ピアノ作品集　ネベル（p）

アンゲリカ・ネベル / シューマン：ピアノ作品集

え！　こんなテンポの子供の情景、あり？
2006年はモーツァルト・イヤーで盛り上がりましたが、実はシューマンの没後150年の年でもありました。ここには、『子供の情景』を始めとした小品が収められています。まず、『子供の情景』。冒頭の「見知らぬ国と人々」の快速テンポに驚かされます。なぜこんなテンポで？　と思い解説を見てみると、「シューマンの使っていたメトロノームは不良品だった？」と見出しがついています。
　その解説によると、シューマンが書き付けたテンポ表示は、彼が使っていた「正しくテンポを刻まないメトロノーム」が基準となっているため、それを鵜呑みにして演奏するのは間違いだというのです。何とも想像力を刺激するエピソードではないでしょうか？
　『アラベスク』と『3つの幻想小曲集』をはさみ、選ばれたのはバラード3曲。これは本来、朗読とピアノのためのメロドラマとして作曲されたもので、最近ではF.＝ディースカウの素晴らしい演奏で完全体が聴けますが、ここではあえてピアノの部分だけが演奏されています。「暁の歌」そして「主題と変奏」はシューマンの心の歌。すでにメトロノームなど必要とするはずもない、晩年のシューマンの朦朧とした音楽をしみじみ味わってみたいところです。
　アンゲリカ・ネベルはベルリン生まれの女流ピアニスト。ハノーファーとシュトゥットガルトで学んだ、幅広いレパートリーの持ち主で、音楽祭への出演や放送局のための録音等で活躍しています。1995年よりデュッセルドルフ・ロベルト・シューマン大学の教授を務めています。（BMG JAPAN）
　
シューマン:
・子供の情景 Op.15
・アラベスク Op.18
・3つの幻想的小曲 Op.111
・美しいヘートヴィヒ Op.106
・2つのバラード Op.122
・暁の歌 Op.133
・主題と変奏
　アンゲリカ・ネベル（p）