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TOP > My page > Review List of 村井 翔
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4 people agree with this review 2009/09/19
来日公演でも「ボリショイがここまで変わったか」と観客を驚かせた新演出の映像。指揮だけは凡庸だが、他はすべて超一級だ。まずモノガローワ。美人であるだけでなく、この役のエキセントリックな性格、いや狂気をここまで鮮烈に見せてくれた歌手は初めてだ。キーチェンはこれまでとちょっと違う、優しく弱々しいオネーギン。もちろん何より特筆すべきなのは、斬新なアイデアにあふれた演出。人物達は現代の服装で、場所はいわば時間に縛られない室内だけという設定。そこには大家族のラーリナ家を象徴するように、室内いっぱいの大きなテーブルが置かれ、オネーギンとタチャーナが対峙する二つの場面(第1、3幕の幕切れ)ではテーブル両端の距離が何と効果的なことか。たとえば手紙の場のクライマックスでは窓が開いて風が吹き込み、やがて明かりも消える。第2幕第1場ではトリケのクプレをレンスキーが自虐的に歌うことによって、薄っぺらになりがちなこの人物の心理が重層的に示されるし、この場のタチャーナは廃人状態で、その原因を知る男たち二人が決闘に至る陰の要因がこれであることは容易に見て取れる。実は決闘も本物の決闘ではないのだが・・・この先は見てのお楽しみ。
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1 people agree with this review 2009/09/16
もちろんLDも持っているけど、最近あまり稼働しないLDプレーヤーのご機嫌の悪さに音を上げていたところなので、待望の日本語字幕付きDVD化。2000年収録のデッシー、ボロディナ組と基本的に同じ演出、指揮も大差ないので主演歌手二人の勝負になる。特にフレーニとデッシーを比べると、歌唱スタイル、演技の質そのものが11年の間に大きく変わったことが分かる。後は好みの問題だが、この役に関しては、やはりフレーニに軍配。「哀れな花」などド演歌の世界だが、これをクサイと思う人は、そもそもこのオペラには近づかない方が良い。イタリア人の間に入るとドヴォルスキーは発声自体、異質に感じるし、最新の録画に比べれば音、絵ともに遜色を感じるが、いずれもまだ致命的な欠点ではない。
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2 people agree with this review 2009/09/13
『イタリア』という曲はカラッと明るいというイメージを持たれがちだが、実は二つの楽章が短調、第一楽章展開部も結構凝ったポリフォニックな音楽だし、意外に陰影の濃い曲だと思う。その点では世評高いトスカニーニなどは全くもの足りず、テンシュテット/BPOなどというゲテモノ(失礼!)を愛聴してきたのだが、ようやくほぼ完全に満足できる演奏に巡り合った。過激というキャッチフレーズがいつもついて回るファイだが、この人の指揮の良い所は聴こえるべき声部が全部聴こえ、いわゆる「埋もれた」声部がないこと。かつてのイメージでは、薄っぺらい風景画に過ぎなかった『イタリア』が彫りの深い透視画像に見えてくる。ただでさえ速い第1楽章コーダのアッチェレランドには手に汗握るが、一つだけ不満を言えば、第4楽章は速すぎ。焦燥感は良く出ているが、最初からこのテンポでぶっ飛ばしては、音楽じゃなくスピード競争になってしまう。
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11 people agree with this review 2009/09/12
BPO音楽監督はどうしてもブラームスをやらねばならないのか。苦手なものからは逃げるというのも、寿命の限られた人生においては大事な処世術ではないかな。ブラームスしか能のない指揮者じゃあるまいし、今のラトルにとってブラームスに関わるのは才能の浪費、時間の無駄でしかないように思える。散発的に彼ならではの譜読みが見られる箇所もあるとはいえ、指揮者はほとんど「借りてきた猫」状態。イメージとして一番近いのはバルビローリとVPOの全集だが、またコピー演奏か。まだ「巨匠」になる年ではないのに(実は私と同い年)、巨匠風演奏をつくろわなければならないラトルにはむしろ痛々しさを感ずる。それでも3番だけは悪くないかなと思ったので、マゼールとBPOの1959年録音(ほとんど評価されないが、LP時代から大好きな演奏)を引っ張りだして聴き比べてみた。昔のBPOが技術的にはずいぶん下手だったことが分かったが、曲の解釈としてはマゼールの完勝。
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1 people agree with this review 2009/09/09
