-今回、「コロムビア*レディメイドのコロムビア100年。」の第1弾として、9タイトルが復刻されたのですが、セレクトされる上で、どのようなテーマやコンセプトをお持ちになっていたのでしょうか?
「コロムビアの100周年ということで、音楽をわりとマクロな視点で見てみたいなと思ったんですよ。ものすごい数のカタログを持っている会社なので、総括的に網羅できるシリーズにしたいなと思って。ただ一方で、シリーズが続くためには、やっぱり第1弾が、ある程度「派手」だったり、セールスも伸びないといけないだろうなと思って、このラインナップになりました。」
「今回はジャズや、所謂「和モノ」といったようなカタログばかりですけれど、それは、あくまで狙ったところがあって。だから、最終的には、もっと全体的に(様々なジャンルのものを網羅した)幅のあるラインナップにしたいなと思っているんですけどね。」
-小西さんのコンポーザー/アレンジャーからの視点で、最も興味深かったり、勉強になった作品というと?
「フォンティーヌ・シンガーズ 『ニューサウンド '70』、サンドラ・アレキサンドラ 『サンドラと12人の侍たち』、ジュヌ・エトワール 『ニュー・ヤング・コーラス』
、この3枚かな。」
-『ニューサウンド '70』のいずみたくさんは、やはり多大な影響を受けられたと。
「そうですね。いずみたくさんは、すごいプロデューサーだと思っていますね。自分がそうなりたいという気持ちもあるぐらいに。」
-若い世代のリスナーにも、今回の復刻アイテムは特に耳にしてほしいのではないでしょうか?
「やっぱり、音楽をあまりジャンルで括って、聴かないでほしいんですよ。特に最近の若いコレクターの人やDJって、自分の好みをかなり絞って聴くじゃないですか。僕の本当の狙いは、逆のベクトルのところにあるんですよ。今、良さが分からなくても、とりあえず聴いておいてほしいみたいな感じなんですよ。いつか、音楽って分かるんですよね。例えば、飯吉馨さんの『ソウル・トリッパー』って、昔から持っているんだけれど、昔は良さが分からなかったもん(笑)。飯吉馨さんっていう人にすごい興味があって、90年代半ばぐらいに初めて聴いたんだけれど、正直、なるほどねぐらいのものだったんですよ(笑)。でも、これ、意外と売れているんですよね。不思議なんだよな(笑)。」
-20年の時を経て、聴こえ方も変わってくるという・・。
「そうなんですよ。だから、今、即戦力ではない音楽も聴いて欲しいんですよね、本当に。紙ジャケで出したっていうのも、そういう部分があって。買わないとなくなっちゃうでしょ?だから、とりあえず買っておいてほしいんですよ。で、良さが分かったりするのは、ゆっくりで構わないんですよね。」
-むしろ、内容を分かってて買うよりも、ジャケットに惹かれて買ったり、興味本位で買ってみたりという方が、自然だったりするんでしょうね。
「そうそう。そういうのが理想ですね。だからね、音楽にとって一番大切なものは、僕は好奇心だと思っているんですよ。その好奇心をくすぐるものとして、ジャケットがあるんですよね。今回の9タイトルは、特に狙ったわけではなく、たまたま全部ダブル・ジャケットだったんですよね。」
「ある種、僕も含めて、かなり奥まで行ったレコード・コレクターというのは、自分が見たことのないレコードは全部欲しいんですよ(笑)。つまりそういうことなんですよ。最近の若い人って、誰かが何かで紹介してたとか、そういうので買うことが多いじゃないですか。でも、そのもうちょっと先まで行くと、とにかく見たことないものは、全部買うっていう感じになると思うんですよね(笑)。」
-聴いたことがないではなくて、見たことがない。
「そうそう。極端な話、見て聴かなくてもいいわけだし。そこまで、皆さん早く来て欲しいですね(笑)。」