DVD

ニューイヤー・コンサート1974 ボスコフスキー&ウィーン・フィル(+1963〜79抜粋)

New Year's Concert

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
UCBG9124
組み枚数
:
2
:
日本
画面サイズ
:
通常
フォーマット
:
DVD

商品説明

ボスコフスキーのニューイヤー・コンサート

ウィンナワルツ通に言わせると、現在では良くも悪くもなよなよ系(?)のリズムになってしまったコントラバスのちょっと遅れめの1拍が、ここではしっかりと腹に響き、えもいわれぬ魅力を醸し出します。
 ポルカも1拍目の角が取れた大変に美しいもので、昨今の角々しいリズムや歌い方による演奏とは大違い。まさにウィーンのポルカはこうでなければならないといった感じです。
 演奏はどれも非常に見事なものですが、中でもボスコフスキーとヘッツェルによるヴァイオリンの掛け合いが聴ける『ウィーンの森の物語』は大変な名演奏といえる仕上がりです。ちょっと変わったところでは、『騎士パースマンのチャルダーシュ』での、ボスコフスキーのツィゴイナー風のヴァイオリン演奏や、チャールダーシュでのウェラーとの掛け合いというのもありました。
 当時のニューイヤーは、演奏会全体が「オラが街のお祭り」といった雰囲気で、聴衆も楽員たちも温かさと喜びに満ちています。
 たとえば、小太鼓のブロシェクは、この頃、毎年なにか悪ふざけを行なうのがお約束になっていたのですが、『ジプシー男爵』の入場行進曲では、彼がオペレッタの中の登場人物、豚飼いシュパンに扮装し、本物の泣き叫ぶ豚と共に登場して満場が大爆笑といった具合で、新年を祝うにふさわしい大笑いでコンサートを大いに盛り上げてくれています。
 また、『ラデツキー行進曲』は、現在では指揮者が客席に向かって拍手を指揮していますが、当時は(1979年ボスコフスキー最後の年まで)、客席から自発的に拍手が湧き起こっていたのです。ちなみに、この客を指揮するという慣習を始めたのは後任のマゼールでした。
 奏者をみても、現在のコンマスのヒンクが、1960年代前半には第1ヴァイオリンの末席に座っていたり、同じく第1ヴァイオリンにワルター・ウェラーと同姓同名でしかもそっくりだったというお父上が映っているのもおもしろいところで、また、かのワルター・バリリより、ウェラー、シヴォーの方が上席コンマスだったこともわかります。その他、チェロのブラベッツや、ヴィオラのヴァイス(ウィンナ・ワルツの研究家でもあります)、往年の名ティンパニスト、ホッホライナーなども実に楽しそうにプレイしています。
 管楽器の名物プレイヤーたちも見物です。『オーストリアの村つばめ』では、ウラッハの一番弟子、A・ボスコフスキー(ヴィリーの弟、1947年、ウィーン・フィル事務局長の彼が、DEECAとウィーン・フィルの契約に尽力)と、G管クラリネットの名手、クラウゼがいかにもウィーン風に吹いております。
 その他、クラリネットでは、若き日のプリンツの顔が見えるのも嬉しいところ。
 オーボエでは、正統派ウィンナ・サウンドを聴かせるマイヤーホーファーや、レーマイヤーのほか、カラヤンが高く評価していたラープの顔も見え、フルートでは、銀髪のレズニチェック、ニーダーマイヤー、トリップが、オーケストラと調和したしっとりとした音色を聴かせているのが印象的。
 ファゴットではなんといってもエールベルガーが目立つところで、トランペットでは、ウービッシュ、ホラーが、ホルンでは、ベルガー、アルトマン、トムベック父(子供が今のホルン首席)の顔が見えます。
 また、ウィーン・フィルの管楽器プレーヤーたちは、首席の座をどんどん譲っていくのが映像を見ると確認できるのも興味深いところで(A.ボスコフスキー→プリンツなど)、若手に首席をまかせ、ベテランはサポートにまわり、ウィーンの音を守っているという仕組みがよくわかります。
 ちなみに、ボーナスで収められたドキュメンタリーによると、ボスコフスキーをコンサートマスターに推薦したのは、よく言われるワルターではなく、クナッパーツブッシュとのことでした。また、このドキュメンタリーには、ボスコフスキーがバッハの無伴奏を弾いているシーンも収録されており、これがまた実に魅力的な聴きものとなっています。
 ウィーン・フィルのコンサートマスターというと、シュナイダーハンやオドノポゾフが外部から連れてこられた人材で、バリリやウェラーにしても末席から出発したわけではなく、ウィーン音大で優秀であったためにいきなりコンマスとして入団したわけで、決して叩き上げではありません。キュッヒル、ヘッツェル、ビンダーも同様です。
 まさにボスコフスキーこそが、楽団と共に成長した叩き上げのコンサートマスター(30年も勤めました!)といえる存在で、ウィーン・フィルの面々は、いってみれば家族のようなもの。そんなこともあって、クレメンス・クラウス亡き後のニューイヤー・コンサートを引き継いだのち、25年もの長きにわたってこの名物コンサートを指揮することになったのでしょう。
 実際、このDVDでも、アットホームな親近感に満ちた暖かい雰囲気がただよっていることがよくわかりますし、名手揃いのウィーン・フィルの面々が、いつになくリラックスした様子でシュトラウス作品の演奏に取り組むさまを映像で味わえる喜びは、贅沢というほかないものです。
 
 今回、ドイツ・グラモフォンから登場する2枚組のDVDには、ボスコフスキーとウィーン・フィルの演奏シーンがふんだんに収められており、シュトラウス・ファミリーの音楽の真髄に迫る内容となっています。
 ディスク1には、1974年におこなわれたボスコフスキーのニューイヤー・コンサート20周年記念公演の模様が、美しいバレエを交えたTV中継通りに収録されており、ディスク2には、1963年から1979年のニューイヤー・コンサートの映像から有名曲がたっぷり19曲収められています。

ディスク 1
1 J.シュトラウスII世: ワルツ『人生を楽しめ』Op.340 (バレエ)
2 J.シュトラウスII世: ポルカ・シュネル『ほんとに素早く』Op.409
3 ヨゼフ・シュトラウス: ポルカ・マズルカ『女心』Op.166 (バレエ)
4 ヨゼフ・シュトラウス: ポルカ『おしゃべりなかわいい口』Op.245
5 ヨゼフ & J.シュトラウスII世: 『ピツィカート・ポルカ』Op.234
6 J.シュトラウスII世: ワルツ『ウィーンの森の物語』Op.325 (バレエ)
7 J.シュトラウスI世: ギャロップ『競馬とウィリアム・テル』Op.29
8 ヨゼフ・シュトラウス: ポルカ『芸術家の挨拶』Op.274
9 J.シュトラウスII世: 『トリッチ・トラッチ・ポルカ』Op.214 (バレエ)
10 J.シュトラウスII世: 『爆発ポルカ』Op.43
11 ヨゼフ・シュトラウス:ポルカ・シュネル『憂いもなく』Op.271
12 J.シュトラウスII世: 『美しく青きドナウ』Op.314 (バレエ)
13 J.シュトラウスI世: 『ラデツキー行進曲』Op.228
ディスク 2
1 J.シュトラウスII世: 喜歌劇『ジプシー男爵』〜入場行進曲 (1969)
2 J.シュトラウスII世: 『常動曲』Op.257 (1978)
3 J.シュトラウスII世: ポルカ『雷鳴と電光』Op.324 (1967)
4 J.シュトラウスII世: 『皇帝円舞曲』Op.437 (1975) (バレエ)
5 J.シュトラウスII世: ポルカ『お気に召すまま』Op.372 (1972)
6 ヨゼフ・シュトラウス: ポルカ『短いことづて』Op.240 (1968)
7 J.シュトラウスII世: ポルカ『観光列車』Op.281 (1970)
8 ヨゼフ・シュトラウス: ワルツ『天体の音楽』Op.235 (1964) (バレエ)
9 ヨゼフ・シュトラウス: 『かじ屋のポルカ』Op.269 (1971)
10 J.シュトラウスII世: 『騎士パズマンのチャルダーシュ』Op.441 (1967)
11 J.シュトラウスII世: 『山賊のギャロップ』Op.378 (1972)
12 J.シュトラウスII世: ポルカ『浮気心』Op.319 (1975)
13 ヨゼフ・シュトラウス: ワルツ『オーストリアの村つばめ』Op.164 (1963) (バレエ)
14 J.シュトラウスII世: :ポルカ『ハンガリー万歳!』Op.332 (1978)
15 ヨゼフ・シュトラウス: ポルカ『休暇旅行で』Op.133 (1964)
16 J.シュトラウスII世: 喜歌劇『こうもり』〜序曲 (1972) (バレエ)
17 J.シュトラウスII世: 『アンネン・ポルカ』Op.137 (1966)
18 ヨゼフ・シュトラウス: ポルカ『騎手』Op.278 (1972)
19 J.シュトラウスII世: ポルカ『狩り』Op.373 (1979)
 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 ヴィリー・ボスコフスキー(指揮)

内容詳細

クレメンス・クラウスの後を継いで、ニューイヤー・コンサートの指揮を25回にわたって務めたボスコフスキーの、74年のフル映像と、63年から79年までのベスト映像集。ウィンナ・ワルツの原点だ。(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

ディスク   1

  • 01. ヨハン・シュトラウス2世: ワルツ 《人生を楽しめ》 作品340
  • 02. ヨハン・シュトラウス2世: ポルカ 《電光石火》 作品409
  • 03. ヨーゼフ・シュトラウス: ポルカ・マズルカ 《女心》 作品166
  • 04. ヨーゼフ・シュトラウス: ポルカ 《おしゃべりな可愛い口》 作品245
  • 05. ヨハン & ヨーゼフ・シュトラウス: ピツィカート・ポルカ
  • 06. ヨハン・シュトラウス2世: ワルツ 《ウィーンの森の物語》 作品325
  • 07. ヨハン・シュトラウス1世: 競馬のギャロップ 作品29
  • 08. ヨーゼフ・シュトラウス: ポルカ 《芸術家の挨拶》 作品274
  • 09. ヨハン・シュトラウス2世: トリッチ・トラッチ・ポルカ 作品214
  • 10. ヨハン・シュトラウス2世: 爆発ポルカ 作品43
  • 11. ヨーゼフ・シュトラウス: ポルカ 《憂いもなく》 作品271
  • 12. ヨハン・シュトラウス2世: ワルツ 《美しく青きドナウ》 作品314
  • 13. ヨハン・シュトラウス1世: ラデツキー行進曲 作品228

