『ルル』コールマン改訂3幕版 ブレート演出、バレンボイム&ベルリン国立歌劇場、エルトマン、ポラスキ、フォレ、他(2012 ステレオ)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2015年09月25日
やはりディヴィッド・ロバート・コールマン(1969〜)の新補筆版についての評価を真っ先に述べねばならぬだろうが、残念ながら、これが全く評価できない。様式的に違和感があるとツェルハ版で最も評判の悪かった第3幕第1場を全面カットしたほか、プロローグがないなど「ベルク自身の手で完成」とされてきた第2幕以前にも手を入れているが、第3幕第2場前半の明らかに薄いオーケストレーションなど、ツェルハ以上に変で、『ルル組曲』として出来上がっている後半のベルク自身のオーケストラ書法と整合しない。こういうものを新たに出す場合、新補筆者があれこれ自分の考えを述べるのが、最近の慣例であろうが(私の知る限り)これに関しても、驚くほど情報が少ない。少なくとも、シュターツオーパーのHPに掲げられた文章(同じものがDVDの冊子にも転載されている)が言うように、「劇的な緊張を高め、ベルクの意図したオペラの全体構図におけるシンメトリーを強調する」結果には全然なっていない。むしろ正反対なのは否定しようもないと思う。演出は舞台機構もあまり使えない、シラー劇場での上演に配慮したのか、アンチリアルに徹した、象徴的なもの。それなりに面白いが、好みは分かれそう。ルルの二人の分身(ダブル)を使って彼女の過去・現在・未来を同時に表現したというこの舞台、少なくとも筋をあらかじめ知っていなければ、見ても何も分からないだろう。『ヴォツェック』の時はなかなか良かったバレンボイムの指揮も、演出に調子を合わせたのか、あまり積極的な表現意欲が感じられず、手堅いがおとなしい。 ただし、歌手陣だけはきわめて豪華。エルトマンのルルはほとんど動かない、というか演出家が彼女を動かさないが、やはりこの役で美人はお得。シンボリックな存在感は何にも換えがたいし、技術的にも非常に高度で、至難な「ルルの歌」など完璧だ。フォレのシェーン博士もネミローヴァ演出版に続いて相変わらず良いが、存在感と言えば、長身のポラスキが演じるゲシュヴィッツ伯爵令嬢も抜群。彼女がこの役にこんなに見事にハマルとは思ってもみなかった。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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joe | 神奈川県 | 不明 | 2015年02月23日
極めて問題の多い「新ベルリン版」。ツェルハ版の異稿くらいに思っていると仰天させられる。何しろ幕開けの口上が無いし、他にもナンバーの省略や入替えがあり、困惑する。これに輪をかけて不可解で意味不明な演出。せっかく無類に美しいエルトマンが外題役を歌い、バレンボイムが引き締まった響きを聴かせているのに…4人の方が、このレビューに「共感」しています。
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