トップ > 音楽CD・DVD > ニュース > ジャズ > ジャズヴォーカル > 21世紀のカサンドラ、そしてブルース

21世紀のカサンドラ、そしてブルース

2010年10月28日 (木)


Cassandra Wilson

 
Silver Pony

 
 Cassandra Wilson / Silver Pony
 EMI ミュージック ジャパン  TOCJ66535 2010年11月3日発売
 
 日本先行リリース。カサンドラ・ウィルソンのブルーノート9作目は、自らに挑戦を課した作品。以前からのバンド・メンバーを一部残しつつも新しいバンドを結成し、サックス奏者ラヴィ・コルトレーンとシンガーのジョン・レジェンドをスタジオに迎えたコラボレーションも実現。ツアー中に録音された音楽に感銘を受け、さらにニューオーリンズのスタジオでも録音し、ライヴとスタジオ録音が継ぎ目なくつながるようなアルバムが完成。セビリア公演におけるボサノバの名曲「ア・デイ・イン・ザ・ライフ・オブ・ア・フール」の軽快なライヴ・ヴァージョンやスタジオで録音されたレノン=マッカートニー楽曲のファンキーでリラックスしたカヴァー「ブラックバード」、スティーヴィー・ワンダーの楽曲を優しくカヴァーした「イフ・イッツ・マジック」なども収録。

(HMV レビュー)


「Silver Pony」
収   録   曲

* はライヴ録音


*01. Lover Come Back To Me 恋人よ我に帰れ 
(Sigmund Romberg / Oscar Hammerstein U)

*02. Went Down To St. James Infirmary セント・ジェームズ病院 
(Joe Primrose)

*03. A Night In Seville セビリアの夜 
(Cassandra Wilson)

 04. Silver Moon シルヴァー・ムーン feat. ラヴィ・コルトレーン
(Cassandra Wilson)

*05. Saddle Up My Pony サドル・アップ・マイ・ポニー
(Charley Patton)

 06. If It's Magic イフ・イッツ・マジック
(Stevie Wonder)

 07. Forty Days And Forty Nights フォーティ・デイズ・アンド・フォーティ・ナイツ
(Muddy Waters)

*08. Silver Pony シルヴァー・ポニー
(Cassandra Wilson)

*09. A Day In The Life Of A Fool ア・デイ・イン・ザ・ライフ・オブ・ア・フール
(Luiz Bonfa / Antonio Maria / Carl Sigman)

 10. Blackbird ブラックバード
(John Lennon / Paul McCartney)

 11. Watch The Sunrise ウォッチ・ザ・サンライズ feat. ジョン・レジェンド
(John Legend)


[ 録音ミュージシャン ]

カサンドラ・ウィルソン(ヴォーカル、シンセサイザー、ベースドラム)
マーヴィ・スーウェル(ギター)
ハーリン・ライリー(ドラムス)
レカン・ババロラ(パーカッション)
レジナルド・ヴィール(ベース)
ジョナサン・バティスト(ピアノ、フェンダー・ローズ)

● プロデューサー: カサンドラ・ウィルソン & ジョン・フィッシュバッハ





[ 新作について ]

 これまでブルーノートから8作のアルバムを発売、2作でグラミー賞(『ニュー・ムーン・ドーター』(1995年) 第39回:最優秀ジャズ・ボーカル・パフォーマンス、『ラヴァリー〜恋人のように』(2008年) 第51回最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム)を受賞したカサンドラのブルーノート9作目は、自らに挑戦を課した作品。

 以前からのバンドメンバーを一部残しつつも新しいバンドを結成し、サックス奏者ラヴィ・コルトレーンとシンガーのジョン・レジェンドをスタジオに迎え、コラボレーションも実現。

