「イクメン」を疑え! 集英社新書

関口洋平

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784087212617
ISBN 10 : 4087212610
フォーマット
出版社
発行年月
2023年04月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
224p;18

内容詳細

その神話は いま、解体される――。
『クレイマー、クレイマー』などの人気映画にひそむ罠とは?
新進気鋭のアメリカ研究者が「イクメン」の文化的イメージを斬る!!

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日常のいたるところで濫用され、消費されている「イクメン」という表現。本書は、自身も子育て中のアメリカ研究者が「イクメン」という言葉そのものに疑義を抱くところから始まる。

日米の保育史と実情を比較するとともに、『クレイマー、クレイマー』や『幸せのちから』をはじめとした誰もが知る映画、雑誌、小説、ビジネス書など、「イクメン」がテーマの日米(英)作品の文化的イメージを分析。その言説が新自由主義と手を組んで「男性の育児」をあくまでビジネス的な観点から評価し、「女性の育児」と区別している事実に迫る。

2022年10月から改正育児・介護休業法により「産後パパ育休」が施行され、23年4月からは育児休業取得状況の公表が義務化。「イクメン」という言葉の流布から10年以上が経ち、再び注目されるキーワードになった今こそ、その意味を構造的に問いなおす。無批判に「イクメン」文化を受け入れてきた日本社会に対する、強烈なカウンターオピニオン!

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私はつねづね、「イクメン」という言葉に違和感を持っていた。
この言葉に込められた「育児をする男性は格好良い」という軽いニュアンスが、どうにも好きになれなかった。
(中略)私は「男性は育児をしなくてよい」と主張しているわけではない。
そうではなくて、「男性が育児をするだけでは不十分である」というのが本書の提起する論点のひとつである。
母親に比べて父親が育児を担う割合が大幅に少ないという日本の現状を鑑みれば、「イクメン」という言葉にはある種の存在意義があったかもしれない。
けれども、いつまでもその言葉に固執していると、見えなくなるものがあるのではないだろうか? (「はじめに」より)

【目次】
第一章 日本の父親は遅れている? 日英版『FQ』を比較する
第二章 アメリカの保育史
第三章 日本における保育と新自由主義
第四章 フレンチトーストの神話を解体する──『クレイマー、クレイマー』
第五章 見えない父親──『ミセス・ダウト』
第六章 黒人の父親と能力主義──『幸せのちから』
第七章 ビジネススキルとしての育児
第八章 ケアする男性、ケアされる男性

【著者プロフィール】
関口洋平(せきぐち・ようへい)
1980年生まれ。フェリス女学院大学文学部英語英米文学科助教。
東京大学大学院人文社会研究科にて修士号、ハワイ大学マノア校アメリカ研究科にて博士号を取得。東京都立大学人文社会学部英語圏文化論教室助教を経て現職。2018年、アメリカ学会斎藤眞賞受賞。専門はアメリカ研究。特に、アメリカ文化における家族の表象について研究している。本書が初の単著となる。

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読書メーターレビュー

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  • ふみあき さん

    徹頭徹尾、新自由主義批判の一冊。いわゆる「イクメン」を人的資本という側面からのみ評価する昨今の風潮が、とにかく著者は気に食わない。確かに何でもビジネスに結びつけるのは浅ましいと思うし、私自身、子育て世帯の父親でありながら、明らかにイクメン文化から阻害されている非エリート階級である以上、その主張には共感する部分もある。が、最近、嘘つきフェミニストとして糾弾された上野千鶴子の発言が、たびたび引用されるのは興醒めする。まぁ、息子のオムツすら替えたことがない保守親父の私には、イクメンについて何も言う資格はないが。

  • おかむら さん

    泣かせるフレンチトースト映画「クレイマークレイマー」、そういやメリル・ストリープ側の事情はあんまり考えたこともなかったな…。あと男性育休はビジネススキルを上げるチャンスというビジネス書がいっぱい出てるって、なんかさー男はよー、やっぱり馬鹿者だなあ。「育児は仕事の役に立つ」だって。ちらっと読んで、かーっ!って言いたい。

  • katoyann さん

    「イクメン」言説に潜む新自由主義のイデオロギーを暴いた、アメリカ文化研究者による著書。いわゆる「イクメン」言説は、育児が仕事を効率化するスキルに繋がっていると喧伝するが、それは結局は新自由主義が好んで称揚する「自己の企業家精神」と論理的に同型であるという。1番は自己責任が煽られることで、育児を社会的ネットワークの中で考えるという創意工夫を人々から奪うことが問題と思われる。なお、『クレイマー、クレイマー』や『ミセス・ダウト』がフェミニズムを攻撃する作品だというのは分析を読んで気づいた。面白かった。

  • 香菜子(かなこ・Kanako) さん

    「イクメン」を疑え!。関口 洋平先生の著書。女性が育児をしていても誰も褒め称えたり感心したりしない。女性が育児をしていても当然のこと常識とされるだけ。男性が育児をしただけでも褒め称えたり感心したりするのは不思議でおかしなこと。男性が育児をするのは当然だし常識。褒め称えたり感心したりすること自体が不自然で非常識で時代遅れ。イクメンという言葉があること自体が不自然で非常識で時代遅れ。イクメンという言葉がなくなってはじめて日本もまともな社会になる。関口 洋平博士のお話に納得。

  • ピンガペンギン さん

    著者は1980年生まれ、フェリス女学院大学助教。アメリカ文化における家族の表象の専門家の本。昨今の「イクメン」本はホワイトカラーのエリート層を想定読者としており、1980年代の労組を背景にした運動(育児連)が全ての父親に開かれていたのとは異質であり、その変化は新自由主義的文化の浸透によるとされる。納得出来るかというとそうでもない。1990年代から日本では非正規雇用が増加していき、正規と非正規の格差は広がる。アメリカではそういう区別はない。そこに日本のした選択があったし少子化の最大原因だと思う。

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人物・団体紹介

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関口洋平

1986年生まれ。京都大学教育学部卒業。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。比較教育学専攻。日本学術振興会特別研究員を経て、現在、広島大学教育開発国際協力研究センター研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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