劣化ウラン弾 軍事利用される放射性廃棄物 岩波ブックレット

嘉指信雄

基本情報

ジャンル
ISBN/カタログNo
ISBN 13 : 9784002708683
ISBN 10 : 4002708683
フォーマット
出版社
発行年月
2013年08月
日本
共著・訳者・掲載人物など
:
追加情報
:
63p;21

内容詳細

米・英軍と同盟国によるイラク侵攻から10年。劣化ウラン弾が降り注いだイラクでは、子どもたちの健康被害の実態が次第に明らかになっている。また、コソヴォ紛争の帰還兵の健康状態にも、極めて深刻な問題が浮上している。核の「平和利用」から生み出される放射性廃棄物の「再利用」兵器を、対人地雷禁止条約のように国際的な枠組みによって封じるために、日本の負うべき役割とは何か。

目次 : 残される爪痕/ 1章 劣化ウラン弾って何?/ 2章 環境と健康への危険性―予防原則に基づき禁止を/ 3章 劣化ウラン問題を常識で考える/ 4章 イラクは、今―開戦から一〇年を経て/ 5章 廃絶に向けて―現状と展望

【著者紹介】
嘉指信雄 : 1953年生まれ。エール大学大学院修了。哲学博士。神戸大学人文学研究科教授。ICBUWヒロシマ・オフィス代表。2012年「科学技術社会論・柿内賢信記念賞実践賞」受賞

振津かつみ : 1959年生まれ。内科医。兵庫医科大学助教。91年に「チェルノブイリ・ヒバクシャ救援関西」設立。「ウラン兵器禁止を求める国際連合」運営委員。2012年「核のない未来賞」受賞

佐藤真紀 : 1961年生まれ。早稲田大学理工学部卒業、企業勤務、青年海外協力隊を経て、日本国際ボランティアセンターで中東を担当。現在は、JIM‐NET事務局長

小出裕章 : 1949年生まれ。京都大学原子炉実験所助教。1970年代以降、原子力の専門家の立場から一貫してその危険性を訴えつづけている

豊田直巳 : 1956年生まれ。フォトジャーナリスト。中東、アジア、バルカン、アフリカの紛争地などを取材。311後、福島の取材も続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

(「BOOK」データベースより)

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読書メーターレビュー

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  • RED FOX さん

    兵器に人道的も非人道的もないような気もしますが、さすがにこれは名うての兵器のようです。原発のゴミで作られ、巻き起こす深刻な健康障害は立証される前にバタバタと子供達を倒す・・・。後半の医療支援も胸が痛い、痛すぎます。

  • 壱萬弐仟縁 さん

    イラク戦争のとき、自己責任を押し付けられた今井君のことを想起した。放射性廃棄物としての劣化ウラン(18頁)。重金属毒性。ウラン235が20%以下を低濃縮ウランという(19頁)。32頁の説明からすると、戦争でいのちを奪われた人。生き残った人がいる。生き残っても白血病や先天性障害など、子どもは大人の犠牲になっているのを思うと、次世代の人生を奪う戦争や大人の責任をシビアに問う必要があろう。子どもには罪がないので。小出先生も書かれている。先生はウラン発掘段階で反対するべきだとされる(36頁下段)。最初から反対を。

  • coolflat さん

    劣化ウランは原発や核兵器の製造に必要な濃縮ウランを作り出す過程から大量に生み出される放射性廃棄物である。天然ウランに含まれる99%の非核分裂性ウラン238がそれだ。これを処理する方法の一つとして考え出されたのが兵器の利用だ。劣化ウラン弾は貫通力が極めて高く射程も長く命中精度が高い。衝突すると高熱で燃焼するため対戦車砲弾の先端に用いる貫通体として理想的とみなされた。しかし衝突して燃焼した際、何割かがエアロゾル状の微粒子となって大気中に拡散する。これによって帰還兵や住民の健康障害が引き起こされているのである。

  • gollum さん

    この問題については、もう少しほかの本を読んでみる必要がある。データが無さすぎる。もちろん、佐藤さんや小出さんが言うように、データが無くてもこんなん成り立ちからしてあかんよ、ということにはわたしも同意見だが、劣化ウラン弾のこどもに対して与える障害が、扇情的にマスコミで扱われているのが少し危険な気がする(劣化ウラン弾による障害が虚偽である、と言っているわけではない)。そういえば、エヴァが使徒に使ってた武器も劣化ウラン弾だったな。あれをアニメで使うのはさすがにどうかと当時も思ったが。

  • Mealla0v0 さん

    原発による放射性廃棄物を軍事利用した劣化ウラン弾は、実のところ、核兵器ではない。劣化ウランが、たまたま砲弾として重宝する、貫通力・射程距離・命中精度よしの重金属だったから使っているに過ぎない。しかし、その効果は環境汚染・内部被曝と、原爆同様、無差別兵器のそれである。保有国は既に20を超え、アメリカは中東地域でこれを用いている。劣化ウランという非常に始末に困る放射性廃物という「ゴミを敵国に捨ててしまおう」という魂胆のもと、被曝のリスク知りながら使ったというのだ。この背後に人種主義や異教徒蔑視が透けて見える。

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