 「本格的になっていくバンドのケミストリーを何としても記録しなければならないと思った」というカサンドラはスペインのグラナダでのコンサートで「恋人よ我に帰れ」と「セント・ジェームズ病院」をライヴ録音。両曲とも前作『ラヴァリー〜恋人のように』にも収録されているが、「恋人よ我に帰れ」が前作では「1940年代のフィーリング」を持っていたのに対し、今作ではライリー(ds)のパワフルなブラシ使いに駆り立てられた「スウィングに対するポストモダンなアプローチ」となっている。一方、「セント・ジェームズ病院」は前作で聞かれたアップテンポなグル―ヴをさらに深化させ、全く新しい音楽的テリトリーに辿りついている。「ひとたび曲が空中に放たれると、自然な進化が起こるの」とカサンドラは語る。「曲に何かが起こるのよ」。

 ツアー中に録音された音楽に感銘を受け、さらにニューオーリンズのスタジオでも録音し、ライヴとスタジオ録音が継ぎ目なくつながるようなアルバムが完成した。

 セビリア公演におけるボサノバの名曲「ア・デイ・イン・ザ・ライフ・オブ・ア・フール」の軽快なライヴ・ヴァージョンやスタジオで録音されたレノン/マッカートニーのスタンダードのファンキーでリラックスしたカヴァー「ブラックバード」、スティーヴィー・ワンダーの楽曲を優しくカヴァーした「イフ・イッツ・マジック」なども収録。

 『シルヴァー・ポニー』は「ウォッチ・ザ・サンライズ」で終わる。シンガーのジョン・レジェンドが念願のコラボレーションを実現すべく、彼女に送った新曲だ。明るく意外な楽曲で、終わりというよりも、むしろ輝かしい始まりのようなサウンドだ。


EMI ミュージック・ジャパン



Cassandra Wilson




Cassandra Wilson バイオグラフィ


 1955年12月4日、ミシシッピ州ジャクソン生まれ。父親が熱心なジャズ・ファンで、幼い頃よりジャズに親しむ。ピアノとギターを学ぶ。ハイスクールではジョニ・ミッチェル、ボブ・ディラン、ジェイムス・テイラーなどフォーク/ロックに興味を示す。ニューオリンズでエリス・マルサリスと出会い、ジャズ中心の活動になる。1982年にニューヨークへ進出。M-Baseを推進するスティーヴ・コールマンと出会い、コールマン率いるフリー・ファンクのバンドで活躍。1985年にファースト・アルバム『ポイント・オブ・ビュー』(JMT)を録音した。ジャズ、フリー・ファンク、エスニックなどがミックスされた独自の個性を確立して、次々に話題作を発表する。1993年にブルーノートと契約。第1弾『ブルー・ライト』がセンセーショナルな話題を呼び、ブレイクを成し遂げる。ブルーノート移籍後、カサンドラはブルースに根差したオリジナリティあふれる音楽を志向した。『ニュー・ムーン・ドーター』(1995年)では、グラミー賞の最優秀ジャズ・ボーカル・パフォーマンス受賞。また、ダウンビート誌の国際批評家投票では女性ジャズ・ボーカルのウィナーの常連となる。2001年にはタイム誌で「ベスト・シンガー」に選出、ジャズを超えて不動の評価を得る。以降、ジャッキー・テラソンとのコラボレートによるスタンダード集『テネシー・ワルツ』(1997年)、マイルス・デイヴィスへ捧げた『トラヴェリング・マイルス』(1999年)、ブルース志向を強めた『ベリー・オブ・ザ・サン』(2002年)、『グラマード』(2003年)を発表。2006年には、Tボーン・バーネットをプロデューサーに迎え、打ち込みサウンドなどを大胆に取り入れた『サンダーバード』を発表。2008年、ブルーノートからは初となるフル・スタンダード作『ラヴァリー』を発表。第51回グラミー賞「最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバム」を受賞。2009年には、これまでリリースしてきたポップ、ロックのカヴァー・ソングを纏めた日本独自企画のコレクション・アルバム『クローサー・トゥ・ユー』を発表している。





