『ペルシャの祭典〜2台のクラヴサンによる歌劇名場面集』　ロリス・バリュカン、クレマン・ジョフロワ

ラモー作品の多彩さと骨太さが浮き彫りに！ 息を呑むスリリングな1枚

2020年に『ユリスの登場人物たち』と題したアルバムをリリース、18世紀パリきっての人気作曲家ボワモルティエの作品やルベル『四大元素』など、ロココ期を飾った名作群を2台のクラヴサン（チェンバロ）で鮮やかに披露してみせたバリュカン＆ジョフロワのクラヴサン・ユニットが、今度はジャン＝フィリップ・ラモーの傑作群に光をあてた新しいデュオ・アルバムをリリース。
　使われているクラヴサンはどちらも名工エミール・ジョバンが、ラモーの時代のフランスで作られたモデルをもとに克明に再現製作した逸品で、吉田 研氏による細やかなエンジニアリングが収めたその美音の響きがまず耳を捉えます。
　ラモーのダイナミックなオーケストラ語法の持ち味がクラヴサンを通じて伝わる精彩鮮やかなその演奏は、この楽器がタッチ如何で強弱のつかない機構であることなど忘れさせるほど変化に富んだスリリングな魅力がたっぷり。『ペルシャの祭典』とタイトルにある通り、古代まで遡り東洋を舞台としたオペラを中心に、原作別に4つの組曲にまとめたプログラム構成も的確で、管弦楽や声楽家たちの魅力でともすると逆に見えなくなってしまう、ラモーの音楽作りの骨太な魅力が浮き彫りになります。18世紀直送の気配を感じさせる、何度でも再訪したくなる1枚。（輸入元情報）

【収録情報】
ラモー：
● 抒情悲劇『ゾロアストル』（1749年初演版）による組曲
　序曲
　ムニュエ（メヌエット）
　リゴードン
　アントレ
　地獄の霊たちのエール

● 歌劇『ボレアド』（1764年作曲、生前上演なし）による組曲
　アントレ
　時の精たちと西風の精たちのガヴォット
　リゴードン
　快活なエール
　ロンド形式によるコントルダンス

● 英雄舞踏劇『優雅なインドの国々』（1735年初演）による組曲
　リトゥルネル（リトルネッロ）
　西風の精のエール
　第2エール
　行進曲
　花の精たちのエール
　北風の精と薔薇の精のエール
　花の精たちの快活なガヴォット
　シャコンヌ

● 英雄舞踏劇『ザイス』（1748年初演）による組曲
　序曲
　快楽の神々のアントレ（優美なサラバンド）
　遊びの神々と快楽の神々のガヴォット
　ゆったりしたミュゼット
　彫像たちのジグ
　リゴードン
　高貴なアントレ
　ロンド形式によるエール
　タンブラン

　ロリス・バリュカン（クラヴサン）
　パリのグージョン 1749年以前製モデルに基づくエミール・ジョバン製作の再現楽器

　クレマン・ジョフロワ（クラヴサン）
　パリのアントワーヌ・ヴァテール（アントン・ファーター）1732年以前製モデルに基づくエミール・ジョバン製作の再現楽器

　録音時期：2021年12月6-9日
　録音場所：パリ、サン・ピエール教会
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）