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Review List of M 

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  • 7 people agree with this review
     2015/07/30

    当録音集の中で判断すれば、ケンペの演奏の白眉は交響曲におけるベルリンフィルとのステレオ録音にあるといえるのではないか。のみならずベルリンフィルの演奏の白眉も録音の悪い、しかし演奏は神格化されているフルトヴェングラーのものを別枠とすれば、このケンペとのステレオ録音だと言いたい。このベルリンフィルとの一連のステレオ録音では歴史上の名指揮者群の中でケンペがケンペたる所以が明確に示されている。それは曲の解釈者としてではなく、オーケストラの各楽器奏者が我を忘れて楽器を奏することに夢中にさせるようなカリスマ的な力量である。これはジャズやロックの奏者にあるようなドライブ感にやや近いのかもしれない。以上の特質は偉大な解釈者であったフルトヴェングラーのもうひとつの側面でもあり、その意味では純音楽的にはケンペこそフルトヴェングラーの後継者にふさわしかったといえるのではないか。歴史はカラヤンのようなオーケストラの楽員に塗り絵をさせるような全く逆のスタイルの道を歩んだが、ケンペにもっと政治力や健康があればと思うと痛恨の極みである。

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  • 3 people agree with this review
     2015/05/27

    著名な奏者でありながら、従来LPでドビュッシーのソナタ位しか聴いたことがなかった。それで、ほぼ先入観なしで聴いて最初に思ったことは「この人のヴァイオリン、ステレオ録音だったらどんな音だったか更に聴いてみたい」ということだった。名バイオリニストといわれる人の殆んどが、しなやかな音を武器にしているが、ヌヴーのは硬質なダイヤモンドの赴き。色彩感にも欠けていない。このことだけでも独自性のある奏者だったのではないのか?テクにつても難曲を楽々弾きこなしているように感じられる。まあこの曲のみ繰り返し録音している理由を察するに低音から高音にかけてヴァイオリンのタッチ(ピアノでいうところの)や音色の変化を発揮するには最も適した曲ということもあるだろう。(この辺の事情はコーガンと似ているような気がする)。一方で、曲の交響曲的側面からすると録音状態からいっても不充分であることも含めて、少なくとも私がこの曲らしさと感じているものを味わうには、他にも沢山の演奏がある。その意味であくまで一人の天才ヴァイオリニストを聴く演奏である。(オイストラフがコンクールで彼女に負けたのも何となくわかる気がする)

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     2015/04/25

    鈴木先生の推奨文よろしく購入の至りとなったが、期待以上の内容。特に良かったのがピアノソナタで、ワクワク感はホロヴィッツのステレオ録音以来のもの。新鮮さの最大の理由は音符に書かれた一音一音の和音の多くが、奏者のオリジナリティを施されたバランスで入念に処理されていることだろう。従って大抵は退屈な葬送行進曲も集中して聴くことができた。現代の世界には技術、音、過不足のない音楽性を具えたピアニストは沢山いるだろう。だが、このフォークトのような斬新な切り口で音楽にアプローチできる奏者は、かつてギーゼキングを輩出したような、文化的先進性を持った国ならではのものであろう。そのギーゼキングについても、個人の能力と同時に一つの文化から生み出されたものであるという記述が、吉田氏や小石氏の評論にみられるのである。とすれば、フォークトのような傑出した演奏家にもかかわらずディスクが少ないことに現代の聴衆のマジョリティーの傾向を窺うことができるだろう。やはりそれはカラヤンをはじめとするクラシック音楽の大衆化ということと無関係ではないだろう。

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     2015/04/17

    モントゥーのダフニスは第一部が超名演である。なかでも「全員の踊り」は何人も真似のできない、これぞダフニス の世界。永遠の名演奏!較べて第二部の演奏は少々野暮ったい気がする。ダフニスの核心部はどうやら第二部の「パントマイム」にあるような気がしているが、この部分の溜飲の下がるような演奏を聴いた経験はない。従って現時点でのベストディスクは小生にとっては、モントゥーである。