ディスク   2

  • 01. ヨハン・シュトラウス2世: 喜歌劇 《ジプシー男爵》 から入場行進曲
  • 02. ヨハン・シュトラウス2世: 常動曲 作品257
  • 03. ヨハン・シュトラウス2世: ポルカ 《雷鳴と電光》 作品324
  • 04. ヨハン・シュトラウス2世: 皇帝円舞曲 作品437
  • 05. ヨハン・シュトラウス2世: ポルカ・フランセーズ 《お気に召すまま》 作品372
  • 06. ヨーゼフ・シュトラウス: ポルカ 《ことづて》 作品240
  • 07. ヨハン・シュトラウス2世: ポルカ 《観光列車》 作品281
  • 08. ヨーゼフ・シュトラウス: ワルツ 《天体の音楽》 作品235
  • 09. ヨーゼフ・シュトラウス: 鍛冶屋のポルカ 作品269
  • 10. ヨハン・シュトラウス2世: 《騎士パースマーン》 作品441から チャルダーシュ
  • 11. ヨハン・シュトラウス2世: 山賊のギャロップ 作品378
  • 12. ヨハン・シュトラウス2世: ポルカ 《うわき心》 作品319
  • 13. ヨーゼフ・シュトラウス: ワルツ 《オーストラリアの村つばめ》 作品164
  • 14. ヨハン・シュトラウス2世: ポルカ 《ハンガリー万歳!》 作品332
  • 15. ヨーゼフ・シュトラウス: ポルカ 《休暇旅行で》 作品133
  • 16. ヨハン・シュトラウス2世: 喜歌劇 《こうもり》 序曲
  • 17. ヨハン・シュトラウス2世: アンネン・ポルカ 作品117
  • 18. ヨーゼフ・シュトラウス: ジョッキー・ポルカ 作品278
  • 19. ヨハン・シュトラウス2世: ポルカ 《狩り》 作品373

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本当に溜め息の出るような古きよき日々の記...

投稿日:2010/02/25 (木)

本当に溜め息の出るような古きよき日々の記録である。今年プレートル指揮の下品で残念なニューイヤーを観て、20年ほど前までは誰が振っても(アバドでさえ)素晴らしかったVPOが、もう誰が振ってもダメになってしまったことをつくづく感じさせられた。(ウィンナワルツ演奏においては、もうコシツェフィルと変わらんのじゃないか?)それはマイクを通しているから真価が伝わらないというのではない。30年以上前のモノラルのこの映像に聴かれるVPOの響きは、そのウェットで弾力のある艶やかな弦楽器群、独特のリズムを刻むウィンナホルン、華やかでありながら周りに自然に溶け込む金管楽器群、活き活きとしながらウルサクならない打楽器群など、もうとても言葉では表現しつくせない魅力に満ち満ちている。ボスコフスキーの指揮は、もうこれ以上は考えられないと感じさせる説得力100%のもの。とくに古いモノクロ映像ながらも、自らヴァイオリンを演奏しながらの騎士パスマンのチャールダーシュなどは比類がない。ボスコフスキー以後のニューイヤーは、衛星中継をビデオに録画しているものの、マゼールとカラヤン以外は繰り返し観たことがない。(クライバーにどうしてそんなに大騒ぎするのか僕にはわからない。)最近では代わる代わる有名指揮者をニューイヤーの指揮台に招いているVPOだが、そのVPOは独特の演奏様式を守るよりも、客を呼びたいのか?ディスクを売りたいのか?(もっとも伝統を守る指揮者も見当たらないか・・・)それなら、かつての映像や録音をもっと売り出してもらえないだろうか。(VPOだけでなく僕自身もいつのまにか「昔はヨカッタ」とグチるオヤジになってしまった・・・)

まこと さん | 大阪府 | 不明

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楽団員の遊び心あふれるイタズラや、時折収...

投稿日:2009/11/16 (月)

楽団員の遊び心あふれるイタズラや、時折収録されているバレエの田舎っぽい演出など、いい意味でのローカルさが堪りません。 楽しそうに演奏されている皆さんを見ていると、こちらも幸せな気分になってきます。 DVD2には様々な時代の名演奏が収録されており、楽団員の変遷や風貌の変化を観察できるなど、末永く楽しめます。 また、ボスコフスキーのインタビュー(短いですが非常に興味深い内容です)も収録されており、お得なセットだと思います。

ちゃい さん | 東京都 | 不明

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