please enable JavaScript on this site.
Guest
Platinum Stage
Gold Stage
Bronze Stage
Regular Stage
Buy Books, CDs, DVDs, Blu-ray and Goods at HMV&BOOKS online
Advanced Search
TOP > My page > Review List of つよしくん
Previous Page
Next Page
Showing 1576 - 1590 of 1958 items
%%header%%
%%message%%
4 people agree with this review 2010/02/12
ジュリーニの全盛時代は、ロサンジェルス・フィルの音楽監督をしていた70年代後半から80年代前半にかけてではないだろうか。80年代も後半になると、極端に遅いテンポによる粘着質の演奏に陥ることもあり、曲によって出来にムラが出来てくる傾向にあった。しかし、全盛時代のジュリーニは、イタリア人指揮者ならではの豊かな歌謡性と、ドイツ音楽にも通暁するような重厚な造型美が織りなす堂々たる素晴らしい名演の数々を生み出していたと言える。本盤におさめられた3曲は、78年という全盛時代。しかも、楽団史上最高の状態にあった天下のベルリン・フィルを指揮したということで、演奏が悪かろうはずがない。特に、ラヴェルのマ・メール・ロウとドビュッシーの海は、ジュリーニが何度もスタジオ録音を行った十八番とも言える楽曲であるが、本盤の演奏は、ライブならではの熱気も相まって、ジュリーニによる両曲の最高の名演と評価したい。特に、マ・メール・ロウの気品ある優美さは、この時代のジュリーニ、そしてベルリン・フィルだからこそ成し遂げられた至高の美演と言えよう。海の情感に満ち溢れた繊細な歌い方、そしてここぞという時の重量感溢れる演奏も大指揮者の風格が漂っているし、初登場の左手のためのピアノ協奏曲も、重厚さと繊細なタッチが見事に融合した稀有の名演である。録音も、70年代後半のライブ録音として、これ以上はない高い水準を誇っている。
4 people agree with this review
Agree with this review
6 people agree with this review 2010/02/12
ヴァントのブルックナーは既に神格化されているが、その芸術が至高の境地に達したのは90年代後半である。特に、ベルリン・フィルと組んで遺した第5、第4、第9、第7、そして最後の第8は、人類共通の至宝と言うべきであるが、今般、これらの至宝に、更に、ミュンヘン・フィルと組んだ至高の名演群(第6と第7が入れ替わっているが)が加わることになった。いずれ劣らぬ名演揃いであるが、その中でも、ヴァントの自伝にも記されているが、第5と第9は、ブルックナーが妥協を許さずに作曲した作品として、特に愛着を持って接していたようで、他の指揮者の追随を許さない超名演に仕上がっている。本盤は、この1カ月後にライブ録音したベルリン・フィル盤と並んで、ヴァントの第5の総決算とも言うべき超名演である。両盤に優劣をつけることは困難であるが、違いはオーケストラの響きぐらいのものであり、これだけの高次元のレベルに達すると、後は好みの問題ということになるであろう。厳格なスコアリーディングに基づく剛毅にして重厚な演奏スタイルであるが、80年代のヴァントに見られたような、凝縮しすぎるあまりスケールが矮小化されるという欠点もいささかも見られない。リズムにも柔軟性が付加されており、硬軟併せ持つバランスのとれた名演と言うべきである。終結部の微動だにしない圧倒的な迫力はこの超名演の締めくくりに相応しいものであり、演奏終了後の聴衆の熱狂も当然のことにように思われる。
6 people agree with this review
7 people agree with this review 2010/02/12