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     2015/04/13

    K310のピアノソナタの第二楽章では、作曲当時21歳にして既に後のジュピター交響曲に通じる「神」の領域が顔を覗かせている。神の伝道者には作曲年齢は関係ないのであろう。このようなことを直感させるのがアルゲリッチの演奏であり他の演奏からは得られないものである。彼女の音楽的天才の高さを示す一例といえるだろう。K333も今まで以上に良い曲と思わせる名演奏。但しピアノ協奏曲は普通の演奏。これでなくてはと思わせるものはない。

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     2015/01/01

    ブラームス交響曲第2番 ドイツ系巨匠×ベルリンフィル×ステレオ録音 のブラームス交響曲(カラヤン アバドはこの範疇に属さない)をカウントしてみると驚くべきことに、ベームの1番 ケンペの1番 3番 がすべてである。ベートーヴェンの全集でも同様のことがいえるが、これはクラシック音楽の聴衆にとって一大痛恨事ではなかろうか。それはフルトヴェングラーを始めとするドイツ巨匠時代の終焉とモノーラル録音時代の終焉が重なっていたことが大きな理由だと考えられる。その意味で当録音の存在意義は計り知れないものがある。演奏自体も期待を裏切らない充実したものである。

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     2014/11/23

    ハンマークラヴィアソナタ 録音のせいもあるのかピアノの音がメタリックで不快感はあるが、このソナタナンバーに内在する特異性、可能性を最も(左もしくは右)まで推し進めた演奏といえる。録音当時、野心的で斬れ者である知的な新鋭ピアニストであったことがわかる。技巧のきれを土台に、響きの精密さの点で他の演奏とは異なる。又精巧感は当曲の器楽的面白さを顕在化している。これらの特徴を精神的でないと的はずれな批判をすることは可能だろう。白眉は第四楽章で、この謎めいた巨城にここまで解釈のくさびを打ち込んだ演奏は他にない。

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     2014/11/05

    ハンマークラヴィアソナタ カーネギーホール盤も併せ聴いたみたが、演奏録音共にこちらの方がより良い。第一楽章は、悠然と構えたような独特の弾き方の出だしが少々気になるが、バックハウスほどこの第一楽章にふさわしいピアノの音を持ったピアニストは他にないと思う。まさに鍵盤の獅子王たる演奏である。問題は第三楽章以後で、第三楽章では早目のテンポと強弱のなさにより曲本来の幻想性を損なっているし、第四楽章は指にまかせてバリバリ弾くのみで、この難解なモンスター的楽章に解釈的チャレンジが感じられない。こうした点は野村光一氏の<ピアニスト>という本の中の評論の具体的例に該当すると思われる。(野村氏はバックハウスのベートーヴェンを低く評価しているわけではない)。以上のことから最もバックハウスらしいベートーヴェンのピアノソナタの演奏はこのハンマークラヴィアソナタだと考えます。

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     2014/10/08

    モーツァルト 半透明の芯のある独特のタッチはオンリーワンであろう。モーツァルトの協奏曲ではことさらこれが生きる。特に23番ではタッチが曲のエスプレッシヴォさに更なる光を当てた趣。代表的名演奏のひとつといってよいだろう。ベートーヴェン 第3番の、ベートーヴェン的豪放さと、青春の共存という曲の本質を鮮やかに描き出す名演奏。(以上DENON盤による同一録音で聴く)

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     2014/10/05

    ラフマニノフ 当演奏はピアニスト松本和将氏のブログに紹介があり、又 松本大輔氏著書「それでもクラシックは死なない」にはピアニストギーゼキングのディオニソス的側面についての記述がある。確か宇野功芳氏がメンゲルベルグとの同曲の演奏を評して「やりたい放題」とコメントしていたと記憶しているが、当演奏と比較すると、あの程度で「やりたい放題」といえるのかといいたくなる位である。だがここには現代のピアニストが失って久しいものがあるといわねばならない。第3楽章が心理学者の分析を聴くようなDGのリヒテル盤と並んで印象深い演奏である。

