多様化するウェスト・コースト・シーン

新旧ひしめき合うベイ・エリアの裏で、リアル・オトナ向けヒップホップ登場

前回ご紹介した Thizzler の名物企画「The Bay Area Freshmen 10」＝ベイエリア注目新人ラッパー TOP10 が遂に決定。私の予想は見事に外れましたが、10 人の中でも最初に選ばれた弱冠 20 歳の Sage The Gemini はその後ぐにメジャー契約というミラクルを起こしました。今後グイグイ、メインストリームに出てくること必至。

ベテランも負けてません。90 年代から活躍する MC で、Bon Iver がそのリリックを絶賛するフィルモアのレジェンド Andre Nickatinaと、E-40 と同郷ヴァレーホの重鎮 Celly Cel がそれぞれ 9 月末に新作を発表。前者には彼をリスペクトするイキのいい若手がこぞって参加、後者には DAZ や Spice 1 等、書ききれないほどの大物ゲストを迎えており、ベイ・シーンの世代 / 地域を越えた盛り上がりを感じさせます。

一方、LA からはサックス奏者 / プロデューサーとして地位を確立している Terrace Martin のソロアルバム『3chordfold』が静かに口コミで売れはじめています。Robert Glasper やKendrick Lamar らを従え、レイドバックしたビートにむせび泣くような色気のあるサックスとラップが絡む傑作です。秋の夜長にぜひ。