気持ちいい、は何を超える？

ナイトメアズ・オン・ワックス最新作が指し示す音楽の在り方、付き合い方

＜Warp＞ の最古参アーティスト？トリップホップの代名詞？ジャズ、ソウル、レゲエ、ダブの全てを飲込んだスモーカーたちのヒーロー？シネマティックなローファイ・ファンクが紡ぐロード・ムーヴィーは終わらない。

現在は現代の桃源郷イビザに根を張るナイトメアズ・オン・ワックス ( 以下 :NOW) ことジョージ・エヴリンが「音楽の持つエネルギーがどれほどまでに人々に安ぎを与えるのか、皆にもう一度思い起こしてほしい。」という実も蓋もない、でも誰もが忘れてしまったメッセージとともに届けてくれたオリジナルとしては 7 作目となるアルバム『フィーリン・グッド』にはパット・メセニーが心酔するドラマーからジャザノヴァが全幅の信頼を寄せるジャズマンまで世界各国から名うての音楽家が集合した。

夕焼け、寄せては返す波、咽び泣くトランペット、祝祭の大団円。進化論や数値的記録とは無縁の音楽は、SNS の TL で目立つことより、10 年後、100 年後に聴いても気持ちいい、それに勝るものはあるだろうか？そんな NOW の本作に打たれたなら、同掲のタイトルにも耳を運んでみてほしい。終わらない音楽の旅を必ず約束するのでその耳で確かめてみて欲しい。