LPレコード 輸入盤

ラメンターテ、詩篇、ブリテン追悼のカントゥス」 ペドロ・ピケロ、アルヴァロ・アルビアク&エストレマドゥーラ管弦楽団

ペルト、アルヴォ(1935-)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
PCL10292
組み枚数
:
1
レーベル
:
:
Europe
フォーマット
:
LPレコード
その他
:
輸入盤

商品説明


禅僧ピアニストが問いかける死生観の音楽

アルヴォ・ペルト:「ラメンターテ(哀歌)」、他
ピケロ(ピアノ)、アルビアク指揮エストレマドゥーラ管弦楽団


スペインの禅僧ピアニスト、ペドロ・ピケロとスペインの指揮者とオーケストラの共演によるアルヴォ・ペルトの「ラメンターテ(哀歌)」。組み合わせは弦楽オーケストラのための「詩篇」と、弦楽オーケストラと鐘のための「ベンジャミン・ブリテン追悼のカントゥス」。ブックレット(英語・スペイン語)の解説はペドロ・ピケロ自身によるものです。

ネタ元は残虐非道なアポロンの物語
きっかけとなった話は、笛の名手マルシュアスが、周りに囃されて竪琴弾きのアポロンに演奏での勝負を挑んで審査で負け、アポロンが見せしめのためにマルシュアスの皮を生きたまま剥いで殺してしまうという恐ろしい神話。

残虐神話にインスパイアされたカプーアの「マルシュアス」
巨大オブジェ「マルシュアス」は、イギリスを拠点に活動するユダヤ系インド人彫刻家、アニッシュ・カプーア[1954- ]が、「テート・モダン(国立近現代美術館)」に委嘱されて制作した作品。笛が原因でアポロンに皮を剝がれて殺されたマルシュアスの象徴として、鮮血色のポリ塩化ビニル製の膜を軟鋼管フレームに張ったラッパ状のオブジェを2002年から2003年にかけて展示して話題となったもの。オブジェの長さは150メートル、高さは35メートルという巨大なものでした。

「マルシュアス」にインスパイアされたペルトの「ラメンターテ」
「テート・モダン」からの委嘱により、その巨大な「マルシュアス」を見たアルヴォ・ペルトは感銘を受け、ピアノとオーケストラのための「ラメンターテ」を作曲します。10楽章構成で、それぞれの楽章は、「脅威」、「無慈悲」、「壊れやすい」、「祈り」、「孤独 - 心の状態」、「慰め」、「金切り声」、「嘆かわしい」、「断固として」、「脆弱で融和的」と名付けられています。「ラメンターテ」は死者のための哀歌ではなく、痛みと絶望に満ちたこの世界でもがき苦しむ全ての「生」に捧げられた作品です。

ペルトの言葉
「死と苦しみは、この世に生を受けたすべての人に関わるテーマである。この問題にどのように向き合うか(あるいは向き合えないか)によって、意識的であれ無意識的であれ、その人の人生に対する態度が決まる......これが私の「ラメンターテ」という作品の根底にある主題だ。従って、私は死者のためではなく、これらの問題に自ら対処しなければならない生者のために哀歌を書いた。」

ペドロ・ピケロによる演奏
禅僧として道元禅師の膨大な著書を海外に紹介していたピケロにとって、日頃から親しんでいる道元禅師の生死観(しょうじかん)と、ペルトの唱える死生観には共通するものもあるのかもしれません。

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 作曲者情報

◆ アルヴォ・ペルト

ペルトは1935年、人口百数十万人というバルトの小さな国エストニアに誕生。生まれた場所は13世紀にリヴォニア騎士団によって建設されたパイデという町です。当時のエストニアは独立宣言から17年を経たばかりの共和国でしたが、ペルトが5歳のときにはソ連軍の侵攻を受けて占領され、ソ連邦の一部に編入されてしまいます。
  ペルトはソ連支配下の社会体制の中でタリン音楽学校に学びますが、兵役によって中断、陸軍バンドでオーボエ演奏やサイドドラムを担当したのちに復学、1957年にはタリン音楽院に進んで作曲を勉強して頭角を現し、1961年、オラトリオ『世界の歩み』により、モスクワで開催された全ソ連青少年作曲コンクールで優勝しています。
  ペルトはまた、在学中からエストニア放送のレコーディング・エンジニアの仕事もおこない、1968年に作曲家として独立するまでその職務をこなしてもいました。彼の初期の作風は、ソ連作曲家のショスタコーヴィチやプロコフィエフだけでなく、バルトークからシェーンベルクの十二音技法まで消化した近現代的で前衛的な要素も加味されたもので、放送局勤務という海外情報の入りやすい条件もあったのか、在学中にすでにセリーなど西側の技法に基づく作品まで発表して物議を醸しています。
  しかし、1967年に初めて東方正教会の単旋聖歌を聴いて以来、ペルトはそうしたスタイルによる自身の活動に限界を感じるようになり、それらとは正反対の聖歌やグレゴリオ聖歌、中世、ルネサンス、バロックの宗教声楽曲などを研究すると同時に、宗教を探究し、ロシア正教会に深く関わるなどして、西洋音楽の原点回帰を目指し、独自の美を追求するようになります。
  作曲家として独立した1968年に発表された『クレド(信仰告白)』はペルトの新たな姿勢をコラージュ的に如実に示したものといえ、ネーメ・ヤルヴィによっておこなわれた初演は、表向き信仰を禁じていた当局の逆鱗に触れ、10年間の演奏禁止を宣告されてしまいます。
  そうしたこともあって、ペルトはソ連当局と芸術上の問題で対立しますが、1977年には先にソ連を出ていたクレーメルが、『タブラ・ラサ』をとりあげるなど国外でも注目を集めるようになり、1979年にはペルトも家族と共に国を出ることになります。
  ペルトはまずウィーンに移住して市民権を獲得、1982年からはベルリンを拠点に活動を展開するようになり、やがて、その音楽がECMレーベルを主催するマンフレート・アイヒャーの目にとまったことが、ペルトの名前が一躍有名になるきっかけとなりました。
  元ベルリン・フィルのコントラバス奏者で、その後ジャズのベーシストに転向、ほどなくECMレーベルを興したアイヒャーは、美しい音楽に関して凄い嗅覚の持ち主。
  ペルトの作品を気に入った彼は、1977年のクレーメルによる『タブラ・ラサ』のライヴ録音を中核とし、キース・ジャレット、デニス・ラッセル・デイヴィス、そしてベルリン・フィルの12人のチェリストたちによるレコーディングを集めて、アルバム「タブラ・ラサ」として1984年に発売、その独自の美しさを持った音楽はまたたく間に多くの人に知られることとなり、世界的なヒットを記録することとなります。
  ECMのアルバムがきっかけとなって知名度が高まったペルトは、他社からのリリースも相次ぐようになり、安定した人気を持つ現代作曲家として揺るぎない地位を確立しています。その音楽を彩った基本スタイルは、1970年代の後半に確立された「ティンティナブリ(鐘鳴らし)様式」という簡素な和声を用いた瞑想的で神秘的なもので、以来、ペルトの音楽の代名詞ともいうべき技法となっています。