21世紀のブルース、前人未踏の境地へ


 ポニーに跨った4歳のカサンドラ・ウィルソンがジャケット・デザインを飾る新録アルバム『Silver Pony』は、スペインのグラナダ、セビリアでの各コンサート録音と、そうしたツアー中に湧き出たアイデアをすぐさま具現化したニューオーリンズにおけるスタジオ録音とで基本的には構成されている。ライヴ・テイク、スタジオ・テイク、2つの異なる空間で生み出された楽曲がここでは一体化し、まさに「カサンドラ・ウィルソン」というカテゴライズ、テリトライズ不問の希有なアーティスト像そのものを浮かび上がらせている。  

 共同プロデューサーのジョン・フィッシュバッハが舌を巻くほど、本作品の制作期間におけるカサンドラとバンド・メンバーとの相互関係は濃密で、創造力とそこに向かうがための絶妙な緊張感に満ちていたという。ギタリストのマーヴィン・スーウェル、ドラマーのハーリン・ライリー、パーカッショニストのレカン・ババロラ、ベーシストのレジナルド・ヴィールと、すでに旧知の間柄となる伴奏陣ではあるものの、なるほど『Silver Pony』にはありきたりなアンサンブルやインプロヴィゼーションとは一線を画した、唄と演奏によるリアルな対話が記録されている。むしろ彼らを伴奏ミュージシャンと呼ぶことさえも無理が生じてくるほどだ。2008年のフル・スタンダード・アルバム『Loverly』にも収められた「恋人よ我に帰れ」、「セント・ジェームズ病院」、冒頭に置かれたこの2つのスタンダード曲の再解釈をお聴きいただければ、カサンドラと彼らがいかにディープで繊細なつながりを保ちながら、互いの共通言語を探りあてることに没頭しているかがお分かりになるだろう。

 「これはバンド・アルバムなの」というカサンドラ。そのコメント以上に彼女の中で何かが覚醒したんだ、とハッとさせられる瞬間がそこかしこにあった。



Cassandra Wilson



 そして、やはりこの人はブルースの唄い手だと、強く感じた。ミシシッピ州ジャクソンを故郷とし、デルタ・ブルースに自己の明確な音楽的バックグラウンドを持つことは、2002年のアルバム『Belly of The Sun』でもはっきりと示されたわけだが、この『Silver Pony』であらためて、カサンドラがかの地に生を受け、そこを基盤としながら独自の含蓄豊かな思想や表現方法を育んできたということを思い知らされた。  

 カサンドラは、コンテンポラリー・ジャズ・シンガーの中でもとりわけブルース・ナンバーを取り上げることが多く、その解釈の巧さにも定評があるシンガーとして知られるが、JMTレーベルからBlue Noteに移籍した1993年あたりからこの傾向が強くなることは多くの方がご存知のところかもしれない。

 折りしも90年代前半というのは、ケヴ・モ( くしくもカサンドラと同じ年にロバート・ジョンソン「Come On In My Kitchen」をOkehレーベルに吹き込んでいる)、アルヴィン・ヤングブラッド・ハートガイ・デイヴィスケリー・ジョー・フェルプスといったブルース改革推進派から、ベン・ハーパーG・ラヴジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンベックといった完全オルタナティヴ勢にまで至る多くのアーティストが、継承型のコンテンポラリー・ブルースとは全く異質の「次の世代のブルース」を発芽させようと、その芳しき伝統に様々な実験的なアプローチをぶつけていた時代でもあった。

