パット・メセニー 新刺激的音空間
2012年6月8日 (金)
クリス・ポッター、ベン・ウィリアムス、アントニオ・サンチェスと組んだユニティ・バンド。様々なギター、オーケストリオンを駆使しつつ、約30年ぶりにサックスをフィーチュア。
2010年は驚異の自動演奏装置を駆使した『オーケストリオン』、2011年はグラミー受賞した初のカヴァー楽曲によるソロ・アコースティック・ギター作『ホワッツ・イット・オール・アバウト』、という、ここ2年は「ソロ・プロジェクト」的アルバムが続いたパット・メセニー。そろそろ「パット・メセニー・グループ(PMG)」の新作か、という期待をよそに、全く新しいバンド「ユニティ・バンド」を立ち上げた。
メンバーは、クリス・ポッター、ベン・ウィリアムスという現代ジャズ・シーン最前線において最も注目されているふたり、そしてPMGでおなじみのアントニオ・サンチェスという強力な布陣をひいてきた。
バンドでの録音としては、クリスチャン・マクブライド、アントニオ・サンチェスとのトリオによる『Day Trip』(2008年)以来、約4年ぶりとなる。更に、自身の作品でサックス奏者をフロントとして起用するのは、マイケル・ブレッカー、デューイ・レッドンマンが参加した『80/81』(1980年)以来、約30年を超える。
サックス奏者との共演、またはアルバム参加となると、オーネット・コールマンとの『Song X』(1985年)、マイケル・ブレッカーの『Michaelo Brecker』(1987年)、ゲイリー・トーマス『Till We Have Faces』(1992年)、ジョシュア・レッドマン『Wish』(1993年)、マイケル・ブレッカー『Tales From The Hudson』(1996年)、ケニー・ギャレット『Pursuance: The Music Of John Coltrane』(1996年)、デイヴ・リーブマン『The elements: Water』(1998年)、ケニー・ギャレット『Simply Said』(1999年)、マイケル・ブレッカー『Time Is of the Essence』(1999年)、マイケル・ブレッカー『Nearness of You / The Ballad Book』(2001年)などが挙げられる。
しかし、今になって何故サックスを加えたバンドを結成しようとメセニーは思いあたっただろうか?
『80/81』以来、これといった適切なサックス奏者は見当たらず、マイケルもデューイも他界。そのまま30年という歳月が経ってしまったようだ。そんな彼が、サックスとのコンビネーションを再度試みようと思わせた人物こそ、クリス・ポッターであった。アントニオ・サンチェスの2007年リリース初リーダー作『Migration』でポッターと共演したメセニーは、いつか彼とのプロジェクトを実現させるべく構想を練っていたようだ。
ベースのベン・ウィリアムスとは、クリスチャン・マクブライドに招かれ、ジュリアードの生徒達の演奏を見たときだった。そのときのベンのプレイはメセニーに特別な感情を芽生えさせたという。それは、あのジャコ・パストリアスのメロディ-の影響以上を感じる時もあるという。メセニーは、クリスチャン・マクブライドのサブとしてトリオに参加させていたこともあり、このユニティ・バンドへの参加に至った。
アルバム収録は全てパット・メセニーのペンによる新曲。美しいアコースティック・ギターの調べでスタートし、リズム・インに続いてサックスがメロディーを奏でるM1「New Year」でアルバムは幕を開ける。ギター・シンセを駆使したM2「Roofdogs」では、それに呼応したポッターがソプラノ・サックスでエモーショナルなソロを自在に吹き上げる。
ポッターのバスクラとメセニーのギターによるエキゾチックなイントロから一転、骨太なリズムでグルーヴするM3「Come And See」、再びアコースティック・ギターを使用した美しいバラードM4「This Belongs To You」。そしてインプロヴィゼーションから派生し、あのオーケストリオンとの共演が実現した感動的大作M7「Signals (Orchestrion Sketch)」。など。
フレーズの応酬、洪水とも言えるパット・メセニーとクリス・ポッターのフロント、そしてしなやかかつ躍動グルーヴするベン・ウィリアムスとアントニオ・サンチェスのリズム。この4つの音が渾然一体となり、その時々から生まれるメロディーとリズムがまるで生き物のように交錯する。まさにジャズ界の頂点に達しつつも、常に新たな刺激を模索するギタリストと、今後ジャズ界を背負うであろう、技術と感性に溢れるプレイヤー達が出会い、創り出した、現代ジャズの目指すひとつの到達点とも言える作品ではなかろうか。
