ピアノ協奏曲集 バーラミ、シャイー&ゲヴァントハウス管弦楽団
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Piro | 埼玉県 | 不明 | 2013年05月27日
本アルバムにおいて、リスナーはかくも美しい矛盾に瞠目することになる。CDのブックレットにもあるように、シャイーが最も腐心したことの一つに「いかにして一つの総体としてのハルモニーを作り出すか」ということがあるようである。オケとピアノは相互補完の関係にあり、完全なるポリフォニーのためにお互いが奉仕しなくてはならない。その後の世代の協奏曲と違って、独奏楽器とオケとの丁丁発止とばかりの対話や駆け引きはバッハでは禁物なのである。この姿勢はアルバム全編にわたって貫かれ、完璧なオケと完璧な独奏者が作り出す一刀彫の造形物として堂々たる姿を見せてくれる。が、やはり書くべき点はそれだけではない。才気あふれるバーラミという若鯉が水を得たかのようにピチピチとはねるのを抑えることはできないし、それこそは群衆が是非ともその場に居合わせたいと願っている、新しい世代の息吹を感じる瞬間なのである。バーラミの紡ぎだすピアノの音はハルモニーを決して乱さずに、自己を主張してくる。リスナーは矛盾の止揚に立ち会うことが出来るのである。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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