Cassandra Wilson
 また時を同じくして、R&B、ソウルの土壌においても、エリカ・バドゥジル・スコットミシェル・ンデゲオチェロローリン・ヒルエンダンビディオンヌ・ファリスといった同時代の才媛たちが、新しい質感のソウル・ミュージックを求める旅に向かおうとし、その道すがら彼女たちが目指したポストモダンのいち指標には、カサンドラのブルーノートからの最初のアルバム『Blue Light Til Dawn』(1993年)があったことは想像に難くないはずだ。それはのちに、エリカやジルらとはファミリーとも言えるヒップホップ・グループ、ザ・ルーツとのアルバム共演(1994年の『Do You Want More』所収「Swept Away」、96年の『Illadelph Halflife』所収「One Shine」)や、『Belly of the Sun』収録の「Just Another Parade」におけるインディア・アリーとの共唱というカタチで鮮明に具現化されていく。あるいは、サントラ盤『Love Jones』(1997年)、『Brown Sugar』(2002年)などに、所謂「オーガニックR&B」と称される彼女たちの楽曲とカサンドラの楽曲が何の違和感もなく同じ地平で収められていることにも顕著なのかもしれない。こうした視点から、かねてからコラボレーションを切望していたというジョン・レジェンドとの共演曲「Watch The Sunrise」(レジェンド作曲)を耳にすると、この20年弱においてジャズ、ブルース、R&B/ソウル、ヒップホップ、ロック/ポップスの距離がより一層縮まった、さらに言えばそうしたカテゴライズこそが最も無意味で無力だということを再度痛感させられる。

 『Blue Light Til Dawn』では、有名ジャズ・スタンダードや、ジョニ・ミッチェルヴァン・モリソンアン・ピーブルズの名曲に交じって、ミシシッピ・デルタ・ブルースの巨人、ロバート・ジョンソンの「Come On In My Kitchen」、「Hell Hound On My Trail」の2曲を取り上げている。いや、慎ましげに取り上げているというよりは、「これが私の紛れもないルーツなのよ」と言わんばかりの堂々たる歌唱、と言った方がしっくりくるかもしれない。それは、「ジャズの世界でずっと無視され続けてきた」(カサンドラ談) ギターという楽器を弾きながら歌うことに幼い頃から慣れ親しんできた、彼女自身のスタイルにおける根本をついに突き止めた瞬間とも言えるだろう。そして、そのルーツ回帰は、図らずも「次の世代の新しいブルース」として即座に符号化されていくこととなる。もちろんそこに解釈の革新性や、なにより豊かな歌唱表現に比類なき才があったからこそなのだが、すくなくともカサンドラがジャズという表現場所の中で自己のルーツであるブルースをしっかりと見つめ直したというアティテュードそのものが、90年代以降により多岐・細分化される価値観の中で同胞・同志の共鳴を呼び、真に「新しいブルース」または「新しいソウル」の出現を直接的にも間接的にも引き起こした一種のカンフル剤となったのではないだろうか。ここにはまた、ほぼ同時期にエリック・クラプトンがMTVアンプラグドで提示したブルースの蘇生論とは対極的なイデオロギーが存在していることをも意味している、そういう気がしてならない。

Cassandra Wilson
 『Blue Light 〜』以降の具体的なブルースのレパートリーとしては、1996年の『New Moon Daughter』で、ロバート・ジョンソンにも多大なる影響を与えたデルタ・ブルースの創始者、サン・ハウスの「Death Letter」を、彼の故郷にもあたるミシシッピ州クラークスデールの旧駅舎で録音された先述の『Belly of The Sun』(2002年)では、メンフィスのフォーク・ブルース系シンガー、フレッド・マクドウェルの「You Gotta Move」を、ブラジル〜ラテン音楽色が全体的に濃くなった『Glamoured』においてもシカゴ・ブルースの父(出身はミシシッピ州ローリング・フォーク)、マディー・ウォーターズの「Honey Bee」を、Tボーン・バーネットのプロデュースによる『Thunderbird』では、レッドベリーブラインド・レモン・ジェファースンでおなじみのトラディショナル・ソング 「Easy Rider Blues」やウィリー・ディクソンの「I Want To Be Loved」(マディやエタ・ジェイムスのヴァージョンでおなじみだろう)を取り上げている。つまり、マイルス集スタンダード集ジャッキー・テラソンとの共演作といったコンセプト作品や企画盤を除く全作で必ずブルース・カヴァーを耳にすることができるということだ。またライヴでは、ロバート・ジョンソン「I Believe I'll Dust My Broom」、このたび『Silver Pony』にも収録されたマディ・ウォーターズの「40 Days And 40 Nights」や、チャーリー・パットンの「Saddle Up My Pony」などが頻繁に唄われているのはファンの間ではすくなからず有名だろう。