ボリス・ゴドノフは、ロシア(ソヴィエト時代を含め)史上最高のオペラである。同時代の傑作には、チャイコフスキーのエフゲニーオネーギンなどもあるが、史実を軸としつつも、そこに、帝政ロシア末期の社会矛盾を如実に反映させた内容の深さにおいて、ボリス・ゴドノフをトップの座に据えることに何ら躊躇するものではない。これだけの傑作だけに、ロシア系の指揮者だけでなく、カラヤンやアバドなどの大指揮者によっても数々の録音がなされてきた。ロシア系の指揮者では、ゲルギエフの名演も記憶に新しい。しかし、指揮者の統率力やオーケストラの巧さ、合唱陣や独唱陣の名唱、そして英デッカの極上の録音を加味すれば、カラヤン盤こそ、ボリス・ゴドノフの最高の名盤と言っても過言ではあるまい。最近では評判の良くないR・コルサコフ版を使用しているが、名演奏の前に版は殆ど問題にならない。プロローグや第4楽章の冒頭、そして第3場の、カラヤンが本場ブルガリアからわざわざ呼び寄せたソフィア放送合唱団を駆使した重厚な実在感のある響きは最高だし、第2楽章のボリスの苦しい独白、第3楽章のマリーナとグリゴリーの愛の二かけあい、そして第4楽章第2場のボリスの死の場面の苦悩などの心理面の描き方は実にすばらしく、オペラを得意としたカラヤンならではの至芸と言うべきだろう。カラヤンにとっても決してなじみではなかった東欧諸国の名歌手に、これだけの名唱をさせたカラヤンの超絶的な統率力、そして、ウィーン・フィルのこれ以上は求め得ないような好演にも拍手を送りたい。
7 people agree with this review
2 people agree with this review 2010/02/11
「ブロウチェク氏の旅」はなかなかの名作だとは思うが、数々のヤナーチェクのオペラの中にあっては、利口な女狐の物語やイエヌーファなどに比して、知る人ぞ知る存在に甘んじている。主人公であるブロウチェクが月に旅したり、フス戦争時代の15世紀に旅をしたりするなど、きわめて奇想天外なストーリーであり、特に、第1部の多くの芸術至上主義者が登場する箇所の筋立てが相当に複雑であり、それ故に、あまり親しみを持って迎えられていないのかもしれない。しかしながら、一人二役や三役と言った、登場人物に伏線を設けている点や、モラヴィアの音階を巧みに取り入れた実に美しい民謡風の繊細な音楽など、ヤナーチェクの個性が満載の魅力作であると言うべきであり、本盤登場までは、輸入盤を含め入手できるCDすら市場にないというのは実に悲しむべきことであった。そのような中で、本盤の、しかも国内盤の登場というのは、大いに歓迎すべき快挙であると言える。チェコ出身のビエロフラーヴェクの指揮は、同国人のヤナーチェクへの深い愛着が溢れる感動的なものであり、BBC交響楽団や歌手陣、合唱団も最高のパフォーマンスを示している。演奏終了後の圧倒的な拍手喝さいも、当日の深い感動を示していると言える。この組み合わせで、ヤナーチェクの他のオペラ録音を聴いてみたいと思ったのは、私だけではないのではあるまいか。
2 people agree with this review
9 people agree with this review 2010/02/11
穏健派に磨きがかかってきたハイティンクならではの実に美しいベートーヴェンの交響曲全集だ。これほどわめいたり咆哮したりしないベートーヴェンというのはなかなか類例は見ないのではなかろうか。もちろん、ベートーヴェンを威圧の対象にするのはいかがとも思うが、しかし、表面的な美しさに終わってしまうのならば、ライバルとなる名演盤がひしめいているだけに、実に退屈な演奏に陥ってしまうという危険性を孕んでいる。そして、ハイティンクは、その危険性の落とし穴にはまってしまった。全集の中で、少し評価できるのは、第1、第2、第6とトリプルコンチェルトのみだ。特に、第6は、穏健派のハイティンクとの相性は決して悪くなく、田園という曲の優美さが聴き手によく伝わってくる。第1や第2、そしてトリプルコンチェルトは、ベストの演奏とは到底言えないものの、緩徐楽章などにはそれなりの感動がある。しかし、その他の曲は、表層的な美しさだけが際立つ実に浅薄な凡演だ。特に、第3、第5、第7など、根源的な力強さに全く欠けている。第9も、あまりの軟弱さのため、最後まで聴きとおすのが実に辛かった。SACDマルチチャンネルによる高音質録音が虚しく聴こえたのは大変残念だ。
9 people agree with this review
3 people agree with this review 2010/02/11
カラヤン&ベルリン・フィルの全盛時代に録音された超名演である。カラヤンはR・シュトラウスを得意とし、あまたの名演を遺しているが、本盤におさめられた死と変容、メタモルフォーゼン、4つの最後の歌の3曲については、本盤の演奏こそがベストの名演と言うことができるだろう。死と変容については、各局面の描き分けが実に巧みであり、オーケストラの卓抜した技量をベースにしたダイナミックレンジも実にスケールの大きい雄大なものだ。いわゆる死の戦いの迫力も凄まじいものがあるが、他方、終結部の天国的な美しさも、これ以上は求められないような至高・至純の境地に達している。メタモルフォーゼンは、R・シュトラウスに直接了解をもらっての大型の編成による演奏であるが、ベルリン・フィルの圧倒的な弦楽合奏の迫力に唖然としてしまう。もちろん、技術偏重には陥っておらず、同曲に込められた作曲者の深い懺悔や悲哀のようなものを、カラヤンは圧倒的な統率力で描き尽くしている。4つの最後の歌は、メタモルフォーゼンと並ぶ作曲者の人生の最後を飾る畢生の名曲であるが、ヤノヴィッツの名唱も相まって、同曲をこれほど美しく演奏した例はほかにはないのではなかろうか。ルビジウムカッティングによる高音質化もなかなか成功しているように思う。