かつてはボロクソに言われた旧シェーンベルク全集の指揮者、ロバート・クラフトだが、グールドのような例外的天才を除けば、当時はまだ演奏者全体の慣れが不足していたのだろう。室内交響曲第1番の精彩ある演奏を聴くと、まさしく時代が変わったことを実感させられる。シリアもさすがに『期待』再録音では声の衰えが痛々しかったが『ピエロ』は素晴らしい。シャープだが「どろどろ」感の少ないシェーファーとは対照的で、歌手というよりむしろ女優であるバーバラ・スコヴァのものと並んで、最も表現力の強いシュプレッヒ・シュティンメだろう。
2 people agree with this review 2009/09/07
近年このオペラの上演が各地で相次いでいるのは、キリスト教vs異教の文化摩擦というテーマ、しかもそれがキリスト教の勝利に終わらない、「霊」は「肉」に勝利し得ないというストーリーが、サイード著『オリエンタリズム』以後のヨーロッパ人にはアクチュアルに感じられるからだろうか。ローカル色のぬぐえなかったヴィオッティ指揮、ピッツィ演出に比べると、こちらは大がかりな装置に大勢の半裸のダンサー達を動員したスペクタクルな舞台。音楽の上ではやや弱い劇的緊張を派手な見た目で補完しようという演出の意図は成功している。フリットーリのタイスは歌唱としては申し分ない(体型がもっとスリムなら文句なしだが)。題名役以上に重要なアタナエルのアタネリも少し粗いが、力演。
4 people agree with this review 2009/09/06
女狐は本来、とてもエロティックなキャラのはずだが、よくある上演のように着ぐるみを着せられてしまうと、エロティシズムが見えなくなってしまう。半ば人間で半ば動物のような実にセンスのいい衣装が決まった時点で、この上演の成功は決まったようなもの。キャストも魅惑的なほどエロティックなツァラゴワと、新国立の『指輪』のヴォータンでもあるラシライネンが最高の適役。女狐と森番の「愛」が実感できたのは、この演出がはじめてだし、森番が動物たちを追ってヒマワリ畑に消えて行くエンディングもいい。マッケラス指揮、ハイトナー演出のパリ・シャトレ座版は一つの規範となるべき映像だし、2008年サイトウ・キネン・フェスティヴァルでの上演も素晴らしかったが、そのどちらをも凌ぐような出来ばえ。
1 people agree with this review 2009/09/05
音の資料として大変貴重な録音であることは分かる。でも、ガーディナーが録音していた『イタリア』の改訂稿もあまり感心しなかったが、『スコットランド』と『フィンガルの洞窟』はわれわれが普通に聞いている出版稿の一つ前の形(改訂版ではない)で、曲の生成過程を知るという点では面白いものの、やはり未整理で繰り返し聞きたいと思うようなものではない。「メンデルスゾーン・ガラ・コンサート」で演奏された『スコットランド』にも少し普通と違うところがあったが、あれは出版稿を慣習的カットを復元して演奏したようだ。ライプツィヒに移ってからのシャイーの仕事にはレコード会社の思惑と指揮者の趣味が一致しているのか、こういう落ち穂拾い的なものが多いが、演奏・録音ともに優秀なだけに勿体ないような気がしてしまう。ピアノ協奏曲第3番も復元の努力には敬意を表するが、やはり凡作。
1 people agree with this review 2009/08/31
1989年の録画で絵、音とも古さを感じるが現在なお、このオペラ最良の録画だろう。やや太めのファウスト(デニス・オニール)、清純な乙女には見えないマルゲリータ(ガブリエラ・ベニャチコヴァー、エレナの方がずっと良い)など見た目の問題が気にならなければ、主役サミュエル・レイミーの素晴らしさとロバート・カーセンの冴えた演出で断然、他を引き離している。たとえばケン・ラッセル演出(残念ながら音の状態がきわめて悪いが、パロディ満載の大変面白いもの)ではオペラの録音風景にされているように、大仰で時代錯誤な第4幕はたいてい読み替えの餌食にされるが、カーセン演出ではセンス良くメタ・オペラ(オペラの中のオペラ)になっている。つまり、エレナと自分との愛がオペラの中の出来事に過ぎなかったと知ったファウストの失望で終わるわけだが、これはエピローグへの続き方として全く自然かつ合理的だ。
「3つの小品」はブーレーズ/BBC響の1967年録音を聞いて(同じコンビで1984年に再録音している)、その解像度の高さにぶったまげたものだが、時代は移り、そのブーレーズやカラヤン、アバドなど過去の名盤をことごとく顔色なからしめるような新録音。スタジオ録音ではなくライヴだというのに、とにかく総譜が隅々まで聞こえるのは驚き。第2曲「輪舞」のクライマックスでの複数モティーフ重ね合わせによる騒音効果なども鮮烈そのものだが、オペラ指揮者らしく、それぞれの音が無機質に羅列されるのではなく、ちゃんとつながって雄弁にドラマを語るところが素晴らしい。「ルル組曲」で歌うエフラティは既にレック指揮、パレルモ・マッシモ劇場と全曲を録音しているが、やや色気過剰。「ルルの歌」ではもう少しクールさが欲しい。
3 people agree with this review 2009/08/31
