『バビロニアのイスラエル人たち』[トム＆ハワード編]　フォンテーヌ＆アンサンブル・ウナ・ヴォルタ、他

ヘンデル:『バビロニアのイスラエル人たち』

英語によるオラトリオの、あまりにも偉大な業績のため、今なお、死後の全体的な評価に誤解が多いヘンデルですが、いかにイギリス人が、ヘンデルをオラトリオの作曲家として敬愛していたかを知らしめる作品の登場です。
　1759年のヘンデルの死後も、ヘンデルのオラトリオを望む声は高く、ジョン・クリストファー・スミスやサミュエル・アーノルドなどが、ヘンデルのあまり知られていない作品などを使って曲を作っていましたが、なかなか、高い評価を得るものはできませんでした。
　しかし、1764年に、エドワード・トムとサミュエル・ハワードによって作られ初演された、このパスティッチョ(オラトリオ）｢バビロニアのイスラエル人たち｣は、有名なヘンデルの作品から各部分が、例えば、CD2のトラック8は｢王宮の花火の音楽｣の｢歓喜(アレグロ)｣、トラック28 は『オンブラ・マイ・フ』と、誰でも知っているヘンデルの作品が引用されており、｢最高のコンピレーション｣と、批評家にも絶賛された作品です。
　フォンテーヌ率いるカントライ・ザールルーイスはじめ、演奏家陣は、当時のイギリス人たちがヘンデル作品への敬愛を持って作り上げた、このパスティッチョの魅力を十全に引き出すことに成功しています。

ヘンデル：
・オラトリオ『バビロニアのイスラエル人たち』

　ジュリア・グッディングス（ファレーズ）
　ザビーネ・フォン・ブローン（イスラエリーテ）
　ジョナサン・ピーター・ケニー（イスラエリーテ）
　ジョゼフ・コーンウェル（ゾロバヘル）
　アドルフ・ザイデル（ダリウス）
　エッケハルト・アーベレ（ザラティエル）
　カントライ・ザールルーイス
　アンサンブル・ウナ・ヴォルタ
　ヨアヒム・フォンテーヌ（指揮）

　録音：2005年2月14−16日　ドイツ、ザールルーイス、福音史家教会