3 people agree with this review
シューマンの「子供のためのアルバム」は、数々のピアノ作品を遺したシューマンの作品の中でもとりわけ異彩を放つものである。自分の愛娘のピアノ練習のために作曲しただけあって、第1部、第2部のそれぞれを構成する楽曲に、具体的な表題が付されているのが特徴であり、旋律も愛らしくて実に親しみやすい。第1部と第2部の間に、幼い子供と年上の子供というように、年齢に応じた差をつけている点も、いかにも自らの愛娘姉妹のためのアルバムといった趣きである。江崎昌子は、前作のブルグミュラーの練習曲もそうであったが、このような練習用の曲に大いなる価値を見出しているようだ。本盤のライナーノーツには、江崎昌子による各曲の説明が載っているが、これらを見ながら聴くと、江崎昌子の本作品への深い愛着や理解がよくわかる。要するに、江崎昌子は、例えばショパンのマズルカ集などの一流の芸術作品に接するのと同じような真摯な姿勢で、シューマンの子供用の練習曲にも接しているのである。練習用の曲を決して蔑にせずに取り組んでいくその真摯な姿勢は、大いに評価してもいいのではなかろうか。演奏も、シューマンの愛娘に対する深い愛情が伝わってくるような温かいぬくもりのある名演と評価したい。SACDによる高音質録音も実に鮮明で素晴らしい。
4 people agree with this review 2010/02/10
20世紀を代表する2つのヴァイオリン協奏曲をおさめているが、両曲ともに、ヴァイオリニスト、指揮者、オーケストラの三拍子が揃った類まれなる名演だと思う。ベルクのヴァイオリン協奏曲は、親しかったアルマ・マーラーの愛娘の死を悼んだレクイエムであると同時に、自らの死を予感した自伝的作品とも言われるが、パールマンは、決して技巧のみを全面に打ち出してはいない。ヴァイオリニストにとっての難曲の一つであり、超絶的な技巧を要する曲であるのだが、パールマンは、むしろ内容重視。ベルクが同曲に込めた人生の寂寥感や絶望などを、実に清澄な美しい音色で描いて行くが、表面的な美しさにとどまらず、同曲に込められた深い内容を掘り下げていこうという真摯なアプローチが素晴らしい。それでいて、卓越した技量にはいささかの不足はなく、このような現代音楽を得意とした小澤&ボストン交響楽団も、これ以上は求め得ないほどの最高のパフォーマンスを示している。ストラヴィンスキーのヴァイオリン協奏曲は、ベルクに比べると、暗いトンネルを抜けた明るさが持ち味の曲であるが、あくまでも内容重視のパールマンのアプローチや小澤&ボストン交響楽団の好パフォーマンスには変わりがない。他方、併録のツィガーヌは、パールマンの超絶的な技巧を味わうことができる名演だ。
3 people agree with this review 2010/02/08
1960年という、カラヤンがウィーン国立歌劇場の監督をしていた、名実ともにヨーロッパの楽壇の帝王であった全盛時代の名演である。何よりも、歌手陣がいかにも豪華だ。当時のウィーンで活躍していたギューデン、クメント、ケート、そしてヴァルター・ベリーなどの歌手陣だけでも豪華なのに、加えてガラ・パフォーマンスとして、テバルディ、二ルソン、デル・モナコ、ベルガンサ、プライスなど、オペラの主役級の超豪華歌手陣を揃えている。当時の帝王カラヤンの有無を言わせぬ圧倒的な権威を象徴するものと言えるだろう。そして、これら超豪華歌手陣を圧倒的な統率力で纏め上げたカラヤンの力量も驚異的の一言であり、「こうもり」という娯楽作を一流の芸術作品にまで引き上げた手腕は、さすがという他はない。カラヤン&ウィーン・フィルも、実に躍動感溢れる演奏を行っており、こうもりに必要不可欠の、「会議は踊る」といった表現に相応しいウィーン風の高貴かつ優美な雰囲気の醸成にもいささかの不足はない。こうもりには、クライバーの名演もあるが、歌手陣の豪華さ、そしてカラヤンの圧倒的な統率力、ウィーン・フィルの高貴にして優美な演奏に鑑みれば、カラヤンの二度目の録音となる本盤の演奏を、同曲随一の名演と評価することに躊躇しない。
