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2 people agree with this review 2010/08/15
ドミンゴのシェニエがとにかく素晴らしい。ほんの少し声がかすれぎみになる場面がありますが、そこに感情が表れているように感じられ、単なる声の美しさ、正確に音符通り歌うとかいう域を超えて劇的な表現を存分に味わうことができます。 アンナ・トモワ=シントウも歌唱、演技ともにドミンゴに負けていません。 シェニエという役はある意味初めから終わりまで変わらない心情を持ち続けていますが、マッダレーナ・コワニーという役は、貴族のお嬢さんから革命に巻き込まれ、肉親を殺され、命を狙われ、孤独になるなどドラマチックな生きざまをするのでそれだけ音楽にも演技にも変化が求められますが、その点から観てもトモワ=シントウは素晴らしい記録を残しています。 他のオペラ歌手にしてもジェラール役のジョルジョ・ザンカナーロも素晴らしいし、ルーシェ役のジョナサン・サマーズもユーモアがあっていい。ベルシ役のシンシア・ブキャンも力強い歌唱をみせるし、密偵役のジョン・ドブソンは多少演技が臭いがそれらしくて面白いです。 そして指揮のユリウス・ルーデルも華やかでまるい(かどのない)演奏をしています。 ところでバリトンのジョルジョ・ザンカナーロですが、シェリル・ミルンズやレナート・ブルゾン、レオ・ヌッチ、ファン・ポンスらに比べるとオペラの全曲CDが少ないように思えるのですがなぜでしょうか? 個人的には彼らより素晴らしいと思いますが・・・。 それは指揮者ユリウス・ルーデルにも言えることだと思います。 ユリウス・ルーデル指揮、サン・フランシスコ歌劇場の『サムソンとデリラ』(これまたドミンゴがサムソン役を歌っています。) これも学生時代LDでよく観ました。現在『サムソンとデリラ』はメトロポリタン歌劇場のDVDが出ていますが、これよりもサン・フランシスコ歌劇場の方が演出も舞台装置も個人的に好きです。 これもぜひ国内版DVDで販売していただきたいです。
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3 people agree with this review 2010/08/15
美しく、楽しい音楽が全編にちりばめられていて、『舟歌』は特に有名。 タイトルロールを歌うプラシド・ドミンゴは、CDではDECCAとDeutsche grammophonで録音を残しておりますが、それらより素晴らしい歌唱で、しかも映像ということで当たり前ですが演技も楽しめます。 個人的におすすめなのが第三幕です。アントニア役のイレアナ・コトルバスが音楽家になる夢と主婦になるかという人生の選択の場面(そこに不治の病が襲う)で素晴らし歌唱と演技をしていて観る人の心を打ちます。 コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラハウスのメンバーの演技もしっかりしています。さすがシェークスピアの国だと思わせます。 プロローグでの合唱に多少ずれがありますがそれはライブならではのもの。酒場の楽しい雰囲気がよく出でいます。 演出も舞台セットも具体的でわかりやすいです。 指揮はジョルジュ・プレートル。 多少早めのテンポをとって上演時間の長いほうであるこの作品を飽きさせず楽しませてくれます。
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0 people agree with this review 2010/08/15
