ムファット、ゴットリープ(1690-1770)

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CD 輸入盤

『コンポニメント・ムジカーリ』 ロベルト・ロレッジャン(チェンバロ)(2CD)

ムファット、ゴットリープ(1690-1770)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
BRL96340
組み枚数
:
2
レーベル
:
:
Holland
フォーマット
:
CD
その他
:
輸入盤

商品説明


ヘンデルお気に入りの曲集の最終曲は「ゴルトベルク変奏曲」にも通じる「チャッコーナ」

ゴットリープ・ムッファト:チェンバロ曲集「コンポニメント・ムジカーリ」(2CD)
ロベルト・ロレッジャン (チェンバロ)


18世紀ウィーンの宮廷で半世紀に渡って活動していたゴットリープ・ムッファト[1690-1770]が1739年にアウクスブルクで出版した興味深いチェンバロ作品集。ヘンデルの有名曲「聖セシリアの日のための頌歌」のモトネタとしても知られるこの曲集、最後の「チャッコーナ」(38の変奏曲)は、バッハのゴルトベルク変奏曲にどこか通じるものが感じられる作品でもあります。
  演奏のロレッジャンは、世界的に活躍するイタリアの鍵盤楽器奏者。これまで数多くのアルバム制作をおこないドイツやアメリカで賞を受けるなど高く評価されています。

アウクスブルクで出版
チェンバロ曲集「コンポニメント・ムジカーリ」は、1739年にドイツ南部のアウクスブルクで出版。アウクスブルクはドイツで最初に出版の街として知られるようになった自由都市で、15世紀以来の出版業隆盛の歴史があり、多くの出版物を内外に発送してもいました。

ヘンデルが惚れ込んだチェンバロ曲集
ヨーロッパ最大の都市だったロンドンで成功したヘンデルのもとには数多くの作曲注文が寄せられますが、そうした急ぎ仕事の際に、インスピレーション元のひとつとして重宝したと思われるのがムッファトのチェンバロ曲集「コンポニメント・ムジカーリ」です。
  「聖セシリアの日のための頌歌」や合奏協奏曲集 Op.6、オラトリオ「ジョシュア」第2幕行進曲、「サムソン」序曲、「マカベウスのユダ」序曲など多くの作品のモトネタになっています。

他者の音楽もインスピレーション元
ヘンデルがムッファト作品を借用していただけではなく、ムッファトの方もヘンデルのチェンバロ曲集に装飾音を書き込んだ楽譜を所持していたことから、ヘンデル作品の研究や演奏をおこなっていた可能性があります。
  ヘンデルとムッファトに実際の交流があったかどうかはわかっていませんが、古典派やバロック、ルネッサンスの時代は、バッハにせよモーツァルトにせよ、他者の楽譜からインスピレーションを得ることはごく普通におこなわれていたので、ヘンデルとムッファトが楽譜を互いに持ち合っていたのも不思議なことではありません。

ゴルトベルク変奏曲にも影響
1741年秋に出版されたバッハのゴルトベルク変奏曲は、形式的には「主題と低音主題による30の変奏」となりますが、その低音主題が、1733年に出版されたヘンデルの「シャコンヌ(62の変奏)」HWV442の低音主題と一致しています。
  旋律形そのものはイタリア由来ですが、低音主題にそのまま使用というのがなにやら意図的で、そのヘンデルが重宝していたムッファトの「コンポニメント・ムジカーリ」の最後を飾る「チャッコーナ(シャコンヌ。38の変奏)」の要素も取り込んでいるのも興味深いところです。
  バッハの「ゴルトベルク変奏曲」には、素材が同じでも結果はこんなに違うのだとアピールするような面もあり、楽譜の表紙もバッハとしては豪華に仕立てられていました(下の画像)。人口約3万人のライプツィヒ市の職員(教師兼音楽家)という立場を脱して、人口約6万人のドレスデンの宮廷で活躍したかったバッハの意気込みが反映されているようにも思えます。
  ヘンデルは人口約68万人のロンドンで名声と富を得、ムッファトは人口約17万人のウィーンで首席宮廷オルガニストとして高額な報酬を得た成功組でした(楽譜の表紙の差も歴然→上の画像)。そしてムッファトの30年来の師匠フックス[1660-1741]は、バッハが対位法を学んだ理論書「グラドゥス・アド・パルナッスム」の著者でもあります。


