『マティルデ・ディ・シャブラン』全曲（ナポリ稿）　フリッツァ指揮、マシス、フローレス（3CD）

ロッシーニの知られざる傑作『マティルデ・ディ・シャブラン』
フローレスほかの歌で見事に復活！

予定されていた指揮者の降板により、パガニーニが代役として指揮をし、初演したと伝えられるロッシーニのオペラ『マティルデ・ディ・シャブラン』。
　第1幕が2時間近いとか、アリアが4曲だけであとは重唱だらけ、しかも技術的には困難を極めるという特殊事情もあってか長らく埋もれてしまっていた作品ですが、20世紀に入ってからようやく蘇演され、ペーザロのロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでも1996年と2004年に採り上げられています。
　ロッシーニ歌いとして今や世界的なテノールとなったフローレスは、1996年のセンセーショナルなデビュー時にもこのオペラで主役級のコッラディーノ役を歌い、2004年の再演時にも同じ役を歌っています。このアルバムはその2004年再演時のライヴ。フローレスとマシスの魅力あふれる歌唱と演技で公演は大成功に終わり、聴衆から大喝采を浴び、批評家からも絶賛されました。
　なお、これまでこの曲の唯一のＣＤとして知られていたボンジョヴァンニ・レーベルの録音は、ドイツのヴィルトバートにおけるロッシーニ・フェスティヴァルでの1998年のライヴで、ウィーン稿を用いたものでしたが、今回はナポリ稿を用いており、詩人イジドーロの言葉がナポリの方言になっているとのこと。
　ロッシーニのオペラは近年あまり知られていない作品もCD化されるようになりましたが、現在最高のロッシーニ・テナーと目されるフローレスの歌唱で聴けるのは、ロッシーニ・ファンにとってはこの上ない歓びと言えるでしょう。

・ロッシーニ：歌劇『マティルデ・ディ・シャブラン』全曲(ナポリ稿)
　マティルデ・ディ・シャブラン：アニック・マシス
　コッラディーノ：フアン・ディエゴ・フロレス
　エドアルド：ハダール・アレヴィ
　ライモンド：ロペス・ブルーノ・タッディア
　ジナルド：カルロ・レポーレ
　アリプランド：マルコ・ヴィンコ
　アルコ伯爵夫人：キアーラ・キアッリ
　イジドーロ：ブルーノ・デ・シモーネ
　エゴルド：グレゴリー・ボンファッティ
　ロドリーゴ：ルボミール・モラヴェツ
　プラハ室内合唱団
　合唱指揮：ルボミール・マトゥル
　ガリシア交響楽団
　指揮：リッカルド・フリッツァ

　録音：2004年8月、ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでのライヴ