『ペレアスとメリザンド』全曲 ウィルソン演出、P.ジョルダン&パリ・オペラ座、ツァラゴワ、ドゥグー、オッター、他(2012 ステレオ)
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千葉のアリアドネ | 千葉県 | 不明 | 2013年04月14日
ペレアスとメリザンド、この不思議な象徴の世界をロバート・ウィルソンは何と美しく、哀しく描き出すのだろう。舞台上に被造物は殆んど無い。青を貴重とした照明、パントマイムにも似た(能に似たという人もいる)様式化され、切り詰められた出演者の所作、表情。それらが音楽と切り離しがたく結びついて観る者に深い感銘を呼び起こす(W・ワーグナーとの親近性を指摘した方もいるようだがどうなのだろうか)。ロバート・ウィルソンは演劇が專門でその道の大家と聞く。が、何と深く音楽(オペラ)を理解し、愛しているのだ゙ろう。ここには無意味でこれみよがしが自己主張も、奇怪な読み替えも無い。そして何よりこの人の演出では、音楽が、鳴っている音以上によく聴こえて(見えて)くる。当公演では美貌のツァラゴワが起用されているが、冒頭ゴローと出会う場面で、彼女が白い衣装で寡黙に横たわっているのを見ただけで、アルケル王までも虜にするその魅力が理解されるのではなかろうか。ドュクーも好演。マスネからR.シュトラウス迄守備範囲も広く、欧米歌劇場で引っ張りだこという期待のジョルダン。カラヤンやブーレーズほどのインパクトはまだ感じられないが、明晰にきちんと纏めていると言えるだろう。ブーレーズの映像も大変素晴らしいが(最初にストーリーを追うにはブーレーズのほうが好適と思う)、ペレアス必見の映像として強くお薦めしたい。つい最近完売になってしまったグルックのオルフェオ(ガーディナー指揮)、こちらも素晴らしかった(コジェナーの熱唱も含め)。是非復活をお願いしたい。5人の方が、このレビューに「共感」しています。
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