3 people agree with this review 2010/02/07
ストラヴィンスキーはブーレーズが最も得意とするレパートリーと言えるが、その演奏スタイルは若き日の前衛時代と比較すると、ずいぶんと角が取れてきたように思う。特に、69年にクリーヴランド管弦楽団とスタジオ録音を行った春の祭典など、あまりの尖鋭的な切れ味鋭い凄演に、完全にノックアウトされてしまった記憶がある。あれから約40年。ブーレーズもさすがに円熟の境地に至ったのであろう。したがって、3楽章の交響曲など、時折、若き日のブーレーズならではの尖鋭性の片鱗も見られるものの、いささかこじんまりと纏まりすぎたのかなという気がする。それでも、シカゴ交響楽団の卓抜たる技量を活かした演奏は見事であり、決してブーレーズの名声に泥を塗るような演奏には陥っていない。むしろ、現在のブーレーズのアプローチに相応しいのは、プルチネッラの方だろう。ストラヴィンスキーが新古典主義を迎えた時代の音楽であり、若き日の角が取れ、円熟の境地を迎えつつあるブーレーズと、楽曲の性格が見事に符合するからである。独唱陣も好演であり、シカゴ交響楽団もブーレーズの棒と渾然一体となった名演を成し遂げている。録音は、SACDマルチチャンネルによる極上の高音質であり、ブーレーズ&シカゴ交響楽団の名演をこれ以上は求められないような音場で味わうことができるのは素晴らしい。
6 people agree with this review 2010/02/07
シューベルトの最後の3つのピアノソナタは、ブルックナーの交響曲第7〜9番やマーラーの交響曲第9番などにも匹敵する至高の巨峰である。31歳という若さでこの世と別れなければならなかったシューベルトの内面の深い死との葛藤や、生への妄執や憧憬が表れていると思うからだ(ブルックナーの交響曲については、神への崇高な畏敬などやや異なる面もあると思われるが)。したがって、これら3曲を演奏する際には、演奏者側にも単なる技量ではなく、楽曲への深い洞察力と理解が求められると言えるだろう。本盤のポリー二の演奏については、技量という意味においてはほとんど問題はない。他の作曲家の諸曲においてもそうであるが、研ぎ澄まされた技量や、透明感溢れる明晰なタッチによって、楽曲を一点の曇りもなくダイレクトに表現することにおいては、他のピアニストに比肩する者はいないのではないかと思う。しかし、シューベルトの3大ピアノソナタの場合はそれだけでは不十分だ。例えば第21番に目を向けると、第1楽章の低音のトリル。ポリーニは楽譜に忠実に描いてはいるが、そこには深みとか凄みが全く感じられない。例えば、内田光子やリヒテルなどの地底から響いてくるような不気味な弾き方と比較すると、浅薄さがあらわになってしまう。終楽章の死神のワルツも、内田光子の後ろ髪を引かれるような弾き方に比べると、表層を取り繕っただけの底の浅さが明確だ。本盤は、ポリーニの欠点が露呈しまった凡演であるが、本盤の録音されたのは今から約20年前。彼がその後どれだけ成長したのか興味は尽きず、再録音を大いに望みたい。
1 people agree with this review 2010/02/06
本盤が録音された73年は、巨匠ベームがまだまだ数々の名演を成し遂げていた時期である。当時、ドイツの正統派の巨匠と目されていた全盛期のベームと、これまた当時絶頂期にあった鋼鉄のピアニストであるギレリスの組み合わせ。一見すると水と油のような関係。しかも、ベームのモーツァルトのピアノ協奏曲第27番には、バックハウスと組んだ歴史的名盤がある。このような数々のハンディに鑑みると、本演奏の不利は否めないところであるが、聴き終えてそれは杞憂に終わった。意外にも、この組み合わせはなかなかに合うのである。ベームは、いつものように厳しい造型の下、重厚でシンフォニックな演奏を行っている。派手さはなく、スコアに書かれている音符を真摯にかつ重厚に鳴らしていくという質実剛健たるアプローチだ。それでいて、モーツァルトに不可欠の高貴な優美さにも不足はなく、全盛期のベームならではの名演と言えるだろう。ギレリスも、ベートーヴェンの演奏で見せるような峻厳さはなく、モーツァルトの楽曲に相応しい繊細で優美なタッチを見せている。正に意外な組み合わせによる異色の名演と評価したい。2台のピアノのための協奏曲も、同様のアプローチによる名演で、特にギレリスの愛娘であるエレーナ・ギレリスのピアノが聴かれるのも貴重だ。
1 people agree with this review