ユニティ・バンドは6月24日のドイツを皮切りにワールド・ツアーをスタートする。日本公演が待ち遠しい。
TRACK LISTING
1 New Year2 Roofdogs
3 Come and See
4 This Belongs to You
5 Leaving Town
6 Interval Waltz
7 Signals (Orchestrion Sketch)
8 Then and Now
9 Breakdealer
MUSICIANS
Pat Metheny, electric and acoustic guitars, guitar synth, orchestrionicsChris Potter, tenor sax, bass clarinet, soprano sax
Ben Williams, acoustic bass
Antonio Sanchez, drums
PRODUCTION CREDITS
Produced by Pat MethenyAssociate Producer: Steve Rodby
Recorded February 2012 at Avatar Studios, New York, NY
Recorded by James Farber
Assistant Engineer: Bob Mallory
Mixed by Pete Karam
Mastered by Ted Jensen at Sterling Sound, New York, NY
Photography: Jack Vartoogian, Jimmy Katz
Art Direction: Barbara deWilde
Executive Producer: Robert Hurwitz
●クリス・ポッター(1971年1月1日生 )
アメリカはシカゴ生まれ。自己のグループ活動のほか、ジム・ホールやデイヴ・ホランドのグループに参加するなど、コンテンポラリージャズシーンでの活躍他、フュージョン、ファンク的なアプローチも得意としており、スティーリー・ダンの20年ぶりのオリジナルアルバム『トゥー・アゲインスト・ネイチャー』のレコーディングに参加するなどしている。
●ベン・ウィリアムス
ワシントンD.C.生まれで現在20代半ば。ミシガン州立大学でジャズや音楽教育を専攻し、ベースとピアノのコンペティションでたびたび優勝。デューク・エリントン協会の最優秀奨学生に選ばれるほか、2005年には「International Society of Bassists Competition(in the category of jazz)」のファースト・プライズも獲得。これまでの共演者は、ウィントン・マルサリス、テレンス・ブランチャード、ロイ・ハーグローブ、マルグリュー・ミラーなど 。ジョン・レジェンドのオープニング・アクトを務めたこともある。また渡辺貞夫の近作や山中千尋の『フォーエヴァ・ビギンズ』への参加でも注目を集め初リーダー作『ステイト・オブ・アート』をリリース。
●アントニオ・サンチェス(1971年11月1日、メキシコ・シティ生まれ)
2001年からパット・メセニー・グループのレギュラー・メンバーとなり、『スピーキング・オブ・ナウ』に参加、翌年同グループの一員として初来日を果たす。パットは、クリスチャン・マクブライドとのトリオでもサンチェスを起用。またマイケル・ブレッカーの『ワイド・アングルズ』のレコーディング&日本公演でも好演を繰り広げてきた。さらに2004年1月のマイケル・ブレッカー・バンド、2005年のパット・メセニー・グループでの“ザ・ウェイ・アップ・ツアー”で、2006年5月のゲイリー・バートン・カルテット・リヴィジティッド・フィーチャリング・パット・メセニー、スティーヴ・スワロー&アントニオ・サンチェスで来日公演を果たし、その強力なドラミングで多くのファンを獲得している。
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
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国内盤
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輸入盤 Live In New York At Jazz Standard
Antonio Sanchez
価格(税込) : ¥3,740
会員価格(税込) : ¥3,254発売日:2010年09月20日
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