ヴァイオリン・ソナタ集　エフゲニー・スヴィリドフ、ダヴィト・メルコニヤン、スタニスラフ・グレス（日本語解説付）

エフゲニー・スヴィリドフ／タルティーニ：ヴァイオリン・ソナタ
日本語解説付き

偉大な作曲家でありながら、活躍期が音楽史の「はざま」にかかっていることもあり全貌がなかなか明らかになりにくいイタリアの天才ヴァイオリン奏者＝音楽理論家＝作曲家タルティーニ。若い頃には超絶技巧を駆使した名作も数多く残していながら、後年その比類ない旋律センスを活かし、独自の和声感覚のもと平明・絶美の音楽へと傾倒していったところは、何か後年の「ピアノの貴公子」リストにも通じるところがあるかもしれません。
　この大作曲家に古楽の老舗「Ricercar」レーベルが正面から向き合ってくれたことは、古楽シーンの嬉しい新事件と言えるのではないでしょうか？ 1734年、かつてヴィヴァルディの『四季』を初出版したアムステルダムの版元から刊行された12曲のソナタ集は、タルティーニの技巧と至芸をあざやかに伝える充実曲集。かたや後年の活躍地であるパドヴァでひそやかに綴られた『タッソのソナタ』2作は、イタリア文学史に名高い16世紀の大詩人タッソ「解放されたイェルサレム」に紐づけられた暗示的プログラムにも心そそられる名品。謎と風説を静かに解きほぐしてゆくのは、2017年ブルージュ国際古楽コンクールで圧倒的優位をみせた才人スヴィリドフ（パガニーニまで弾きこなす名手！）のチーム。塗り替えられてゆく名盤史の最先端を飾る逸品です。
　演奏者自身による解説(国内仕様は訳付)も目が離せません。（輸入元情報）

【収録情報】
タルティーニ
1. ソナタ第15番ト長調『タッソのソナタ』
2. ソナタ第10番ト短調『見捨てられたディドーネ』
3. ソナタ第12番ヘ長調
4. ソナタ第5番ホ短調
5. ソナタ第17番ニ長調『タッソのソナタ』
6. パストラーレ

出典：
ヴァイオリンのためのソナタ、チェロないしチェンバロとともに Op.19　1734年アムステルダムにて刊行（2,3,4,6）
パドヴァ音楽古文書館の手稿譜『26の小さなソナタ』　ヴァイオリンと任意参加のチェロのための（1,5）

　エフゲニー・スヴィリドフ（バロック・ヴァイオリン）
　ダヴィト・メルコニヤン（バロック・チェロ）
　スタニスラフ・グレス（チェンバロ）

　録音時期：2018年6月
　録音場所：ベルギー南東部リエージュ州ボーファイ、洗礼者聖ヨハネ教会
　録音方式：ステレオ（デジタル／セッション）

　国内仕様盤（解説訳・補筆：白沢達生）