 今回の欧州ツアー中の移動バスの中でカサンドラは、絶えずChessレコーズの歴史を映画化した『キャデラック・レコード』のDVDをバンド・メンバーと鑑賞していたという。その結果か否か、「Saddle Up My Pony」では、素晴らしいドブロ・ギターを披露してくれるマーヴィン・スーウェル(g)らと共に ”21世紀のブルース前人未踏の境地” に足を踏み込んでみせている。彼女にとってブルースが不動の黄金律をもつ恒久的なものであると同時に、触れるたびに刺激的な新しい発見がある、今だ未知なる可能性を孕む”種”であることを窺わせる一幕だ。そうした意味でも、カサンドラ・ウィルソンはやはりブルースの唄い手だと思う。ミシシッピ・デルタ地帯のブルースを主たる出自とし、ブルースを背景に、ブルースを進化させてゆく。ときにジャズの中で、ときにR&Bの中で、ときにジョビンの中で、ときにビートルズボブ・ディランの中で。

 『Silver Pony』は、ひとくちに「野心的なジャズ・ヴォーカル作品」と呼べる一方で、現在において「最も進化を遂げたブルースに出逢えるアルバム」だとも確信している。21世紀ブルースの黄金律を知る。



その他の関連記事はこちら


 









 2009年のグラミー賞受賞後に日本企画盤として編集されたカヴァー集。カサンドラの過去にレコーディングされた、ロック、ポップ、ソウルのカヴァー曲だけを集めたベスト・アルバム。これまでヒップホップやロック・シーンなど多方面から注目を集めてきたカサンドラだけあり、その内容も多様。 シンディ・ローパー「タイム・アフター・タイム」、スティング「フラジャイル」、ザ・バンド「ザ・ウェイト」、ヴァン・モリスン「テュペロ・ハニー」、アン・ピーブルズ「アイ・キャント・スタンド・ザ・レイン」などを収録。  










 前作『Tunnderbird』で T・ボーン・バーネットを迎え、ジャズの極限に迫ったカサンドラが2年ぶりに発表したブルーノート8作目で、自身にとってはブルーノートより初となるフル・スタンダード・アルバム。珠玉の名曲を妥協することなく解釈したその表現力に注目。




  • Thunderbird

    Cassandra Wilson
    『Thunderbird』
    (2006)

    今までのアコースティック志向のサウンドから曲によってはサンプリング/プログラミングを大胆に採り入れた2006年発表作。Tボーン・バーネットをプロデューサーに招聘し、ゲストには、ケブ・モ、ジム・ケルトナーら様々な多彩なジャンルのミュージシャンを起用。「Closer To You」は、ジェイコブ・ディランによる曲・・・

  • Glamoured

    Cassandra Wilson
    『Glamoured』
    (2003)

    スティング「Fragile」、ボブ・ディラン「Lay Lady Lay」などの6曲のカヴァーを含みながらも、すべて自己の歌として昇華するカサンドラの表現力にあらためて舌を巻く2003年作品。故郷ミシシッピと大都会NYでの録音、2タイプの楽曲がたのしめる。プロデュースは、伊ジャズ界の個性派ギタリスト、ファブリツィオ・ソッティ。 ・・・

  • Belly Of The Sun

    Cassandra Wilson
    『Belly Of The Sun』
    (2002)