この盤の売りはベルク「抒情組曲」終楽章の声楽入り版が(録音としてはおそらく初めて)聞けることだろう。ボードレールの詩(シュテファン・ゲオルゲ独訳)による声のパートは作曲者が不倫相手のハンナ・フックス・ロベティンに贈った自筆譜に書き込まれていたものだが、聞いていただければ「一聴瞭然」、実際に歌えるようには書かれていない。この版はいわば二人の不倫のプライベートな記念品であり、演奏するとすれば弦楽四重奏で演奏された5つの楽章に声楽入り終楽章を付けるのではなく、この盤のように特別なものとして切り離して演奏するのが「正しい」のだろう。その事実上、演奏不能な楽章をとにもかくにも音楽にしてしまうシェーファーには唖然とするばかり。メインのシェーンベルクでもペーターゼン四重奏団ともども精緻かつ雰囲気豊かな演奏を繰り広げている。
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4 people agree with this review 2009/08/30
2006年夏、ザルツブルクでのライヴがようやく出ることになったのは、CDを発売してくれる会社を探すのに手間取ったせいか。クレーメルほどの大家でもこうなのだから、昨今のクラシック業界の窮状が分かる。さて、今回はアーノンクールがいないので彼一人が全体を差配するわけだが、楽器はモダンでも十分にピリオド・スタイルを踏まえており、シャープかつ柔軟ないつもの美音も、もちろん健在。弾き慣れのせいか、番号を追うごとにクレーメル色が強くなり、結局、第5番が最も個性的な出来だ。文句なしにいい演奏だが、前の録音より確かに良くなったカルミニョーラ/アバドのような相乗効果が期待できない分、前回に比べて何か決定的な新しさがあるかと問われると、ちょっと口ごもらざるをえないところが苦しいか。
4 people agree with this review 2009/08/27
テンシュテットのライヴは凄いという話はつとに聞いていたが、不運にしてまだそれを実感できるようなディスクに巡り合わなかった。確かに8番の録画では「神が降りてきている」が、8番ではスタジオ録音だって劣らず凄いと思っていた。だが、6番に関しては83年スタジオ録音、91年ライヴがあるにも関わらず、LPOレーベルが録音状態の芳しくないこれを発売した理由が良く分かる。わずか4ヶ月前に録音されたばかりのスタジオ録音(東芝はこれを廃盤にしてしまい、91年ライヴを本来、83年録音のものだったジャケットに入れて売っているので要注意)と比べてみると、基本テンポが上がったことによって緩急のメリハリが強くなり、ライヴならではの即興的なテンポ変化もあるとはいえ、全体としてはより明快な演奏になったと思う。しかし、テンシュテットのマーラー演奏の特質は、遅いテンポのなかで各パートを鳴らしすぎるほど鳴らすことによるエネルギーの鬱積感、必ずしも合理的でない「のたうつような」テンポ変化からくる、ある種の晦渋さにあると考えているので、これが出たからといって、まさにそうした特質が聞き取れるEMI盤が不要になったわけではないと思う。
0 people agree with this review 2009/08/27
そんなに大歌手が出なくても、そこそこ歌って演じられる歌手と気の利いた演出があれば面白く見られるオペラ。作曲者も悩んでいたようだが、最後がどうも煮え切らないストーリーで欲求不満が残るので、そこをどう解決するかが演出家の課題だろう。最終改訂版(第三版)に基づき、ヒロインの自殺で終わらせるプラシド・ドミンゴ夫人、マルタさんの演出は手堅いながら、なかなか良い。見ての通りの美貌のヒロイン、いかにも「うぶ」なマーカス・ハドックの相手役ともに好演。エンディングは従来通りだが、舞台を1950年代に移し、最後にはあっと驚く大仕掛け(これは見てのお楽しみ)を見せるグレアム・ヴィック演出(フェニーチェ歌劇場)と互角の勝負か。
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3 people agree with this review 2009/08/26
あまりに陰影の濃い、内向的な演奏は好みを分けるかもしれないが、好きか嫌いかと言われれば、もう大好きな世界。テンポ、強弱、音色の変化から独特なリズムのつかみ方(ハ短調終楽章のコーダ)まで手練手管は多彩だが、イ長調の終楽章に至っても、明るく開放的な世界に抜け出ることはない。緩徐楽章が旧盤よりやや速くなったのは、ピリオド・スタイルを意識したせいと思われるが、少しもあっさりしたわけではなく、反復の際の旋律装飾はもうマニエリズム。カデンツァや挿入句のセンスの良さもさすがだ。ハ短調終楽章の一部変奏では弦のプルトを減らして室内楽風にしたり、新全集版からアルコになったイ長調第2楽章終盤の弦の伴奏音型では低弦のみピツィカートにしたりと(テイト指揮でもここはそうだったが)オケの方も工夫が山盛り。もちろんオケは申し分なくうまく、木管の美しさには惚れ惚れする。
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