あなたはきっと思い出す、モービーが作るあの美しい音楽を

壮大なアンビエント、抒情的なブレイクビーツ、人生に寄り添う「歌」…かけがえのないイノセント

モービーと名乗るスキンヘッドに黒縁眼鏡の男リチャード・メルヴィル・ホールといえば、あなたは何を思い浮かべるだろうか？

アンダーワールドやケミカル・ブラザーズ、プロディジーにマッシヴ・アタック…、クラブ・ミュージックが次々とメインストリームへと浸透していった 90年代。TV ドラマ「ツイン・ピークス」のサントラ収録曲をサンプリングした大ヒット・シングル「Go」、アルバム収録曲のほとんどが CM タイアップとなり全世界 1000 万枚以上のセールスを記録したモンスター・アルバム『Play』、世界的に大ヒットしたマット・デイモン主演の「ジェイソン・ボーン」シリーズの主題歌には『18』収録の「Extreme Ways」が起用され、知らずに彼の音楽に触れてきたひとも多いだろう。

熱心なファンなら彼が菜食主義者であることや、『白鯨』で知られる作家ハーマン・メルヴィルの子孫であり、それが” モービー” という名の由来であることもご存じだろう。その後フジロック出演や来日公演、ベスト盤のリリースを挟んで、コンセプチュアルなアルバムのリリースが続き気ままな活動からすっかり隠居してしまったようにも思える氏が突如冒頭のみんなが知っているモービーとして帰還を果たす。

「音楽業界は崩壊してしまったということを受け入れなくてはいけないのだと思う。」と前置き、「ただ単にアルバムを作るのが好きだからという理由でやる。」とシンプルな制作動機から完成した本作には、タイトルの “イノセンツ”が表す通り壮大で美しく、モービーらしいサウンドスケープが目の前に広がる。マドンナ、レディ・ガガからアークティック・モンキーズまで手掛けるグラミー常連プロデューサー、マイク “スパイク” テントを共同プロデューサーに迎え、史上最大級のアンセムとなるであろう先行シングル「The Perfect Life」では盟友ウェイン・コイン（ザ・フレーミング・リップス）とともに世界を祝福する。本作で再びあなたは思い出すだろう、モービーが作るあの美しい音楽を。