    ザ・バンド「The Weight」で幕を開け、アントニオ・カルロス・ジョビンの「Waters Of March」、ジェイムス・テイラー「Only A Dream In Rio」、ボブ・ディラン「Shelter From The Storm」など、まるでカサンドラのステージを堪能しているかのようなドマティックな16曲が収録された2002年作品。録音はミシシッピ州クラークスデールにある旧駅舎で行なわれたという。「Just Another Parade」はインディア・アリーとのデュエット・・・

  • Traveling Miles

    Cassandra Wilson
    『Traveling Miles』
    (1999)

    数多あるトリビュート作品とは一線を画すオリジナルな内容と、カサンドラの歌とマイルス・デイヴィスのオリジナル演奏との対比という見方など、多くの愉しみ方を与えてくれる1999年作品。ジャズのフィールドを飛び出したカサンドラの素晴らしさが記録された1枚でもある。パット・メセニー、アンジェリーク・キジョーらがゲスト参加・・・

  • New Moon Daughter

    Cassandra Wilson
    『New Moon Daughter』
    (1995)

    1995年発表のブルーノート第2作で第39回グラミー賞「最優秀ジャズ・ボーカル・パフォーマンス」を受賞。U2の「Love Is Blindness」があれば、ニール・ヤングの「Harvest Moon」もあるが、真骨頂はやはりサン・ハウスのデルタ・ブルース古典「Death Letter」だろう。ダークなれどウォームな神秘世界がやけに心地よい。アーバン・ブルース・オリエンテッド路線のジャズが全国区となるきっかけを作った本作によって、後のノラ・ジョーンズら新世代(新感覚)女流シンガーを送り出す土壌が出来上がったと言っても過言ではない・・・

  • Blue Light Til Dawn

    Cassandra Wilson
    『Blue Light Til Dawn』
    (1993)

    ブルーノート移籍第1作目にして、センセーショナルな話題を各方面で呼んだ作品。ロバート・ジョンソンのカントリー・ブルースから、アン・ピーブルズ、チャールズ・ブラウン、ヴァン・モリソン、ジョニ・ミッチェルに至るまで、否が応にも興味をそそるカヴァー選曲においてもその独特のオルタナ感覚に鋭さを見せている。故郷ミシシッピのディープ・サウス・ブルースの伝統がジャズをオルグし、ついにはそれを遥かに超える。ビリー・ホリデイ、ニーナ・シモンの影をちらつかせながらも、すこぶる新しく固有な感覚を振りまく、真に時代が欲した女流シンガーの登場をアナウンスした衝撃の1枚・・・





  • Dance To The Drums Again

    Cassandra Wilson
    『Dance To The Drums Again』
    (1992)

    マイルス・デイヴィスの曲にカサンドラが詞を添えた「Blue In Green」や有名スタンドードの「I Wished On The Moon」などジャズ的イディオムを散りばめつつも、全体的にはまだまだM-Baseファンク・テイストが充満した感のある1stリーダー・アルバム。自作曲も2曲・・・

  • After The Beginning Again

    Cassandra Wilson
    『After The Beginning Again』
    (1991)

    無国籍風のパーカッシヴなバックを背にした、90年代のカサンドラの歌世界を網羅したような内容。のちに『Blue Light Til Dawn』で再演される「Redbone」でのアフロ・パーカッションと同化したパフォーマンスは、ニーナ・シモン「Funkier Than A Mosquito's Tweeter」のオブスキュアな世界にも肉薄している・・・

  • Live

    Cassandra Wilson
    『Live』
    (1991)

    ジェイムス・ウェイドマン(p)、ケヴィン・ブルース・ハリス(b)、マーク・ジョンソン(ds)のピアノトリオをバックにしたライヴ盤。M-Base路線を踏襲した変拍子ファンク・ナンバーを中心としたパフォーマンス・・・

