『イタリアからの花〜チェロ作品集』　ルンメル、クリューガー

ヨゼフ・メルク：イタリアからの花〜チェロ作品集

19世紀前半のウィーンで「最も傑出したチェリスト」として名を挙げたヨゼフ・メルク。あのベートーヴェンの三重協奏曲は彼が積極的に演奏し（彼のために書かれたのではない）、曲の名声を高めたのです。また、ショパン初期の名作『序奏と華麗なるポロネーズ』はメルクに献呈されています。
　このアルバムに収録されているのは作曲家としての仕事であり、当時全盛を誇っていた「オペラのモティーフを器楽曲に編曲する」シリーズを中心に聴くことができます。良く知られた名旋律がチェロで朗々を歌われるのを聴くと、やはり人の声とチェロの音色は親和性を持っているのだな、と思われる方も多いことでしょう。トラック１の『エアと変奏曲』は副題に「愛好家＝アマチュアのために」と記されていますが、とてもアマチュアの手におえる作品ではないところもご愛嬌。
　演奏しているのはメルクの良き理解者であるチェリストのマルティン・ルンメル。彼は他レーベルにも『20の練習曲』を録音するなど、この知られざる作曲家の普及に努めています。（NAXOS）

【収録情報】
メルク：
・スイス風エアと変奏曲 Op.32（愛好家のために第8番）
・イタリアからの花−新しいオペラからの名旋律による幻想曲
　第1番：ドニゼッティ『ルクレツィア・ボルジア』 Op.26-1
　第2番：ドニゼッティ『ランメルムーアのルチア』 Op.26-2
　第3番：ドニゼッティ『トルクァート・タッソ』 Op.26-3
　第4番：ドニゼッティ『ドン・セバスティアン』 Op.26-4
　第5番：ヴェルディ『エルナーニ』 Op.31
・華麗なるワルツ Op.6

　マルティン・ルンメル（チェロ）
　ローランド・クリューガー（ピアノ）

　録音時期：2011年9月12-13日
　録音場所：オーストリア、ケフェルマルクト、シュロス・ヴァインベルク
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）