歌劇『マノン・レスコー』ではプッチーニ独特の華やかなオーケストレーションが楽しめ、美しいアリアも多く初心者にもお勧めです。 このDVDでは「マノン」役のレナータ・スコットと「デ・グリュー」を歌うプラシド・ドミンゴがとにかく素晴らしいです。 指揮のジェームズ・レヴァインは特に目立って良いところがあるわけではなく、そつなくという印象です。 舞台の方はメトロポリタン歌劇場ならでの広い豪華なセットが見ものです。 演出は作曲家ジャン=カルロ・メノッティ。(と言っても歌劇『アマールと夜の訪問者』とヴァイオリン協奏曲しか私は聴いたことがありません。) 演出と言っても何か特別なことをしている感じを受けませんが、具体的で自然な所がいいです。 ちなみにコベント・ガーデン・ロイヤル・オペラハウスでのライブDVDも出ていますが、個人的には演奏にしても演出(舞台装置や衣装)にしてもメトロポリタン歌劇場の方をお勧めします。 (コベント・ガーデンでは「マノン」がキリ・テ・カナワ、「デ・グリュー」が同じくドミンゴ、指揮がジュゼッペ・シノーポリです。→もちろん素晴らしい公演です。)
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3 people agree with this review 2010/08/14
このDVDはスタジオで録音した音源をもとに、スタジオでセットを組んだ映画版の映像だ。(一部カットあり。) 単純な感想をいうと感動した。これは最後場面の演出にもよるのだが、歌劇『ポーギーとベス』はハッピーな物語ではなくシリアスなドラマだ。 考えさせられるところが多かった。 ベスという身体障害者の乞食にベスという娼婦で麻薬中毒者。この登場人物のシチュエーションを考えてみてもヨーロッパの歌劇の歴史とは違う新大陸アメリカならではの社会現象・問題定義を突き付けていると思う。それがまた現代にも通じるもので、ヨーロッパの歌劇の根底にある貴族的なものとは大きく異なる文脈を感じる。 アメリカだからこそ生れた。 そしてガーシュインだからこそ書けた音楽。 この歌劇で次に感動的だったのは第一幕第二場の葬式の場面だ。貧しい人々が集まってカンパし、葬式の費用を工面する助け合いの場面。そしてキリストに死者への安らかな眠りを祈る音楽。 多くある歌劇の中で葬式の場面は数少ないと思う。その意味で貴重な場面でもあるし、傑作に値すると思う。大変印象的な場面だ。 個人的には「サマータイム」よりベスが第二幕で歌う気楽な「おれにはないものばかり」が気にいった。 以前、本だったか雑誌かなにかで歌劇『ポーギとベス』には黒人しかでないから黒人だけで上演ができるとあったがそれは間違いで、警察官や刑事役で白人も登場します。貧民窟の黒人との対比でやはり警察官や刑事は白人がやらないと舞台が(戯曲の意味が)引き立たないでしょう。
0 people agree with this review 2010/08/14
20世紀アメリカにおいて指揮者としてだけでなく、ミュージカル『ウエストサイドストーリー』など多くの作品を残し、作曲家としても有名なレナード・バーンスタイン(1918-1990)。 彼が1952年に作曲しその後改訂などをして、1973年に映画版として作られたのがこの映像。 アメリカの郊外にマイホームをもち、子供が一人いて結婚十年目を迎えたとある夫婦の物語。 一見どこにでもいる幸せそうな夫婦。裕福な方に属するのだろう。 夫は社会的にも、肉体的にも強い男として世間から見られたいと願い、仕事もばりばりこなし、子供の学芸会そっちのけでスポーツクラブに通う。 妻は精神科のカウンセリングに通い心を慰め、エステに行って外見にも気を配る。 しかし、夫婦はお互いに心を開いて本音を話し合えない。 本当に望んでいる生活はこんなものではないということを。 この物語、今から半世紀も前のアメリカの作品なのに、現代日本の夫婦のとある日常そのものではないかと思う。 いろいろと考えさせられる作品だ。 歌劇としての魅力より(音楽)、テーマがよく出来ていると思う。 ちなみに台本はバーンスタイン本人が書いている。
5 people agree with this review 2010/08/14