  • She Who Weeps

    Cassandra Wilson
    『She Who Weeps』
    (1990)

    ジャン・ポール・ブレリーとの共同プロデュースとなったJMT期作品で最もブルージーな1枚。「Chelsea Bridge」、「Body and Soul」といったスタンダードやアレサ・フランクリンの「Angel」などにも独特の黒さがとぐろを巻いている。タイトル曲は、大のモータウン・ファンだったという母親の作った子守唄・・・

  • Jump World

    Cassandra Wilson
    『Jump World』
    (1989)

    「カサンドラ・ミーツ・M-Base」といった趣向の80年代末期の作品。コールマン、ユーバンクス、ヘインズ、オズビーたちの演奏にも2000年以降とは異なる、まさに変革の時を求める意気込みが込められている。変拍子とファンク・リズムという、ロフトジャズ時代におけるコールマンの理論を感覚的に推し進めたようなサウンドは、この時代の空気を見事に抽出している・・・

  • Blue Skies

    Cassandra Wilson
    『Blue Skies』
    (1988)

    マルグリュー・ミラー(p)、ロニー・プラキシコ(b)、テリー・リン・キャリントン(ds)のピアノトリオをバックに制作された初の本格的スタンダード集。ナット・キング・コールでおなじみの「Sweet Lorraine」をピアノ伴奏だけで優雅に唄うカサンドラ。オーソドックスな作りだけに今聴くと逆に新鮮・・・

  • Days Aweigh

    Cassandra Wilson
    『Days Aweigh』
    (1987)

    カサンドラの初期作品の中でも最も「M Base」色の強い作品メンバーが参加したアルバムで、インスト・ファンからの支持の高いアルバム。『Point Of View』に続くJMTレーベル第2弾。31歳とは思えない貫禄を感じさせ、その後大輪を咲かせるであろうことを十分に予感させるマイルストーン的な作品・・・

  • Point of View

    Cassandra Wilson
    『Point of View』
    (1985)

    マイルス・デイヴィスの曲にカサンドラが詞を添えた「Blue In Green」や有名スタンドードの「I Wished On The Moon」など独自解釈のジャズ的イディオムを散りばめつつも、全体的にはまだまだM-Baseファンク・テイストを残す1stリーダー・アルバム。自作曲も2曲収録・・・

  • Anatomy Of A Groove

    M-Base
    『Anatomy Of A Groove』
    (1992)

    80年代後半から注目を集めたM-Baseだったが、90年代に入るとメンバー個々がソロ活動に走りがちだったためやや失速・・・そこで統帥スティーヴ・コールマンが奮起一発、キーマンたちを召集し録音した1992年のオールスターズ企画盤・・・

  • Sings Standards

    Cassandra Wilson
    『Sings Standards』
    (2002)

    JMT/Banboo レーベルに吹き込んだ1986〜92年の初期作品の中からジャズ・スタンダードのみを厳選したベスト・アルバム・・・





  • Complete Recordings

    Robert Johnson
    『Complete Recordings』

    言わずと知れたデルタ・ブルースの巨人、ロバート・ジョンソン。27年という短い人生の中で録音された全29曲(42テイク)を収録した3枚組の初回限定紙ジャケ盤。エリック・クラプトンやキース・リチャーズらに影響を与えた楽曲が、深く魂に訴えかける・・・

  • Original Delta Blues

    Son House
    『Original Delta Blues』

    1964年に「再発見」されたミシシッピ州クラークスデール出身のデルタ・ブルース・シンガー、サン・ハウス。再発見の翌年1965年4月に吹き込んだものをまとめた録音盤『Father Of The Delta Blues』を元にしたコンピレーション。また、『Father Of The Delta Blues』にもカサンドラがカヴァーした「Death Letter」の再録ヴァージョンが収められている・・・

