『ドン・ジョヴァンニ』全曲 エーベルト演出、フリッチャイ&ベルリン・ドイツ・オペラ、フィッシャー=ディースカウ、他(1961 モノ)(2DVD 日本語字幕付)
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フリッチャイマニア | 埼玉県 | 不明 | 2011年10月19日
西ベルリンに新しく建設されたベルリン・ドイツ・オペラのこけら落としの際に収録された映像。ただし、本映像は前日のドレス・リハーサルのもので、Golden MelodramのCDがこけら落とし当日のものである、というのが正確らしい(演奏の細部に違いがあるので、同一ではない)。 第1幕冒頭の三重唱など、部分的にアンサンブルが怪しくなるところもあるが、歴史的に貴重な公演のドキュメントとして、多少の瑕は仕方のないところであろう。 エーベルトの演出は、ダ・ポンテの台本に実直に従ったもので、これといって変わったことをするわけではないが、「かくあるべし」と思わせるだけの説得力を持っており、「観るオペラ」としても、申し分ない舞台となっている。 声楽陣も、フリッチャイが長く起用してきたメンバーが揃い、「ドイツ語上演ならではの、ベルリンのモーツァルト」を堪能させてくれる。 なにより、フリッチャイの指揮が素晴らしい。オーケストラが出るべきところ、歌うべきところを熟知し、自然に呼吸させている。そこに「解釈」とか「指揮者の姿」が感じられないレベルまで昇華しているので、「モーツァルトの音楽」という以外の何も感じずに、2時間半のオペラを聴き通してしまう。 映像は、ごくごく標準的(?)な、オペラの撮り方で、特別なものではないが、舞台上で注目すべきところに視点がいくつくりで、実際にオペラを観る方であれば、さほど不満なく観られるかと思う。 「4:3、モノクロ、モノラル音声」というだけで敬遠されるのはもったいない。 「正統派ドン・ジョヴァンニの決定的名盤DVD」と、広くお薦めしたい。8人の方が、このレビューに「共感」しています。
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