ニコライ・リムスキィー=コルサコフ(1844-1908)最後の歌劇作品にして最高傑作の『金鶏』の映像による名演。 1989年7月12日に東京文化会館で行われたボリショイ歌劇場日本公演のライブ映像。 指揮はエフゲニー・スヴェトラーノフ。 この舞台を生で味わった人はなんて幸せな人でしょう。 現在国内版で歌劇『金鶏』はこのNHKのものと、TDKから出ているケント・ナガノ指揮、市川猿之助演出、シャトレ座のものと2種類でていますが、断然ボリショイ歌劇場の方をお勧めします。 もちろん猿之助さんの演出もこれは文句なく素晴らしいものだと思います。歌手たちもよく稽古をしてこの演出からはみださずに調和を保って一つの猿之助ワールドの中にしっかり入っています。 シェマハの女王はボリショイよりシャトレ座のほうの歌手(オリガ・トリフォノワ)のほうが役に合っています。ボリショイのイリーナ・ジューリナは歌唱も素晴らしく演技も一生懸命で愛嬌もあるのですが歌っている歌詞の内容とのつり合いが・・・いえいえ見た目より歌唱のほうが優先ですので・・・(観てのお楽しみ)。 ゲオルギー・アンシーモフによるボリショイ版はオーソドックスな演出ですが、ロシアの持つファンタステックなイメージをシンプルな舞台装置と明るく楽しい舞台衣装で存分に魅せてくれます。(美術はマリーナ・ソコロワ) 第二幕のドドン王とシェマハの女王の長い二重唄ではドドン王の心に思うことを二人の背後でボリショイ・バレエ団のソリストに踊らせるなどして飽きさせません。(第一幕でドドン王が昼寝をする場面でも同様です。) 具体的にイメージを見せたりしていますので初めてのこの歌劇を観る人にも親切な演出だと思います。 そして指揮のスヴェトラーノフがこの作品を愛し、生の舞台の動きなどにも細心の注意をはらった素晴らしい演奏を聴かせてくれます。 幕あきの序奏からしてリムスキー=コルサコフが書いた音楽の魅力を十二分に鳴らしています。 コンサート指揮者として印象が強いだけに、劇場で歌手たちや合唱団、オーケストラをひっぱっていくその姿に新鮮さを感じました。 ドドン王を歌うマクシム・ミハイロフは歌唱もさることながら、演技でも人の良いおとぎのくにの王様を自然に表現しています。 金鶏を踊っているボリショイ・バレエ団のソリストも素晴らしいです。 この物語はおとぎ話に当時の帝政ロシア末期の体質を批判したメッセージが込められていて、そのために猿之助さんのような演出もしっくりくるのだと思います。 しかし猿之助さんの演出も下手をすると他のどんな歌劇作品を演出しても猿之助さんの(歌舞伎の)様式が全面に強くですぎてなにをしても同ものになってしまう危険性をはらんでいるように思います。ただそのことは、それだけ歌舞伎の持つ様式がオリジナルなものだということの証明でもあるかと思います。 純ロシア的なボリショイの演出でも単にロシアの物語ということを超えてどの時代でも、どこの国でも普遍的にありえることだと感じさせることがこの作品の力であり魅力だと思います。
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3 people agree with this review 2010/08/12
イタリアの作曲家ジャコモ・プッチーニ(1858-1924)最後の作品。 (未完で、弟子のフランコ・アルフャーノが補筆完成。) 中国を舞台とした作品で、全編エキゾチックな音楽が鳴り響き、プッチーニ独特の美しい旋律とオーケストレーションで豪華絢爛な絵巻物を観ているようです。 何といっても第三幕の冒頭で勝利を信じて王子カラフ(テノール)が歌うアリア「誰も寝てはならぬ」が有名ですが、第一幕の北京の群衆の合唱曲から最後に再び北京の群衆が中国の皇帝と王女、その婿(王子カラフ)、中国の未来を『愛』というキーワードで大合唱するシーンまで(ここで再び「誰も寝てはならぬ」の旋律が合唱によって歌われます。)