パトリク・オウジェドニーク

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エウロペアナ 二〇世紀史概説 エクス・リブリス

パトリク・オウジェドニーク

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784560090350
ISBN 10 : 4560090351
フォーマット
出版社
発行年月
2014年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
146p;20

内容詳細

「第1回 日本翻訳大賞」受賞!

読者の思考回路をゆさぶる「歴史書/小説」

現代チェコ文学を牽引する作家が20世紀ヨーロッパ史を大胆に記述。笑いと皮肉のなかで、20世紀という時代の不条理が巧みに表出される。20以上の言語に翻訳された話題作、待望の邦訳。

一九四四年、ノルマンディーで命を落としたアメリカ兵は体格のよい男たちで、平均身長は一七三センチだった。ある者のつま先に別の者の頭を置くといった具合に戦死者を一人ずつ並べていくと、全体で三八キロの長さになるという。ドイツ兵も体格がよかったが、一番体格がよかったのは第一次世界大戦に従軍したセネガルの射撃兵で、平均身長は一七六センチだった。そのため、ドイツ兵が恐れをなすようにと、セネガルの射撃兵が最前線に送り込まれたのだ。(本書より)

虚/実、歴史/物語の境界に揺さぶりをかける、刺激的な20世紀ヨーロッパ裏面史。
「『エウロペアナ』は、そうした歴史の解体を徹底的に引き受けながらも、なお、ヨーロッパの二〇世紀を描き出そうとすると『歴史』はこのようになるのだ、というひとつの見本なのかもしれない。」(「訳者あとがき」より)

チェコの鬼才による斬新な「20世紀裏面史」
現代チェコ文学を牽引する作家が、巧みなシャッフルとコラージュによって「ヨーロッパの20世紀」を大胆に記述。国内外で反響を呼び、近年出たチェコ文学としては最も多い20以上の言語に翻訳された斬新な歴史‐小説。
66の段落から構成される本書は、タイトルからすると歴史の教科書のように見えるかもしれない。だが冒頭からその印象は裏切られ、直線的な記述ではなく、時代がシャッフルされていることに気づく。あらすじもなければ明確なプロットもなく、記録、実話、逸話、噂話、スローガン、学説などさまざまなレベルの情報がミックスされ、コラージュされるうちに、「世界大戦」「宗教」「フェミニズム」「工業化」「ファシズム」「共産主義」といった20世紀を象徴するテーマや事件が、「マスタード」「ブラジャー」「インターネット」といった日常のささやかなトピックと思わぬ形で結びつく。「ホロコースト」と「バービー人形」のつながりなど、幾多のエピソードを通じて生まれる笑いと皮肉のなかで、時代の不条理が巧みに表出されていく。
虚と実、歴史と物語の境界に揺さぶりをかけ、読者の認識や思考回路を刺激する。「20世紀ヨーロッパ裏面史」、待望の邦訳。

[原題]Europeana


【著者紹介】
パトリク・オウジェドニーク : 1957年、プラハ生まれ。1984年、フランスに渡り、チェスの講師として働いたのち、雑誌編集や辞書の編纂に携わりながらチェコ語で創作を開始。2001年に刊行された『エウロペアナ』が欧州各地で話題を呼ぶ。小説『偶然の一瞬、一八五五』がラ・スタンパ紙(伊)の2007年のベスト・ブックに選ばれたほか、詩集、戯曲、ユートピア論など、著作多数。パリ在住

阿部賢一 : 東京都生まれ。立教大学准教授。専門は中欧文化論、比較文学

篠原琢 : 東京都生まれ。東京外国語大学教授。専門は中央ヨーロッパ近・現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • ケイ さん

    ブラックでシニカルな語りに秘めた訴えに耳を傾けろ。第一次世界大戦から21世紀に入るまでのヨーロッパ全体及び各国の思想や、哲学、常識の変遷を淡々と感情をまじえずに。それでも、描写される内容で、共産主義とナチス、ロシアへの激しい糾弾と、ユダヤ国家への多少の非難が、そこだけ熱を帯びて盛り上がっているのがみてとれる。フランスとイギリスに対しては、その舌が少し甘いな…と思っていたら、解説を読んで納得した。彼はチェコからフランスに亡命していた。共産主義の恐ろしさをここから読み取って欲しいと思う。

  • matfalcon さん

    共産主義がは政治体制ではなく、歴史だという。必要な物資がそれを必要とする人に均霑するのが理想なら、iPhoneの最新式が日本円で17万円もするパプアニューギニアはその歴史を見ていない。この66段落の現代の徒然草は筆の赴くままに世界をえぐりとる。ちなみに、世界の言語の240が96%を占め、残りの4%に5,421が犇き、話者が1人だけというのも51あるという。

  • 旅するランナー さん

    チェコ作家によるブラックジョーク歴史随筆。20世紀の大いなる失望は、義務教育や教養や文化のおかげで人間がより優れ、より人間的になると19世紀に期待されたことが実現しなかった点だって。人類の愚かさを再認識できる。

  • harass さん

    防毒マスクをしたロバ?と両側の人間の表紙が印象的な本。勝手に分厚く大きな本だと思い込んでいたが実物は薄く小さく拍子抜けした。場所や時間がランダムに語られる、20世紀の歴史エピソード。二度の世界大戦の話が多い。なんどか意図的に繰り返される話がある。登場人物がないので小説ではないが歴史書というわけでもない。筒井康隆の短編であったような印象。だいたい世界大戦の話はグロテスクで皮肉に満ちたものが多く、戦後から今現在までの繋がりにやるせなさを感じる。教科書のような冷徹な語りは、諦観が漂う。図書館本。

  • zirou1984 さん

    20世紀は歴史の意図を糸としてほつれさせる世紀だった。それは必然性を持って漸進的に発展している訳ではなく、法則的なものが見出せないまま時に幾度も同じ場所を巡るように積み重なっていくものだと。だからこそ本書は20世紀をそのように描き出す。一つの軸に収めることなく、わからないものとしてその重さを幾重にも塗り重ねるように描き出されたそれは、困難な20世紀を過ごしたチェコという地場も当然関係しているだろう。しかしながらそうしたわからなさに留まって安易さを拒絶する態度こそ、たまらなく胸を震えさせてくれるのだ。

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1957年、プラハ生まれ。1984年、フランスに渡り、チェスの講師として働いたのち、雑誌編集や辞書の編纂に携わりながらチェコ語で創作を開始。2001年に刊行された『エウロペアナ』が欧州各地で話題を呼ぶ。小説『偶然の一瞬、一八五五』がラ・スタンパ紙(伊)の2007年のベスト・ブックに選ばれたほか、詩集

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