0 people agree with this review 2010/02/06
第4はブルックナーの交響曲の入門曲と目されているだけに、古今東西のブルックナー指揮者のみならず、ブルックナーをあまり指揮しない指揮者によっても多くの録音・演奏がなされている交響曲である。オーソドックスな名演としてはベーム&ウィーン・フィルが忘れられないし、最近では朝比奈&大阪フィルやヴァント&北ドイツ放送響(あるいはベルリン・フィルやミュンヘン・フィル)の超名演があった。更には、ムーティ&ベルリン・フィルの意外な指揮者による異色の名演も記憶に新しい。そのような数々の名演を聴いた上で、やはり原点にというか、故郷に帰ってくるような感慨を覚える演奏がこのヨッフム&ベルリン・フィルによる名演だ。決して派手さはなく、いわゆる巧言令色からは程遠い。しかし、このような質実剛健たる愚直とも言うべきアプローチこそが、ブルックナーの第4に最も相応しい解釈と言うことができるだろう。忘れてはならないのは、ベルリン・フィルが重厚でパワフルないかにもブルックナーの交響曲に不可欠の好演を行っているという点だ。ヨッフムは、その後、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団と再録音を行っているが、統率力にいささか綻びが見られることもあり、オーケストラの技量や録音も含めて、本盤の方を上位に置きたい。夜の騎行と日の出は、ヨッフムとしてはきわめて珍しいレパートリーと言える。北欧の指揮者の演奏に慣れた耳からすると、いかにもドイツ的なやぼったさを感じるが、決して凡演というわけではなく、重厚さと繊細さを兼ね備えたなかなかの佳演である。
0 people agree with this review
3 people agree with this review 2010/02/05
マーラーの交響曲第9番は、間違いなくマーラーの最高傑作であるが、それだけに古今東西の様々な大指揮者によって数々の名演がなされてきた。これらの名演には、それぞれ特徴があるが、どちらかと言えば、楽曲の性格に準じた劇的な演奏が主流のような気がする。特に、ワルター&ウィーン・フィルや、バーンスタイン&COA、テンシュテット&LPOなどが超名演とされているのもその証左と言えるだろう。そのような数々の名演の中で、クレンペラーの演奏は異色の名演と言える。これほどの劇的な交響曲なのに、殆ど微動だにしない、ゆったりとしたインテンポで通した演奏は、純音楽的な同曲の名演を成し遂げたカラヤンやバルビローリなどにも見られない特異な性格のものと言える。それでいて、マーラーが同曲に込めた死との戦いや、生への妄執や憧憬などが、我々聴き手にしっかりと伝わってくるというのは、クレンペラーの至高の指揮芸術を示すものと言えるだろう。あまりのスローテンポのため、例えば、第3楽章の後半や終楽章の頂点において、アンサンブルに多少の乱れが生じるが、演奏全体から滲み出てくる同曲への深い愛着と情念を考慮すれば、殆ど気にならない演奏上の瑕疵と言える。HQCD化による音質向上効果は著しく、この異色の名演に華を添える結果となっている。
3 people agree with this review 2010/02/04
プレートルは数年前までは知る人ぞ知る指揮者であったが、ニューイヤーコンサートへの初登場を契機として発売された、マーラーの第5や第6、そして、昨年発売されたブルックナーの第8やベートーヴェンの第9の超名演によって、現代における最高の巨匠の一人と目されるに至った指揮者である。フランス人でありながら、ウィンナワルツを含め、独墺系の音楽を巧みに、そして感動的に指揮できる手腕は実に優れたものがあると言えるだろう。このような中で発売された本盤のブルックナーの第7であるが、超個性的な名演ということができると思う。とにかく異常な快速のテンポである。全体を何と60分という凄まじいハイテンポで駆け抜けている。おそらくは史上最速の第7だろう。各楽章の第1主題と第2主題の間では、テンポの大幅な変化をつけている。このような個性的な解釈による演奏は、ブルックナーの交響曲としてはいささか禁じ手との言えるが、それでもこれだけの深い感動を与えてくれるというのは、プレートルが、ブルックナーの交響曲への深い愛着と理解があるからにほかならないだろう。演奏終了後の一瞬の間も、当日の聴衆の深い感動を表していると言える。ベルリン・ドイツ交響楽団も、こうした個性的かつ快速の演奏にしっかりとついていっており、見事な好演を示していることも特筆すべきだろう。
Back to Top