聴き所、観所満載の作品です。 第二幕の三人の大臣ピン・ポン・パンのアンサンブルも楽しいですし、その後皇帝の前にカラフが出て行き、三つの謎を解いていく場面も中国的な旋律が使われていて観ている自分までがその場に包まれているような感覚を覚えます。 このタイトルトールは中国の王女(絶世の美女)トゥーランドット(ソプラノ)ですが、同じくソプラノのリュー(カラフの召使=奴隷)の方が、第一幕で歌うアリア「王子様、お聞きください」や第三幕の感動的なアリア「氷におおわれたあなた様」など美しいアリアを歌います。 この映像は1987年4月のメトロポリタン歌劇場のライブ収録で、指揮がジェームズ・レヴァイン、メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団。 トゥーランドットがエヴァ・マルトン。カラフがプラシド・ドミンゴ。リューがレオーナ・ミッチェル。です。 カラフのドミンゴの素晴らしさはもちろん。レオーナ・ミッチェルのリューが泣かせます。奴隷でありながら王子カラフを密かに愛していたという可憐さを感情深く歌いあげています。 そして、フランコ・ゼフィレッリの演出・装置が圧倒的な効果をあげています。 解説書は高崎保男氏が書いており、作品の成立から原作について、そして音楽的な説明まで詳しく書かれており、これだけでも大変値打ちがあります。
この映像は本家ロシアはモスクワにあるボリショイ歌劇場が1944年に制作したプロダクションを2000年に蘇演したもので、ソヴィエト時代、ロシアで一番の歌劇場であるボリショイの総力を結集した素晴らしい舞台を現代によみがえらせ、古典的で親切な演出で観るものを大いに満足させてくれます。 指揮はボリショイ歌劇場の音楽監督でもあったマルク・エルムレル。 このDVDのほかにゲルギエフ指揮、メトロポリタン歌劇場のものと、デイヴィス指揮、グラインドボーン・フェスチバルのDVDも持っていて、それぞれ演出(装置)も演奏も甲乙つけがたいほど素晴らしいできだが、やはりこのボリショイのオーソドックスな公演が個人的にはしっくりくる。 国際的な演奏家で選ぶならメトロポリタンのものでしょう。 グラインドボーンは、作品そものものとじっくり味わえるものだと思う。 CDではハイキン、ボリショイ歌劇場盤とフェドセーエフ、RTV盤とビュシュコフ、パリ管弦楽団盤とチャカロフ、ソフィヤ祝祭管弦楽団盤を持っているが正直どれもあまり感心しない。 CDでの演奏よりDVDでのこれらの演奏の方がより素晴らしいように思える。(映像を観ているせいか? ) この作品はもともとは歌劇というより抒情的な音楽劇(声楽作品)として作曲され、音楽院の学生が初演したぐらいだが世界中のベテラン歌手が歌うよりも学生が素朴に歌うほうがみずみずしくって共感を得るのかもしれない。 とは言え乳母やタチアーナのお母さんやグレーミン侯爵にはヴェテランが必要だが・・・。 そしてタイトルロールはプーシキンの原作通りエフゲニー・オネーギン(バリトン)になっているが、タチアーナやレンスキイも主役と肩を並べるほど比重が高く。観る人がそれぞれの人物に思い入れができるのも面白い。 学生のころブルーノ・バルトレッティ指揮、シカゴ・リリック・オペラの映像(LD)で初めてこの『エフゲニー・オネーギン』を観た。セットも美しく、照明もこっていたように思う。 是非国内版DVDして欲しい。
1 people agree with this review 2010/08/12
Miloslav Kabelac(1908‐1979)のMystery of Timeは内容の濃い、密度の高い練りに練られた作品。 Kabelacという作曲家は今回初めて知ったがこのCDに収録されている2曲を聴くだけで彼が一級の作曲家であることが分かる。 演奏・録音ともに素晴らしい。 Jan Hanus(1915‐)のオルガン・ハープ・ティンパニ・弦楽のための交響的協奏曲もなかなか面白い。 ちなみにこの作品はアンチェルに捧げられ、ドヴォルザーク賞を受賞した。 社会主義リアリズムにのっとった模範的な作風といえる。
