企業不祥事はなぜ起きるのか ソーシャル・キャピタルから読み解く組織風土 中公新書

稲葉陽二

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784121024268
ISBN 10 : 4121024265
フォーマット
出版社
発行年月
2017年03月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
18

内容詳細

東芝の不正会計や三菱自工のリコール隠しなど、企業の存続をゆるがす不祥事が続発している。なぜこのような問題が起きるのか。東証一部上場の百社以上を分析し、「不祥事を起こしやすい会社」をモデル化した著者は、トップの暴走とそれを止められない社内風土=企業内のソーシャル・キャピタルに原因があるとする。「強いリーダーシップ」や「各部門のサイロ化」が危ないなど、意外な知見も。あなたの会社は大丈夫か?

目次 : 序章 企業風土とはなにか/ 第1章 経営者への規律づけのしくみ/ 第2章 企業不祥事とはなにか/ 第3章 企業不祥事が生じる背景/ 第4章 企業統治のどこに問題があるのか―社会関係資本から考える/ 第5章 ケーススタディから不祥事を考える/ 第6章 企業内社会関係資本と不祥事は密接にかかわっている/ 第7章 不祥事を未然に防ぐためには/ 第8章 働きやすい会社のために

【著者紹介】
稲葉陽二 : 1949年、東京生まれ。73年、京都大学経済学部卒業、78年、スタンフォード大学経営大学院公企業経営コース修了(MBA)。2015年、筑波大学博士(学術)。73年、日本開発銀行入行、財団法人日本経済研究所常務理事、日本政策投資銀行設備投資研究所所長などを経て、2003年より日本大学法学部教授。2007年から2014年までカルビー株式会社社外監査役。専攻、日本経済論、ソーシャル・キャピタル論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • かごむし さん

    トップの人間は時として暴走する。それを食い止めることができずに不正を行うに至った会社の調査報告書などで、不祥事の原因としてあげられる「企業風土」とは具体的になんなのか。内部のまとまりを示す「凝集性」と、外部に開かれているかどうか、を指標として分析を行っている箇所は考えることが多かった。経営学の本には、こんなこというためだけに何百ページ費やすんだろうと思うことが多いのだが、膨大な利害、人間が絡み合う社会を切り取って、説得力のある理論を提示することはなかなか大変なことだと思った。この本は真摯な力作だと思った。

  • Salsaru さん

    分析はごもっとも。本書には関係ないが、分析や総括は得意だがソリューションやビジョンの提示とか戦略的であることが日本は下手すぎると思う。

  • あんさん さん

    企業不祥事が発生しやすい条件について、不祥事の事例と開示情報を用いてコーポレートガバナンスの観点から検討する本。「つまり、社内でまとまっていても、外に対して開かれていない企業はトップ主導の不祥事に走る可能性がある。しかも、問題は、形式上は外に開かれた組織形態を整えていても、内実は社員はトップばかりを気にして、社外とのネットワークを事実上無視してしまう企業があることだ」最高の職場の要件は「従業員とリーダーとの関係としての信頼、従業員と仕事の関係としての誇り、従業員相互間の関係としての連帯感」

  • isao_key さん

    日本企業の不祥事が後を絶たない。というよりは昔から起きていたことがまた繰り返されていることが本書を読むとよく分かる。同じく企業の不祥事について分析した本に畑村洋太郎『失敗学のすすめ』『失敗学実践講義』という名著がある。本書では個別の事例を扱うが、同じように不祥事を起こす企業の共通点を社会関係資本を通して分析している。お手盛りの会議、問題点があって、知っていても見ざる聞かざる言わざるを決め込み沈黙するだけの役員。一番のガンは社長を退任した後にも相談役や最高顧問として会社に居残る日本の大企業にある悪しき習慣。

  • ハイちん さん

    企業不祥事はなぜ起こるのか。不祥事の原因とされる「組織風土」とはなんなのか。著者は組織風土は企業のトップが作り出すとの仮説を立て、それを検証するため企業のトップの年齢、就任年数などと企業不祥事の相関を算出。結果、トップの年齢が高いほど企業の収益はあがるが、就任年数が長くなるほど収益は下がること、また就任年数が長くなるほど企業不祥事が起こりやすいことがわかった。他にも外部との関わりがなく閉ざされたセクションほど不祥事がおこりやすいことを明らかにした。やや論文調でとっつきにくいが組織を考えるきっかけになった。

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