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     2014/03/23

    カラヤンの<こうもり>は元来オペラを得意とするだけに、活気にあふれた優れたでき。だが、<ウィーンの森の物語>は演出が鼻につき曲に本来ある<ふるさと>性が台無しだ。聴くべきはクリップスの<青きドナウ><南国のバラ>で、室内楽的音作りが、当時のウィーンフィルの性能の高さと相俟ってクラウスやボスコフスキーとは別の魅力がある。クナの<ラデッキー>は曲のお祭り性を避けたような演奏で余り面白くない。

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     2014/01/04

    バーンスタインとの2番が充実したできだったので、当演奏にも興味がもたれたが、反面もうひとつ奏者が曲に合わないのではないかという思いもあった。その理由として、ツィマーマンのスタイルは確かに曲の音楽的側面にも充分に心くばりされたものではあるが、それが内面の直接的放射というより一旦デジタル的に解析され客観化されたものの集積のように感じられるからである。言葉を換えれば下書きされたものを塗り絵で埋めていくような印象があるわけである。それで1番というのは2番のような老獪な複雑さがないかわりに青春的な叙情が純粋に表現されていると考えられ、その点で奏者とのスタイルと合うかということではあるが、聴いてみてはからずも、その予感は的中してしまった気がする。そもそも正直なところ第1番の演奏で小生の限られた聴験の中で納得したものは正規録音ものとしてはセル/フライシャー盤のみである。バックハウスもギレリスもポリーニもアシュケナージも余り良くなかった。その理由としては第一楽章の第2主題をはじめとするピアノパートの透き通るような和音のデリカシーにあるのではと考えられる。これなくして音楽にある濃密な夜の叙情と青春の息吹というべきものは伝わって来ない。

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     2013/11/01

    まず女性ピアニストがプラームスのPCに挑戦しているということ自体、興味の的であるが、その理由として単に技巧、体力共、女性には荷が重いのではと想像されるのみならず、音楽の持つ一種粘液質な世界が男性的なものを強く感じさせるからでもある。実際の演奏であるが、両曲共に中心をなす第一楽章が、他の男性ピアニストの名演に較べで今一つピンと来ない。そのかわり2楽章以後が音楽的に良く弾けていると感じる。つまり従来の演奏では第一楽章が興味の中心で後はオマケのようになんとなく感じられていたものが、彼女の演奏では終いまでバランス良く飽きずに聴くことができる。ここに仕事の丁寧さという意味で女性らしい特長があらわれているように思う。技巧的に一流のピアニストでは男女の優劣はないと感じさせる程高度な技巧がそれを可能にしている事勿論である。

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     2013/10/22

    演奏当時のエアチェックの記憶が強く、すべての冬の旅の最高と考えていた。今、30数年ぶりに聴き直した。F=Dの他の冬の旅と基本同じようでいて何かが違う。その理由をあえて説明してみると、ポリーニはいつものように楽譜通り弾いているだけだろうが、相棒に触発されたのはF=Dの方ではないのか。というのもF=Dは最高のアルチザン(職人)としての地位を保っていたであろうから、過去の相棒はその意味で格下であった。そこに自分と対峙できる相棒が選ばれた。ポリーニの克明なピアノの音。それに呼応してF=Dがここで呼び覚まされたのは音楽的なものとか詩的なものといった類ではなく、発声されるオブジェとしての声自体に対する情動のようなものではないのか。美しい技術家としてのF=Dがいつになく心をぶつけるような歌いっぷりに感じられるのはその為だと思う。

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     2013/08/11

    ヴァントとのシューマンは録音時の逸話こそ興味深いが、演奏はそれを彷彿させる程のものではない。曲との相性ということもあるだろう。ベートーヴェンはこの4番がギーゼキングにとって相性の良い曲といえるだろう。粒の揃った美しいタッチが生きるということ。そこから愉悦感のある第4番の世界が生まれる。それにしても何種類かあるギーゼキングの4番の中でも、というよりすべて?の彼の録音の中でも当録音のピアノのタッチの美しさは格別である。それだけでも十分に聴く価値のあるディスクだと思う。

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