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チャイコフスキイ(1840-1893)の三大バレーの一つで世界中で上演される名作の『くるみ割り人形』をベジャールの自伝的な物語に書き換えた演出で送る2000年パリ・シャトレ座でのライブ映像。 第一幕が個人的にとても好きで何度も観る。 オーソドックスな演出の『くるみ割り人形』はクララという少女が主人公だが、ベジャ−ル版ではベジャールの分身である少年が主役として出てくるがそれに違和感を感じることがない。 ベジャールの演出に無理なところは全くない。音楽もこのドラマのために書かれたのかと思うくらいだ。 もっともそれはチャイコフスキイの音楽がいかに素晴らしいかといことの証明だろう。 ベジャールが幼いころ芝居に興味を持ったことやバレエとの出会いそして母親との死別・・・。 バレエの進行の中にベジャール自身の回想が含まれている。 舞台という空間だからこそ実現できた亡くなった母との再会に目頭が熱くなる。 プテイパ(メフィスト)役のジル・ロマンが個性的な魅力を存分に発揮しており、猫のフェリックス役の小林十市も素晴らしい。 もちろんベジャール・バレエ・ローザンヌの踊りだけでなく演技もすばらしい。 エドモン・コロマー指揮、ケルン管弦楽団の演奏もいい。 また特別ゲストとしてイヴェット・オルネのアコーディオンがチャイコフスキイの音楽に重なって独特の世界を生んでいる。 『くるみ割り人形』を初めて観る人にもお勧めのDVDだ。
1 people agree with this review 2010/08/11
ブリテンの『青少年の為の管弦楽入門』は英語によるナレーション入りで、録音が1963年と他の曲の録音年代にくらべるとそんなに古くないのに音が良くない。 それとナレーションがチェコ語だったら良かったのにと思う。 このCDにはチェコの作曲家たちにも社会主義リアリズムで作曲するようにという当局の圧力を感じさせる曲がならんでいる。 ラヴェルのピアノ協奏曲を聴いていると誰もが映画『ゴジラ』の有名なテーマを想い浮かべるだろう。 それと同じようにKalabisのヴァイオリン協奏曲第一番(1958‐59)の第一楽章を聴いているとこの曲の主題(モチーフ)から「モスーラやモスーラ」というメロディー連想してしまうだろう。 SEIDELのオーボエ協奏曲第2番(1955年)は民謡的な雰囲気の協奏曲。 チェコに行ったことはないが、チェコの穏やかな田舎の風景を想わせるそんな曲だ。 JIROKOのピアノ協奏曲第三番は第二楽章の静かな楽想もいいし、第一楽章では東洋的な音階も現れる。
2 people agree with this review 2010/08/11
最初期の作品である「Vattendroppar」や「Luftslott」も面白い。 「Andante molto in B minor」はどこか日本的なメロディーが感じられる。 ピアノ・パート全体が紛失し、チェロ・パートも一部失われた「幻想曲」は短いが聴きごたえのある作品だ。(チェロ・パートだけ聴いても力強く、印象的だ。) 「ピアノ五重奏曲」はシベリウスにしては重たい作品。力んで作曲したようだ。響きにしてもどこか濁っている。(よどんでいる。) 吹奏楽のための作品はシベリウスらしくなくって逆に面白かった。 ブラスアンサンブルとパーカッションのための「Tiera」もよかった。この小品を聴くだけでシベリウスの和声感覚の素晴らしさが分かる。なんという安定感。 カンテレのための作品はカンテレが持つ神秘的な響きが良い。 カンテレとヴァイオリンの組み合わせも面白い。 劇音楽『とかげ』は第4交響曲にも近い暗さというか独特の影を持った曲だ。 シベリウスのいつもの音楽とは違い、劇場音楽ならではのものを感じる。室内楽で演奏されるが深みのある作品だ。ベースラインがいい。
