-フリー・ジャズも結構聴かれるのでしょうか?
「そんなに沢山は聴いていないですけど。やっぱり、フリー・ジャズってめちゃくちゃ難しいって言えば難しくて、あれも、スピリチュアル・ジャズ同様、感情的な部分を聴き取るしかないんでね。」
-Calmさんの中で、スピリチュアル・ジャズとフリー・ジャズの線引きはどの辺になるのでしょうか?
「意外と近いんですよね。モードとかバップとかに比べると、両者はかなり近いですね。でも、モードとかバップのスタイルでもって、フリー・ジャズの精神でガッとやると、意外にスピリチュアル・ジャズになるんじゃないかなっていう勝手な想像もあるんですけど(笑)。だから、フリー・ジャズを(カタチから)真似したら、多分何もできないと思うんですよ。本当のフリー・ジャズではないと思うんですよ。そういう人達はいっぱいいますけどね(笑)」
-以前、Calmさんのある寄稿で、「最初にターンテーブルに乗せた、自分の中でのジャズ作品」にSteve Reichの名前を挙げていましたよね。
「あの人は、楽器とかの組み合わせが違うだけで、精神的にはジャズのミュージシャンにすごく近いのかなって思ったんですよね。冒険しているところや、実験しているところなんかで。ただ、やっていることが、テープ・コラージュだったり、ループさせていたりっていうのが多いだけであって。例えば今、ヒップホップの中でも「これはジャズなんじゃないの?」ってよく言われる、その考え方に近いのかなと思うんですけどね。さらに言えば、Steve Reichは、ものすごく聴きやすいと思うんですよ、他の現代音楽なんかに比べると。」
-Reichも、ご自身の作品に与えた影響は多々ありましたか?
「やっぱり、あのループ感はすごく(影響的に)大きいですよね。一番は、判るか、判らないかの感じでの実験性というか(笑)。極端な実験性を出している時もあるんですけど、「あ、ここ地味に実験してるなぁ」みたいなところをたまに発見できたりすると、面白いですね。派手に判り易くやるのは、聴く方からすれば簡単でいいとは思うんですけど、もう少し「宝探し」みたいな発見がある感じでやるのが、自分も好きなんで。そういう部分では考え方が近いのかなって思いますね」
-「クラブ・ミュージック」と「ジャズ」。この2つの便宜的に「カテゴライズされた」コトバを、Calmさんご自身はどのように捉えているのでしょうか?
「自分の中では、クラブ・ミュージックって、クラブでかけれる音楽は大体そうなんじゃないかと思っているんですけど。でも、クラブでもバラードや、ビートがないものだってかけれるし。その中に、ジャズが入ってくるのかなって気がするんですけど」
-例えば、すごく一般的に「クラブ・ミュージック」=「踊れなくてはいけない」、昔ほどではないかも知れませんが、「ジャズ」=「少し敷居が高いもの」というような感覚があるかと思うのですが。
「多分、ジャズは、ある程度理論的なものを理解した上で、演奏したり、それを壊したりとかする部分があると思うんですが、クラブ・ミュージックは、理論的な部分が解ってなくても、それができるというか。でも、出てくるものは意外と同じだったりする場合もあるんですけど。要は、解ってやっているかと、解らずにやっているかの違いが、大きいかなと思うんですよ。音楽的理論を理解した上でやっている人が、全てジャズかというと、それはまた別の問題になってくるかと思うんですが。そういう意味で「敷居が高い」ってことなんでしょうね」