ショスタコーヴィチ(1906-1975)

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CD

オラトリオ『森の歌』 フェドセーエフ

ショスタコーヴィチ(1906-1975)

基本情報

ジャンル
:
カタログNo
:
VICC83
組み枚数
:
1
:
日本
フォーマット
:
CD

商品説明

フェドセーエフ/『森の歌』

「あと4日遅ければ、この録音は存在しなかっただろう。」フェドセーエフ自身がそう語った、共産党体制末期のソ連でおこなわれた執念のレコーディング。


「収録日があと4日遅かったら、この録音は存在しなかっただろう」
 ウラディーミル・フェドセーエフ

共産主義体制の崩壊がすぐそこに迫っていた、1991年8月のソヴィエト連邦共和国におけるレコーディング。クーデターの3日前という緊迫した情勢下、政治に翻弄されてきたこのオラトリオの芸術的価値を信じるフェドセーエフが、反発する楽団員を説得して録音にこぎつけたという、まさに執念のセッションの記録です。2006年1月に予定されている、フェドセーエフ&東京フィルによる公演に先がけて、既に生産中止となっている当盤の、最後のメーカー在庫が入荷しました。

 『森の歌』作品81は1949年に作曲され、同年11月にムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルにより初演された、独唱者2名と混成合唱および児童合唱をともなう大規模なオラトリオ。1948年の「ジダーノフ批判」で苦境に陥ったショスタコーヴィチの地位を一気に回復させる大成功を収めた作品ですが、スターリン主導による第2次大戦後の植林計画を讃える内容ゆえに、1962年には歌詞の書き換えを迫られ、共産党体制のほころびが見え始めた1980年代には、本国ソヴィエトでさえ忌避されていたという、不遇な運命を辿った作品でもあります。

 アメリカ合衆国をはじめとする西側諸国においても「共産党礼賛」がネックとなった不当な扱いが続いていたのですが、何故か日本では、アマチュア合唱団を中心に以前から非常に人気が高く、一時は第8番や第10番などの交響曲を差し置いて圧倒的な演奏回数を誇ったといいます。確かに、歌詞内容の危うさを取り払い、親しみやすく力強いメロディ・ラインに耳を傾ければ、多くの合唱愛好家を引き付けてやまない魅力が感じられることは確かなところです。

 フェドセーエフもまた、この作品の魅力を信じるひとり。「あの時が(録音の)最後のチャンスだと思った」と後年に述懐しているとおり、異議をとなえる楽員に作品の音楽的な魅力を説明し、クーデター直前という緊迫した空気の中でこの録音を完成させたといいます。「とにかくこの傑作が、音楽史から消えてしまうのは惜しいと思った」フェドセ−エフはそう述べています。

 なお前述のとおり、この作品には1949年初演版と、第1、5、7曲の歌詞を書き換えた1962年版が存在しますが、この録音でフェドセーエフは、第1曲のみ1949年初演版の歌詞を採用しています。ライナーノートには1949年初演版と1962年改訂版の歌詞内容の対照表が掲載されていることも、この作品が辿ってきた道程を考えるうえで非常に興味深いところです。

・ショスタコーヴィチ:オラトリオ『森の歌』 op.81

 第1曲 戦争が終って
 第2曲 祖国を緑に変えよう
 第3曲 過去の追憶
 第4曲 ピオネールたちは木を植えている
 第5曲 コムソモールたちは前進する
 第6曲 未来の散歩道
 第7曲 讃歌

 アレクセイ・マルティノフ(T)
 アレクサンドル・ヴェデルニコフ(B)
 ユルロフ名称ロシア共和国合唱団
 少女合唱団『春』

 モスクワ放送交響楽団
 ウラディーミル・フェドセーエフ(指揮)

 録音:1991年8月16,17日 モスクワ放送局大ホール[デジタル]

内容詳細

1949年の初版はスターリン讃歌、スターリン亡き後の62年版では共産党讃歌に改められたオラトリオ。それが91年8月クーデターの3日前というデリケイトな時期に敢えて録音された。解体ソ連の残照と自由への階梯、1991年付けの希望が聞こえてくるようだ。(マ)(CDジャーナル データベースより)

収録曲   

ユーザーレビュー

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この曲、あまり録音は多いとは言えないが発...

投稿日:2010/01/07 (木)

この曲、あまり録音は多いとは言えないが発売された音楽は旧ソ連時代の録音(一応このフェドセーエフ盤もソ連時代の録音であるが)中心に凄い演奏、例えばムラヴィンのパワー溢れる演奏だったり、スヴェトラの豪快な演奏等が多い。 それらに比べたらこの録音はおとなしく、地味な印象であるがオーケストラがとても美しく、この曲の政治抜きの音楽的高さを良く伝えてくれる音源だと思う。録音も優秀。初め、森の歌だけで3000円はちょっと高いのでは!?と思ったが日本語ライナーも詳しく書いてあり、この内容なら十分、適正価格と言える。

レインボー さん | 不明 | 不明

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ショスタコーヴィチ(1906-1975)

「わたしの交響曲は墓碑である」という“証言”の中の言葉によって象徴されるショスタコーヴィチの音楽と生涯への価値観の変質は、今もって盛んな議論と研究、演奏解釈によって再認識過程の最中にあるとも言えますが、作品によってはすでに演奏年数も75年に及び、伝統と新たな解釈の対照がごく自然におこなわれてきているとも言えそうです。 圧政と戦争の象徴でもあったソビエト共産主義社会の中に生き、そして逝ったショスタコ

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