シベリウスが幼い時から手にし、一度はプロの演奏家になろうと夢見たもっつと身近な楽器であるヴァイオリン。 そのヴァイオリンとピアノのための名曲の数々。 またヴァイオリン協奏曲のオリジナル版(1903/4)そして現行版(1905)を聴き比べることも出来る。 シベリウス大全集の中の一巻であるために習作などの世界初録音も多い。 聴きごたえたっぷり。 シベリウス・ファンのみならず、ヴァイオリン音楽の好きな人にも幅広く聴いて欲しい作品集。
原作はもちろんシェークスピアの戯曲から取られており、オペラの台本としてもよく出来ている。 歌劇につきものの恋愛物語がなく。美しい愛のアリアもないために地味な作品かもしれないが、権力に対する興味深いドラマだ。 第一幕の荒れ地の導入部や第三幕の荒れ地の音楽は晩年の歌劇『オテロ』を思わせる所がある。 マクベス夫人のヴォーカル・パートで手紙を読むところなど歌うのでなくまさに読むようにリアルな(歌唱的でなく演劇的な)作曲がされている。 しかしヴェルディはなぜマクベス夫人をメゾ・ソプラノのために書かなかったのだろうか? 役柄的にはいかにもメゾ・ソプラノなのに。 極端なはなしアルトでもいいのに。そうしてしまうと音楽的に地味すぎるし歌手が少ないのかもしれないが・・・。 第二幕でバンクォーが歌うシェーナがギャウロフの立派な歌唱とあいまって素晴らしい。 第二幕のフィナーレ、宴会のなかマクベスが亡霊を目にして罪が露見する場面は、宴会という楽しみと殺人という恐怖の心理の全く異なる二つのものを対比させていて、ドラマとしてよく出来ていて面白い。 第三幕の主役は魔女達で、マクベスもマクベス夫人も結局は魔女の言葉を勝手に自分の都合のいいように受けとり、運命を無理やりに変えようともがいて悲劇を生んでいく。 他の歌劇にはないもっとも独特の場面だ。 第三幕のバレエ音楽もなかなかいい。 第4幕はマクベスといい、マクダフといい、しみじみ聴かせるいいアリアがある。 第4幕の戦争の場面ではフーガ(カノン?)が出てきてヴェルディらしからぬというかヴェルディの意欲が感じられて面白い。 フィナーレで平和のおとずれを歌う所もいい音楽がついている。 アバトとスカラ座による演奏も引き締まっていてとてもいい。 そしてなによりタイトルロールを歌うカプッチッリが実に立派だ。
歌劇『賭博者』といえばドストエフスキイ原作・プロコフィエフ作曲による素晴らしい作品があるが、このショスタコーヴィチの歌劇『賭博者』はゴーゴリ原作による。 この作品がもし完成していたらと誰もが思うだろう。 この第一幕でこれだけの完成度なのだから全曲出来ていたら彼の歌劇作品の最高傑作となっていたに間違いない。 ソヴィエトにとどまらず、20世紀における傑作オペラの一つになっていただろう。 冒頭から聴く人の心をぐいぐい引っぱっていく。 ショスタコーヴィチはムソルグスキイがやろうとした道を歩みたいというような発言をしているが、この作品もムソルグスキイの理念を見事に引き継いだものだ。 なんといっても音楽がとても魅力的だ。 歌劇『鼻』がもつ奇抜さはないが、落ち着いた(?)雰囲気がなんともいえない。 大袈裟でないところがいい。 ヴォーカルパートにしてもオーケストレーションにしても低音が魅力的だ。 バリトンの語るような旋律、バス・バラライカ、テューバ、ファゴット、弦楽のバスの動きがいい。 「ゲーム」の場面でのヴォーカルパートが単純なリズムにのって変化したりフーガになったり音楽的に変化があっていい。 基本的には言葉の抑揚が旋律になっているが、けして単調ではない。 聴いていて楽しめる工夫が随所にある。 演奏も録音もそして歌手も素晴らしい。
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