音楽家ファミリー
ムッファトの父、ゲオルク・ムッファト[1653-1704]は、神聖ローマ帝国のサヴォイア公国(現在のイタリア北西部とフランス東部、スイス西部にまたがる地域)の生まれで、10歳から16歳までパリで学んだのち、アルザスのイエズス会大学で学び、シュトラースブルク大聖堂のオルガニストに任命。21歳の時にはインゴルシュタットで法律を学んでおり、その後、ウィーン、プラハと移り住み、1678年にザルツブルクの大司教のもとでビーバー[1644-1704]らと働くようになります。ザルツブルクでは好待遇で、イタリア留学もさせてもらいコレッリやパスクイーニに師事。
  1690年に大司教が亡くなると、ゲオルクは南ドイツのパッサウ公国で司教宮廷の音楽家となり、亡くなるまでの14年間を過ごしています。ちなみにゲオルク・ムッファトの9人の息子はみな音楽家になりましたが、最も有名なのがゴットリープです。

ウィーン宮廷〜カール6世の時代
ドイツだけでなくフランスとイタリアの様式にも詳しい父の教えを受けたゴットリープ・ムッファトは、1700年、10歳の時に父に連れられてウィーンの宮廷を訪問。皇帝レオポルト1世の前で演奏。
  1701年、兄のフランツ・ゲオルク・ムッファト[1681-1710]がウィーンの宮廷で働くようになりますが、1710年に亡くなってしまったため、1711年にゴットリープが宮廷の見習い音楽家として、フックスの指導を受けながら働くようになります。
  1717年、フックスの推薦により、皇帝カール6世[1685-1740]が宮廷音楽家として任命し、演奏だけでなく、娘のマリア・テレジア[1717-1780]ら皇帝ファミリー子女の音楽教育も拝命。
  1726年、オルガンのため「72の詩篇と12のトッカータ」をウィーンで出版。教会の典礼用音楽で、12のトッカータに対して6つの教会旋法による短いフーガが関連付けられるという作品集。
  1729年、次席宮廷オルガニストに任命。
  1739年、「コンポニメント・ムジカーリ」をアウクスブルクで出版。
  1740年、カール6世崩御。ムッファトが29年間仕えた皇帝カール6世は、自身が宮廷楽団でチェンバロ演奏をするほどの音楽好きでした。


ウィーン宮廷〜女帝マリア・テレジアの時代
1740年、カール6世の娘、マリア・テレジアによる統治の開始。以後、40年に渡り女帝として君臨。
1741年、恩師フックスの死。
1741年、ムッファト、首席宮廷オルガニストに任命。
1764年、ムッファト、宮廷を74歳で退職。年金は900グルデンという高額なものでした。


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 演奏者情報

◆ ロベルト・ロレッジャン (チェンバロ)

1967年、北イタリアのモンセリーチェに誕生。オルガンとチェンバロの学位を最高の成績で取得後、オランダのハーグ音楽院でトン・コープマンに師事。以後、ソロとアンサンブルの両方で、ヨーロッパ各地や日本など世界的に活動。パドヴァのチェーザレ・ポリーニ音楽院で教えてもいます。
  CDは、Brilliant Classics、Chandos、Tactus、Arts、Velut Luna、Dynamic、Glossa、CPO、ARCANA、Da Vinci Classics などから発売。

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 トラックリスト (収録作品と演奏者)

ゴットリープ・ムッファト [1690-1770]
「チェンバロのための6つの組曲とチャッコーナ」 (1739)

CD1 58:32
◆ 組曲第1番 ハ長調
1. 序曲 3:17
2. アルマンド 3:23
3. クーラント 2:05
4. エア 2:26
5. リゴドン 0:49
6. メヌエットとトリオ 2:28
7. アダージョ 1:02
8. フィナーレ 1:49

