戦争と農業 インターナショナル新書

藤原辰史

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784797680157
ISBN 10 : 4797680156
フォーマット
発行年月
2017年10月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
208p;18

内容詳細

農作業を効率的にしたい。その思いが二十世紀の農業技術を飛躍的に発展させ、同時に、その技術が戦争のあり方をも変えた。トラクターは戦車に、化学肥料は火薬になった。逆に毒ガスは平和利用の名のもと、農薬に転用される。本来人間の食を豊かにするはずのテクノロジーの発展が、現実には人々の争いを加速させ、飽食と飢餓が共存する世界をつくった。この不条理な状況を変えるために、わたしたちにできることを考える。

目次 : 第1講 農業の技術から見た二十世紀/ 第2講 暴力の技術から見た二十世紀/ 第3講 飢餓から二十世紀の政治を問う/ 第4講 食の終焉/ 第5講 食と農業の再定義に向けて/ 第6講 講義のまとめと展望

【著者紹介】
藤原辰史 : 京都大学人文科学研究所准教授。1976年、北海道生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程中途退学。京都大学人文科学研究所助手、東京大学大学院農学生命科学研究科講師を経て現職。専門は農業技術史、食の思想史、環境史、ドイツ現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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良著だった。農業におけるテクノロジー(農...

投稿日:2021/03/01 (月)

良著だった。農業におけるテクノロジー(農機、農薬)や市場化の問題、科学技術と戦争・政治が常に表裏の関係にあったことなど、歴史学的な視座をベースに分析していく。本書を引き受けての対案となる議論は他著に期待したい。

ポアンカレ さん | 東京都 | 不明

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読書メーターレビュー

こちらは読書メーターで書かれたレビューとなります。

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  • 1959のコールマン さん

    ☆5。名著。ただし「戦争と農業」では内容を誤解する人が多数いると思う。「食べるという人間の原初的かつ基礎的行為を根本的に考えること」がこの本の中心テーマだからだ。内容は広範囲かつ濃い。前半は農業と戦争と飢餓。それぞれの関係性を詳細に記述。後半は「食べること」を中心に論を進める。そして結論は、単純な「答え」を出さないで、「答え」を導き出すための方法論を提示。これはこれで正解だろう。様々な要素が複雑に絡み合っている現代社会では、「はい、これをすればエコです」といった単純な「答え」はかえって有害だから。↓

  • おかむら さん

    「トラクターの世界史」に比べると、言葉は悪いが女子ども向けっつーか、優しい口調でかなり読みやすい。中高生むけ。こういう歴史の切り取り方で授業を受けてたらもっと世界史に興味出てたと思う。ナチスドイツの飢餓作戦とか全然知らなかったなー。ただこの本後半は食育とかエコロジーとかの話になっちゃってその手の本はたくさんあるから、もっと歴史視点で語って欲しかった感。

  • skunk_c さん

    『トラクターの世界史』の著者が「大学付き食堂」と名付けた市民講座での6つの講話を書籍化したもの。本書のタイトルは最初の2講で、3講以降はそこから広く企業活動、食、教育などに広がっていく。『トラクターの世界史』がなぜ面白いのかが分かった。この著者は確かな人間観、自然観を持っているのだ。人間を多くの生物が存在する中の「細いチューブ」と捉え、自然との共生を着実に目指すような社会哲学が通底しており、社会を巨大企業の利益収集装置から人間主体のゆっくりとした時間が流れる社会に変えようという壮大なヴィジョンがあるのだ。

  • さきん さん

    窒素の工業による生産は大量の肥料を得た分、大量の弾薬を作ることも意味していた。また、トラクターは農作業を楽にした面が大きいが、小さい農業を破壊し、戦争では戦車に発展した。戦争で使われた毒ガスは農薬になった。後半は、日本で食、農の営みをどう取り戻していくかについて。読みやすい。

  • かふ さん

    岩波HPで「藤原辰史:パンデミックを生きる指針――歴史研究のアプローチ」(ぜひ読んで!)で感銘を受けたので電子書籍で読んでみた。水俣病のチッソが農業の肥料と共に火薬を大量生産していたこと。農業技術の戦争利用は他にもトラクターの戦車化など。近い例だとモンサントの枯葉剤。大企業の大量生産は遺伝子組み換えや専業農場化(プランステーション)による環境破壊をもたらす。自然破壊が温暖化によって疫病を人類にもたらすことも視野に入れるならば農業と食は緊急に考えていかなければならないテーマだ。

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