 演奏者情報

◆ ペドロ・ピケロ (ピアノ)

1976年、アンダルシア州セビージャ(セビーリャ)に誕生。スペインの名手、エステバン・サンチェス・エレーロ [1934-1997]と、ブラジルの名手で新ウィーン楽派など20世紀作品に強いカイオ・パガーノ [1940- ]に師事。以後、南北アメリカ、スイス、ベルギー、スペイン、ポルトガル、スウェーデンなどで演奏。
  音楽演奏と並行して、近年では宗教家としても活動。日本の仏教学者、西嶋和夫(法名:愚道和夫)[1919-2014]の弟子として道元の「正法眼蔵」の翻訳にも携わり、曹洞宗僧侶として、スペインの仏教団体、道元サンガで会長を務めるほか、禅道、求道の指導もおこなっています。
  CDは、Piano Classics、Verso、Columna Musica、NIbiusなどから発売。


◆ エストレマドゥーラ管弦楽団

スペイン西部、アンダルシア州の北に位置するバダホスとカセレスを擁するエストレマドゥーラ州政府が2000年に設立したオーケストラ。新しいオーケストラですが、すでにヨーロッパ、アジアなどで海外公演も多数おこなっています。


◆ アルヴァロ・アルビアク(指揮)

1968年、ヴァレンシア州リリアに誕生。1999年、第46回ブザンソン国際指揮者コンクールで審査員賞と聴衆賞を受賞した後、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、トロンハイム交響楽団、ウィーン室内管弦楽団、ハノーファーNDR放送フィル、オーヴェルニュ管弦楽団、フランドル放送管弦楽団、ヴュルテンベルク・フィル、リヨン国立管弦楽団、スペイン国立管弦楽団、バルセロナ交響楽団など、各地のオーケストラを指揮。また、オペラやフェスティヴァルにも熱心で、マドリード王立劇場、バルセロナ・リセウ大劇場、ペーザロ・ロッシーニ音楽祭、ボローニャ市立劇場、トレヴィーゾ市立劇場、シュレースヴィヒ・ホルスタイン音楽祭、グラナダ音楽祭、ペララーダ音楽祭などにも出演しています。
  CDは、Piano Classics、SONY Classicalなどから発売。



 トラックリスト (収録作品と演奏者)

アルヴォ・ペルト [1935- ]

Side A 28:41
◆ 「ラメンターテ(嘆き)」 (ピアノとオーケストラのための) (2002)
1. I. 脅威 3:21
2. II. 無慈悲 3:16
3. III. 壊れやすい 0:47
4. IV. 祈り 5:22
5. V. 孤独 - 心の状態 5:41
6. VI. 慰め 1:23
7. VII. 金切り声 1:39
8. VIII. 嘆かわしい 7:06

Side B 22:22
1. IX. 断固として 2:46
2. X. 脆弱で融和的 6:53

3. ◆ 「詩篇」 (弦楽オーケストラのための) (1985/1997) 5:39

4. ◆ 「ベンジャミン・ブリテン追悼のカントゥス」 (弦楽オーケストラと鐘のための) (1977/1980) 7:01

  ペドロ・ピケロ(ピアノ)
  エストレマドゥーラ管弦楽団
  アルバロ・アルビアク(指揮)

  録音:2022年7月4〜6日、スペイン、バダホス、パラシオ・デ・コングレソス
 Track list

Arvo Pärt b.1935
Lamentate (2002)

Homage to Anish Kapoor and his sculpture ‘Marsyas: for piano and orchestra

SIDE 1A 28:41
1. I. Minacciando 3:21
2. II. Spietato 3:16
3. III. Fragile 0:47
4. IV. Pregando 5:22
5. V. Solitudine – stato d:animo 5:41
6. VI. Consolante 1:23
7. VII. Stridendo 1:39
8. VIII. Lamentabile 7:06

SIDE 1B 22:22
1. IX. Risolutamente 2:46
2. X. Fragile e conciliante 6:53
3. Psalom for String Orchestra (1985/1997) 5:39
4. Cantus in Memoriam Benjamin Britten
for String Orchestra and bell (1977/1980) 7:01

Pedro Piquero piano
Orquesta de Extremadura
Álvaro Albiach conductor

Recording: 4-6 July 2022, Palacio de Congresos, Badajoz, Spain

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