これはびっくり! ラヴェルの『左手のためのピアノ協奏曲』
オーケストラ・パートとピアノ・パートを左手ピアノ独奏のために編曲!
フランスの若手ゼッキーニが魅せる、左手の妙。
1979年パリ生まれのマキシム・ゼッキーニはフランスが注目する若手ピアニスト。2000年アルカション国際コンクールの優勝を皮切りに数々の国際コンクールで受賞歴を重ね、現在世界を舞台に活躍の幅を広げている新進気鋭の実力派です。
「AD VITAM」レーベルでのファースト・アルバムとなる今回は、左手のための作品を集めたプログラム。何よりも注目されるのは、ゼッキーニ自身が編曲を行ったピアノ独奏版『ラヴェルの左手のためのピアノ協奏曲』でしょう!
冒頭、コントラバスからホルンへと繋がっていく密やかなメロディをピアノ低音部で奏で始めたかと思うと、そこから幻想的に広がるオーケストラのハーモニーを見事にピアノで表現していきます。サウンドの広がりが小さめになってしまうことは否めませんが、その分ひとつひとつのアンサンブルがクリアに聴こえてくることも確か。ゼッキーニの溌剌とした弾きぶりも相まって、全体的にすっきりとした音の響きが印象的です。収録にはドイツが誇るシュタイングレーバー&ゼーネを使用。低音域の厚い響きが特徴の名器と共に、力強い演奏で魅せてくれます。
他にも左手のための編曲作品としては代表的なゴドフスキ編曲のショパンの練習曲や、ブラームス編曲のバッハのシャコンヌなども収録し、「左手のために」という作品の魅力をたっぷりと堪能できるアルバムに仕上がっています。とはいえ、本アルバムのブックレットにて「アルバム1枚だけではこの芸術の大きさをまとめられない!」とさらなる意欲を見せたゼッキーニ。第2集ではリストやフォーレ、ワーグナーの作品を収録するとのことで、そちらのリリースにも期待が高まります!(キングインターナショナル)
【収録情報】
『左手のための作品集 vol.1』
・ラヴェル/ゼッキーニ編:左手のためのピアノ協奏曲(左手のみのピアノ独奏版)
・スクリャービン:2つの左手のための小品 op.9
・ショパン/ゴドフスキ編:練習曲第22番(原曲:『革命』 op.10-12)
・ショパン/ゴドフスキ編:練習曲第5番(原曲:『別れの曲』 op.10-3)
・サン=サーンス:左手のための6つの練習曲 op.135より(フーガのように/ブーレ/ジグ)
・J.S.バッハ/ブラームス編:シャコンヌ(左手のための)
マキシム・ゼッキーニ(ピアノ:左手)
使用楽器:シュタイングレーバー&ゼーネ(独)