◆ 組曲 第2番 ト短調
9. 前奏曲 2:46
10. アルマンド 3:08
11. クーラント 2:27
12. サラバンド 3:03
13. ブーレ 0:59
14. メヌエットとトリオ 3:03
15. ファンタジー 1:44
16. ジーグ 2:10

◆ 組曲 第3番 ニ長調
17. ファンタジー 2:21
18. アルマンド 4:28
19. クーラント 2:22
20. サラバンド 3:53
21. メヌエット 1:11
22. リゴドン・ビザール 2:10
23. エア 2:40
24. フィナーレ 2:43

CD2 75:55
◆ 組曲 第4番 変ロ長調
1. ファンタジー 5:15
2. アルマンド 2:14
3. クーラント 2:09
4. サラバンド 3:08
5. ラ・アルディエス(大胆さ) 2:13
6. メヌエットI、メヌエットII 3:04
7. エア 2:45
8. ホーンパイプ 2:31
9. ジーグ 1:42

◆ 組曲 第5番 ニ短調
10. 序曲 2:59
11. アルマンド 3:01
12. クーラント 1:50
13. サラバンド 3:00
14. メヌエット 1:05
15. リゴドン 1:24
16. メヌエットとトリオ 2:41
17. ジーグ 1:16

◆ 組曲 第6番 ト長調
18. ファンタジー 2:24
19. 4声のフーガ 2:28
20. アルマンド 2:30
21. クーラント 2:26
22. サラバンド 3:36
23. ラ・コケット 0:51
24. メヌエットとトリオ 2:30
25. エア 1:41
26. ジーグ 2:50
27. 狩猟ホルンのメヌエット 1:29

28. ◆ チャッコーナ 10:43

  ロベルト・ロレッジャン(チェンバロ)
  使用楽器:ミヒャエル・ミートケ1719年モデル(パテッラ/ペルゴリス1998年製作)

  録音:2022年7月4〜7日、イタリア、バオーネ、ヴィラ・ベアトリーチェ・デステ
 Track list

Gottlieb Muffat 1690–1770
Componimenti Musicali
Per il cembalo (1739)
6 Suites and a Ciacona

CD1 58:32
Suite No.1 in C
1. Ouverture 3:17
2. Allemande 3:23
3. Courante 2:05
4. Air 2:26
5. Rigaudon 0:49
6. Menuet et Trio 2:28
7. Adagio 1:02
8. Finale 1:49

Suite No.2 in G minor
9. Prelude 2:46
10. Allemande 3:08
11. Courante 2:27
12. Sarabande 3:03
13. Bourée 0:59
14. Menuet et Trio 3:03
15. Fantaisie 1:44
16. Gigue 2:10

Suite No.3 in D
17. Fantaisie 2:21
18. Allemande 4:28
19. Courante 2:22
20. Sarabande 3:53
21. Menuet 1:11
22. Rigaudon Bizarre 2:10
23. Air 2:40
24. Finale 2:43

CD2 75:55
Suite No.4 in B flat
1. Fantaisie 5:15
2. Allemande 2:14
3. Courante 2:09
4. Sarabande 3:08
5. La Hardiesse 2:13
6. Menuet I, Menuet II 3:04
7. Air 2:45
8. Hornepippe 2:31
9. Gigue 1:42

Suite No.5 in D minor
10. Ouverture 2:59
11. Allemande 3:01
12. Courante 1:50
13. Sarabande 3:00
14. Menuet 1:05
15. Rigaudon 1:24
16. Menuet et Trio 2:41
17. Gigue 1:16

Suite No.6 in G
18. Fantaisie 2:24
19. Fuga a quattro 2:28
20. Allemande 2:30
21. Courante 2:26
22. Sarabande 3:36
23. La Coquette 0:51
24. Menuet et Trio 2:30
25. Air 1:41
26. Gigue 2:50
27. Menuet en Cornes de Chasse 1:29
28. Ciacona 10:43

Roberto Loreggian harpsichord
1998 Patella/Pergolis, after M. Mietke (1719)

Recording 4–7 July 2022, Villa Beatrice d'Este, Baone (PD), Italy

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