CD

伊福部昭の芸術10 凜 初期傑作集〜『寒帯林』『日本狂詩曲』『土俗的三連画』 高関健&東京交響楽団、札幌交響楽団

伊福部 昭(1914-2006)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
KICC1153
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
日本
フォーマット
:
CD

商品説明

伊福部昭の芸術10 凜
初期傑作集


作曲家本人の監修と共にスタートし、その志を熱く受け継ぐ息長いシリーズの第10弾。幻の初期作品・音詩『寒帯林』が遂に緻密なセッション録音で収録されているほか、『日本狂詩曲』の原典版と『土俗的三連画』をライヴ音源で収めています。

【収録情報】
● 音詩『寒帯林』
 東京交響楽団
 高関健(指揮)

 録音時期:2014年5月6日
 録音場所:ミューザ川崎シンフォニーホール
 録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)

● 日本狂詩曲(原典版)
● 土俗的三連画
 札幌交響楽団
 高関健(指揮)

 録音時期:2014年5月30、31日
 録音場所:札幌キタラコンサートホール
 録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)

【ライナー・ノーツより】
生誕100年の伊福部昭
片山杜秀


 2014年は、作曲家、伊福部昭の生誕100年。100年前の5月31日、伊福部は北海道の釧路に生まれた。
 当日はコンサートが集中した。札幌交響楽団は全伊福部プロの定期演奏会を行った。札幌は、伊福部が学び、30代初めまでのうち十幾年かを暮らし、《日本狂詩曲》や《交響譚詩》を作曲した街である。定期演奏会は30日と2日続き。高関健指揮、加藤知子のヴァイオリン独奏(「伊福部昭の芸術10」及び「11」に収録)。一方、川崎では、伊福部とは創設期から縁のある東京交響楽団が、やはり全曲伊福部の特別演奏会を行った。大植英次指揮、山田令子のピアノと野坂操壽の二十絃箏独奏。もうひとつ、生地の釧路では、地元の吹奏楽団等の出演による伊福部個展が開かれた。
 5月31日だけではなかった。2月27日には横浜で、井上道義指揮日本フィルハーモニー交響楽団による記念演奏会があった。没後1年の追悼行事が第1回だった「伊福部昭音楽祭」も第3回と第4回を3月30日と7月13日に開催した。第4回は東宝の肝煎りで、伊福部の弟子、和田薫の指揮する東京フィルハーモニー交響楽団の演奏(「伊福部昭の芸術12」に収録)。1954年の映画『ゴジラ』を完全上映し、映像に合わせ、劇伴音楽を生オーケストラですべて再現するという、画期的試みを含んでいた。2014年は「ゴジラ還暦」の年でもある。
 それから、斎藤一郎指揮オーケストラ・トリプティークによる3回シリーズの映画音楽コンサートもあれば、伊福部の愛弟子、芥川也寸志が手塩に掛けたアマチュア・オーケストラの新交響楽団は、湯浅卓雄指揮、安倍圭子のマリンバ独奏で《ラウダ・コンチェルタータ》を演奏。新交響楽団から分かれ、伊福部の「幻の作品」だった音詩《寒帯林》を蘇演した団体でもあるオーケストラ・ニッポニカは《シンフォニア・タプカーラ》を阿部加奈子指揮で取り上げた。日本音楽集団も全曲目伊福部で晩秋に定期演奏会を行う。共にピアニストの山田令子や高良仁美の伊福部プロによるリサイタルもあった。
 CDの発売も、セッション録音、ライヴ録音、歴史的音源の発掘など、各社からひっきりなし。NHKはTV向けにドキュメンタリー番組を2本制作。7月6日にBSで放送された「音で怪獣を描いた男」と、8月30日に地上波で放送された「伊福部昭の世界」。またNHKは、NHKホールで観客なしで、高関健指揮東京フィルハーモニー交響楽団により《日本狂詩曲》と《シンフォニア・タプカーラ》をTV用に2月に収録し、5月30日に初放送された。TVの「名曲アルバム」でも伊福部の特撮映画のための音楽や《日本狂詩曲》出版物も幾つか。坂本龍一をディレクターとする「札幌国際芸術祭2014」では伊福部の人生と音楽についての展覧会のようなものも行われた。
 他にもまだまだ挙げるべき出来事がある。キリがない。2014年は、日本文化の中での伊福部の存在の大きさがこれでもかと示された年になった。が、その道は平坦ではなかった。確かに戦時期から戦後初期にかけては、伊福部は日本の第一線の作曲家と認められていた。けれど、まだ40代くらいのうちに「オールド・ジェネレーションの作曲家」に編入されてしまった。1970年代には《リトミカ・オスティナータ》と《土俗的三連画》と歌曲集しか現役盤がなく、映画音楽もまったくディスクがないという時期があった。コンサートや放送で取り上げられる機会も稀だった。
 そのあと伊福部は蘇っていった。日本の伝統音階とヨーロッパの古風な音階(特にフリギア旋法)を融通無礙に行き来する、メロディの作法。即興で踊っても歌ってもどうしてもスムースには行かず字余りや字足らずになりがちな、民衆の芸能の雰囲気を、音楽的に表出するために、変拍子を多用することになった、リズムの作法。低音を厚くして大地に根差す感覚を強調する、響きへの志向。原始性をかきたててやまない執拗な繰り返し。そういう特徴に彩られた伊福部の音楽の独特な味わいが再発見されていった。そこには、伊福部が戦後に音楽を手掛けたたくさんの映画の中でも、特に「ゴジラ・シリーズ」が、「子供だましの怪獣映画」から「戦後日本文化のシンボル」へと格上げされていった歴史も絡んでくる。
 キングレコードの「伊福部昭の芸術」は1995年に始まった。そのとき伊福部は既に再評価の波には乗っていた。しかし、予算のかかるセッション録音で伊福部のオーケストラ作品をまとめ録りするのは大胆すぎるだろうというのが、業界一般の声だった。それでも「伊福部昭の芸術」はスタートした。決断の要ることだった。作曲家の監修でオーケストラ作品を! キングレコードの提案に目を輝かせた伊福部の姿が忘れられない。あんなに喜色満面というのは珍しい。オーケストラ作品をライヴではなくセッションで集成してゆき、模範となる演奏を残す。録音ブースには自分が居る。それは伊福部の念願だった。「伊福部昭の芸術1〜7」は実際にそうやって作られた。
 それからライヴ盤の「8」と「9」を経て、記念すべき年に「10〜12」の一挙揃い踏み。満州国のための音詩《寒帯林》の初セッション録音も含まれている。戦中と戦後との作風の変化の掛け橋役となる重要な音楽である。「五族協和をスローガンとする満州国」と「北方ユーラシアの諸音感の協和をめざす伊福部音楽」とのあいだには、どうしたって親和性もある。そのうえ《寒帯林》には「ゴジラ音型」の祖型もあらわれる。《寒帯林》を知らずして伊福部は語れない。
 《寒帯林》と、ゆかりの札幌のオーケストラの演奏と、愛弟子の和田薫の指揮。そういうラインナップによる新たな3枚は、「生誕100年」のその先へ、恰好の水先案内人を務めてくれるに違いない。