  • You Gotta Move

    Fred McDowell
    『You Gotta Move』

    フォーク・ブルース・ブームにおいて再評価を受けたメンフィスのカントリー・ブルースマン、フレッド・マクドウェル。1964、65年の録音を中心としたArhoolie編集盤。ローリング・ストーンズが取り上げたタイトル曲や、90年代にブラック・クロウズのカヴァーで広く知られるようになった「Shake 'Em on Down」などの代表曲を網羅・・・

  • Real Folk Blues / More Real Folk Blues

    Muddy Waters
    『Real Folk Blues / More Real Folk Blues』

    シカゴ・ブルース大王、マディ・ウォータースがChessレーベルに残した2枚のオリジナル・アルバムを1枚にまとめた徳用盤。カサンドラがカヴァーした「Honey Bee」、「Forty Days and Forty Nights」、ローリング・ストーンズのエル・モカンボ・ギグでおなじみの「Mannish Boy」など入門編にもうってつけの収録内容。また、リトル・ウォルター(hca)、ジミー・ロジャース(g)、オーティス・スパン(p)、フランシス・クレイ(ds)といった50〜60年代シカゴ・ブルース黄金期を代表する猛者たちの素晴らしいプレイも聴きドコロ・・・

  • Best of

    Blind Lemon Jefferson 『Best of』

    テキサス州カウチマン出身で、1920年代に活躍したブルース・マン、ブラインド・レモン・ジェファースン。力強く澄んだ歌声、リズミカルでアタックの強いギターに舌鼓を打つ、1926〜28年にかけて吹き込まれた音源からの厳選ベスト。「See That My Grave Is Kept Clean」はボブ・ディランがカヴァーしたことで有名となった・・・

  • I Am The Blues

    Willie Dixon
    『I Am The Blues』

    ミシシッピ州ヴィックスバーグ生まれで、ソングライター、プロデューサー、ベーシスト、シンガーとしてブルース黄金期を影で支えてきたウィリー・ディクソン。シカゴ・ブルースにおける代表曲の多くを生み出したその作曲及び作詞能力は特筆すべきもの。1954年に提供したマディ・ウォーターズ「I'm Your Hoochie Coochie Man」を皮切りに、同じくマディの「I Just Want to Make Love to You」、「I'm Ready」、ハウリン・ウルフの「Spoonful」、「Little Red Rooster」、サニー・ボーイ・ウィリアムスン「Bring It on Home」、ボ・ディドリー「Pretty Thing」、オーティス・ラッシュ「I Can't Quit You Baby」など次々とヒット曲を世に送り出した。これらの楽曲は現在に至るまで多くのロック・アーティストたちにも取り上げられ、その遺伝子が受け継がれている。ブルース、そしてロックの「偉大なる父」だ・・・





  * 画像をクリックしてアーティスト・ページへ
  • Bessie Smith   Ma Rainey   Billie Holiday

  • Lucille Bogan   Victoria Spivey   Memphis Minnie

  • Sister Rosetta Tharpe   Mahalia Jackson   Abbey Lincoln

  • Nina Simone   Esther Phillips   Etta James

  • Aretha Franklin   Ann Peebles   Staple Singers

  • Roberta Flack   Phoebe Snow   Dee Dee Bridgewater

  • Kellee Patterson   Marlena Shaw   Carmen Lundy

  • Joni Mitchell   Laura Nyro   Karen Dalton

  • Joan Armatrading   Bonnie Raitt   Rory Block

  • Dolores Duran   Omara Portuondo   Marcia Griffiths

  • 浅川マキ   青江三奈   Sandra Alexandra

  • Lizzy Mercier Descloux   Tracy Chapman   Oleta Adams

  • Erykah Badu   Meshell Ndegeocello   Angelique Kidjo

  • India Arie   Courtney Dowe   Elisabeth Kontomanou

  • UA   Lizz Wright   Rokia Traore

  • Laika Fatien   Sara Tavares   Tutu Puoane

  • Melissa Laveaux   Mina Agossi   Eden Brent