Quiet Corner クワイエット・コーナー Vol.9

Quiet Corner クワイエット・コーナー

数奇のグリンゴが描く、キューバへの想い溢れる物語…。

最初のフレーズの素敵さや鮮烈さ、それは、そのまま作品自体の素晴らしさのバロメーターとなることがある。米国の男性SSW、マテオ・ストーンマンがキューバに赴き吹き込んだアルバム、『Mateo』と『マイ・ビューティフル・ハバナ(Mi Linda Havana)』は、まさにそのバローメーターが正確に機能した作品だ。現在は、ロサンゼルスとキューバを行き来して活動を続けるマテオは、ニューハンプシャーの出身。19歳の時に移り住んだ都会、ロスで夢見た音楽家としての生活は、厳しい現実によって打ち砕かれてしまう。生活苦による窃盗容疑で服役を余儀なくされた彼の人生はどん底へと転落する。しかし、服役した4年の刑期の中で彼が出会い、学び得た物は、彼の音楽観、いや、人生観すら一変させてしまった。きっかけは、娯楽時間に観た映画『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』だったという。その衝撃と感動を心に留め、スペイン語とラテン音楽を学び始めた彼の人生はいつしか、迷いの無い豊かな物へと変わって行く。出所後、弾き語りの仕事で得た資金を元に、キューバへ幾度となく赴き、時間をかけて作り上げたのがデビュー作『Mateo』であり、その後、さらに9年の歳月をかけて生み出したのが『マイ・ビューティフル・ハバナ(Mi Linda Havana)』である。天性のシルキーヴォイスで語りかけるように歌い、かのブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブのメンバー達を交え紡ぎ出すサウンドは唯一無二。まるでロマンチックな物語のように、聴くもの全てを虜にしてしまう。キューバの人たちは、彼のことを“マテオ”と呼んでいる。グリンゴ(=よそもの)としての、米国での本名であるマシュー・ストーンマンではなく、親しみと尊敬を込め、まるで古くからの友人のように、そのラテン名である、“マテオ”と…。
文●丸山雅生(production dessinee)

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