内容詳細

伊福部がその名を世に知らしめた初期の傑作集。1935年の「日本狂詩曲」と日本民族主義から広くアジアへと広がりを見せた「土俗的三連画」、そして幻の作品「寒帯林」と並ぶ。あらためて伊福部のスケールの大きさを実感。(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

ユーザーレビュー

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まだ全曲をしっかり聴いてはいないのですが...

投稿日:2015/02/28 (土)

まだ全曲をしっかり聴いてはいないのですが、少なくとも「日本狂詩曲」の大迫力のライヴ録音は本当にすごいです!私は幸いにも、実際にこのコンサート(札幌交響楽団の第569回定期演奏会)に行き、生演奏に接することができました。とにかく打楽器の迫力、それも、爆音とすら言ってよいほどの、ものすごい演奏でした。この録音は、その迫力を十分に伝えていますし、コンサートホールKitaraの音響の広域性がよく活かされたものになっていると思います。ここで、演奏に関してもう少し述べておきます。他の録音、演奏と比較すると、まず第一楽章冒頭のヴィオラ独奏がとりわけ印象的です。大体の演奏が直線的に弾き進めていくのに対して、当演奏は抑揚があり、まるで哀歌を歌っているような感じ、と言えばよいのでしょうか、そんな雅やかな雰囲気を出しています。しかし、安易に歌唱的ニュアンスに逃げるようなことは全くなく、打楽器のリズムは明確に示されており、曲全体の支柱を損なうことがありません。このことは第二楽章でも言えることで、この曲が、「あくまで打楽器が主役であり、旋律楽器は付随物」であることを改めて確認させられます。

ブルノのおっさん さん | 北海道 | 不明

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『寒帯林』は蘇演ライブに続く、待望のセッ...

投稿日:2015/01/10 (土)

『寒帯林』は蘇演ライブに続く、待望のセッション録音。演奏も、まずは申し分なし。残るは『リトミカ・オスティナータ』あたりか。

じょーじ さん | 岐阜県 | 不明

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