴いても飽きがこない。ほんとうに極上の音楽だ。かつてよくオーマンディとフィラデルフィアの音楽を、華麗だけで内容が無いとか、単なる職人芸とかいって誹謗していた人がいたが、これを聴くとそれらがいかに的外れで、自分の許容範囲を超えた音楽になると、ただわからないからといって狭い価値観のみで適当に判断していたかということが再認識させられた。名演。
6 people agree with this review 2010/04/28
74年の10月に当時80歳を迎えたベームによる同曲19年ぶりの再録音盤。合唱の一部に音程が怪しかったり粗かったり、多少好き嫌いがでそうなソリストがいたりという部分はあるものの、ベームの曲全体に対する気持ちの入れ方がとにかくここでは素晴らしいの一語に尽きる。晩年はときおり緩い録音があるといわれているベームだが、この演奏はそれらのものとは明らかに違う。特にクレドではウィーンフィルの美しさと柔らかさを兼ね備えたその響きと、多少抑制を効かせてはいるものの巌のような剛直なベームの音楽が見事な形で結実している。クレンペラーのような超絶的な演奏ではないが、その厳しさと美しさを兼ね備えた、風格のあるこの演奏も自分はとても素晴らしいと思う。因みにベーム自身もこの録音をかなり気に入っていたという。コンサートマスターはヘッツェル。
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1 people agree with this review 2010/04/27
チェリビダッケが日本で最後にブルックナーの8番を指揮したこの演奏は、チェリビダッケが前回の来日時よりオーケストラに対して音楽をまかせているかのようなところがある。特に前半はその傾向が強く、このため指揮者と、その指揮者に十年以上その教えを受け続けたオーケストラとの音楽上の分厚い対話が行われているような、そんなかんじの演奏のとなっている。解説の某氏は前半縦のズレが云々といっていたが、それは指揮者とオケが互いの間を測りあうことによって生じた、微妙な呼吸合わせがそう聴こえたのだろう。ただし後半に向かってチェリビダッケが以前のような掌握力をみせはじめるに従い、音楽の集中と解放がより強烈なものになっていくのがわかる。ほんとうにいろいろな意味でとてつもない演奏だ。余談だがこの四年後のほぼ同時期、チェリビダッケとミュンヘンフィルはこのライヴCDと同じように、サントリーホールで再度同曲を演奏する予定だった。残念ながらそれは中止となってしまったが、もし予定通りそれが演奏されていたら、はたしてそれはさらにどのような演奏になっていたのだろう。
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1 people agree with this review 2010/04/26
全合奏の瞬間眼前に巨大な音壁があらわれ、そのあとは荘厳ミサの「動かざるごと山のごとし」版みたいな音楽が延々と続く。聴いていてその圧倒的な音楽にほとほと疲れてしまうが、これほど音楽の力を圧倒的に感じさせられる演奏は希。CD1枚に収まっているが不思議に思われるくらいの、超高濃度なブルックナーだ。フルトヴェングラーの同曲の演奏と並んで、いわゆる「らしくない」演奏かもしれないが、この演奏によって引きずり出されたこの曲のもつ凄まじいまでの「力」に、正直畏敬の念すら感じさせられてしまう。響きそのものは単純明快かもしれないが、内容的には恐ろしい演奏だ。
2 people agree with this review 2010/04/16
腰を割ったようにじっくりと弾きこまれた演奏。極めて真摯に音楽と自分に向き合った演奏だが、ストイックなところなと微塵もなく、穏和さと風格にみちた演奏となっている。だがときおり凄まじいまでの気迫をみせるところがあり、中庸にすぎた演奏でもない。ゆったりとした歩幅で行間までゆっくたりと意味深く読み込んだような、ある意味とても詩的なバッハといえるかもしれない。技術的には今のレベルからいけば物足りないかもしれないが、この奏者の指し示す音楽に深く共感できる方にとっては、決して不満のでるレベルのものではない。名盤である。
1 people agree with this review 2010/04/14
60年代から70年代にかけてのバーンスタインは自らの思いの丈のすべてをエネルギーに変え、あるときは慟哭を極め、あるときは天上のさらに上まで登り詰めようとしていた。だが70年代後半に入るとそれらは次第にゆるやかになり、より多くの情報量と厚みと深みを音楽に宿していった。この演奏はカラヤン時代のベルリンフィルへの客演ということもあり、いろいろと当時はカラヤンがどうしたとか、バーンスタインにとってアウェイ過ぎたとかいろいろ言われたが、バーンスタインの演奏がかつての鋭さや鮮烈さを後退させ、厚みと深みを増していく過程の時期の演奏だったことが、こういう演奏を生んだというべきなのかもしれない。同じ年には東京でのショスタコーヴィチや、イスラエルフィルとのプロコフィエフ。そしてウィーンでのベートーヴェンの第九がある。これらを直線で繋げてみると、なかなか面白いものがみえてくるような気がする。とにかくこれはなかなか興味深い演奏だ。
0 people agree with this review 2010/04/03
前半の「悲愴」は1936-37年にかけてオーマンディが初めてフィラデルフィアと録音した記念すべきもの。トスカニーニに私淑していた若き日のオーマンディの颯爽とした指揮ぶりが素晴らしい。オケも極めて高い水準の演奏。この演奏は録音後まもなく日本でも発売され、当時はこの演奏及び指揮者に対してたいへん好意的な評が新聞に掲載されていました。後半の「展覧会の絵」はルシアン・カイリエ(1897年5月27日- 1985年1月3日)による編曲版という珍しいもの。カイリエは通常の作曲以外にも映画音楽の作曲やクラシックの編曲などで有名な作曲家で、ここではハリウッド的ともいえる絢爛豪華な編曲が聴きものとなっています。1937年録音。戦前のこのコンビ初期の姿をとらえた、貴重かつ予想以上に聴き応えのある演奏です。
この録音の後三度目の来日をこのコンビは果たすが、そのときの演奏が眼前に蘇るかのような見事な演奏と録音。特に第一曲終盤の素晴らしいせり上がり感をもった圧倒的高揚感は白眉の出来。オーマンディ屈指の名演奏であり、シベリウス演奏史上に残る歴史的名演奏のひとつ。
2 people agree with this review 2010/04/03
頑固一徹親父による剛毅で強靱なプラームス。特にティンパニーはときおり奥歯がガチガチになるくらいガツンガツンと容赦なく打ち込んでくる。またときおり聴かれる素晴らしく熱い「歌」がたまらない。「俺の若いときはブラームスがまだ元気で…」みたいな説教が聴こえてきそうな演奏だ。下手なことをいうとあの世から怒鳴られそうなのでここは最高。
5 people agree with this review 2010/03/31
かつてベルマンのリストをカザルスホールで聴いたとき、腰が抜けるくらい驚いたものだった。今回こうしてCDを聴くと、腰が抜けるような迫力だけでなく、詩的な美しさや透明感、そして小さな部分における情景までも大事にした、じつに広く深く大きなリストをベルマンが弾いていたことに、あらためて強い感銘を受けたものでした。「巡礼の年」のコンプリートな形でのBOX化というのも嬉しい。生涯大切に聴いていきたいアルバムのひとつです。
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