シルバー民主主義の政治経済学 世代間対立克服への戦略

島澤諭

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784532357542
ISBN 10 : 4532357543
フォーマット
発行年月
2017年11月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
島澤諭 ,  
追加情報
:
288p;20

内容詳細

公的債務の累増により、孫の世代は祖父母の世代に比べて1億円も損をするといわれるほど、日本の世代間格差は深刻さを増している。深刻な世代間格差の原因の一つとして指摘されるのが、シルバー民主主義だ。孫世代や将来世代の生活を生まれる前から実質的に破綻させている莫大な債務先送りを止め、かつ世代間戦争を回避するには、生半可な政策では実現困難だ。本書は、シルバー民主主義の実像について、ファクトとデータそしてロジックによって分析し、民意の高齢化の是正、民意の遮断、年齢にかかわらず働ける「エイジフリー社会」の実現などの解決策を大胆に提言する。

目次 : 序章 シルバー民主主義の虚と実/ 第1章 罠に陥ったのは日本だけか/ 第2章 本当にそうなのか?―社会保障におけるシルバー優遇の虚実/ 第3章 対立は真実なのか?―世代間格差の実態/ 第4章 改革を阻む俗説を斬る―先送りの犯人はシルバー優遇政治だけではない/ 第5章 民意の高齢化は続くのか?―止まらないトレンドを分析する/ 第6章 何が生み出したのか?―民意を忖度する政治の誕生/ 第7章 脱却できるのか?―シルバー優遇政治超克の戦略

【著者紹介】
島澤諭 : 公益財団法人中部圏社会経済研究所経済分析・応用チームリーダー、法政大学兼任講師、財務省財務総合政策研究所客員研究員。1994年東京大学経済学部卒業。同年経済企画庁(現内閣府)入庁。2001年内閣府退官。秋田経済法科大学経済学部専任講師、秋田大学教育文化学部准教授等を経て、15年4月より現職。この間、内閣府経済社会総合研究所客員研究員、内閣府世代会計専門家チーム委員等を兼任。専門は財政学、公共経済学、政治の経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • shikada さん

    選挙が近かったので読んだ。元官僚の著者が、ファクトをもとにシルバー民主主義の実態を分析する一冊。いわく、高齢者が高齢者優遇、若者冷遇の政策を求めて意図的にロビー活動をしている事実はない。しかし、高齢者は絶対数が多く、投票率が高いため、政治家たちは選挙で勝つために自然とシルバー優遇の政策を行う。また、若者は税や社会保障の面で割を食っているが、それ以上に、まだ生まれていない将来世代が損をしている(財政的幼児虐待)。若者の負担だけでは高齢者を支えきれず、その不足分は国債発行により将来世代に負担を任せているから。

  • 朝ですよね さん

    現在は高齢者が意のままに政治をしているとまではいえないことから、シルバー民主主義ではなくシルバー優遇である。生涯純税負担率という試算があり、ベースラインの試算で65歳10.5%、0歳20.3%、将来世代は47.5%となる。若者vs高齢者の格差より、現在vs将来世代の格差が圧倒的に大きい。民主党政権ごろから現役と高齢者どちらにもお金が渡る傾向となり、存命中の全世代が結託して将来世代へ借金を送る状況になっている。克服策の示唆もあるが、もはや急激なインフレ、金利上昇といった解決しかないように感じた。

  • お抹茶 さん

    高齢者に政策決定の主導権があり,政党はあくまでも高齢者に選ばれる客体であるシルバー民主主義ではなく,主導権を持つ政党が客体である高齢者を優遇するシルバーファースト現象だと主張する。将来世代から見れば両世代を優遇する政策が採られている。社会保障制度は,充実させることで個人が抱えるリスクの社会化をもたらし,過大給付になるという自己破壊性を持ち,それを財政赤字で賄うことで,深刻な世代間格差が生じる。高齢者も現役世代も先送りのコストを将来世代に負わせる。こども保険は高齢世代が支援側から排除されている。

  • 東田正平 さん

    ★3.9

  • ラピスラズリ さん

    政治が高齢者を優遇する現象の発生要因について解説した本。この本で書かれている「現状は抵抗できない将来世代から社会保障費の赤字補填分を搾取している」というのはまさにその通りだと思う。前半部分の問題点の整理はとても納得できる内容だった。しかし、最後の7章は論理展開が非常に雑に感じた。また、政治が民意を聞きすぎることが大きな問題のひとつと述べられているのに、それを解決するための選挙制度の改革について書いている部分がほんのわずかで、物足りなさを感じた。

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