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Review List of Kei 

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  • 10 people agree with this review
     2010/03/19

    一聴して大変な才能だと思った。大袈裟な身振りとか、極端なダイナミックスを売りにしてないのでうっかり聴いていると地味に聞こえるかもしれないが、一音毎に表情が千変万化すると言えるほど多彩な音やリズムを持っていて、それらが「これこそショパン」と膝を打ってしまうほど、実にセンス良くまとまる。セムコフという指揮者はもう80才を越えているがあまりスターダムに乗ってなかった人で、今回初めて聴いたのだが、実にニュアンス多彩でかつ老獪な演奏をする人だ。孫ほど歳の違うブレハッチと良いシナジーを出していて、この人選は成功だった。この演奏に比べると、10年前に同じ曲を再録したアルゲリッチとデュトワは「でくの坊」に聞こえてしまう。トーンマイスターをマイヤールが務めているだけあって、録音もセンスが良い。

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  • 4 people agree with this review
     2010/03/19

    この曲はショルティのWPO盤が名盤と言われて久しいが、デイビスはマッチョなショルティと違って英国人の美徳である中庸でバランスのとれた音楽作りで、この曲にはより合っていると思うし、歌手もショルティ盤と甲乙しけ難く充実している。歌手も一回り若返った配役になっていて、ショルティ盤ではちょい役の「眠りの精」を歌っていたエディタ・グルベローヴァが「グレーテル」を歌っているのが何より嬉しい。この録音当時のグルベローヴァルチア」をウィーンの国立歌劇場で聴いたことがあるが、その有名な「狂乱の場」は今でも脳裏に浮かんでくるほど完璧な歌唱とクリスタルのような声と演技であった。勿論「グレーテル」の役は、特に難しい歌いまわしも音も要求されないが、それでも彼女の澄んだ声は美しく、第二幕を一段と魅力的にしている。オケも技術的には甲乙つけ難いが、少し渋い音を出すドレスデンの方が若干楽器のピッチを上げているWPOよりこの森のオペラには合っていると感じる。なお、廉価版なので歌詞はついてない。

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  • 1 people agree with this review
     2010/03/19

    アリス=紗良・オットは1988年ミュンヘン生まれというから、これを録音したときはまだ21才。彼女のピアノはユジャ・ワンのように脳天に一撃を加えるようなものではないが、ストレートな力強さと精細さが同居した、濃密ではないが清水のように清冽な、それこそ若い時にしか成し得ないような類の演奏である。評論家の中野雄さんは「モーツアルトを弾くなら20歳前と60歳過ぎ」という至言を残しているが、ショパンも正にそうだ、と思わせる演奏である。それに、彼女の弾き方に往年のアルフレッド・コルトーを思い出させる瞬間が過るのを感じたのは気のせいだろうか?

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  • 4 people agree with this review
     2010/03/19

    必ずしも世評の高くないこのCDは、私にとってこれまでで一番満足できる演奏である。まず、現在の最も優れたジョヴァンニ歌いとされるサイモン・キーンリサイドと優れたバリトン歌手ブリン・ターフェルをはじめ声楽陣は他では見られないほど充実していて、多くがまだ30歳代という「若者の劇」である「ドン・ジョヴァンニ」に相応しい年齢の歌手揃いであることは最大の魅力である。それに劣らず重要なのは、アバドがECOから引き出す、音楽のテクスチャーが透けて見えるほど透明感のある音楽であり、著名な大オーケストラからは滅多に聴き取れない音楽や音のパレットの美しさや表情が手に取るように解ることである。ECOはアバドの指揮のもとオケが歌を支配することなく、寄り添い、協調し合っていて、大変素晴らしかった。

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  • 3 people agree with this review
     2009/11/21

    ワーグナーは例えばシベリウスがそうであるように、西洋音楽の系譜の中で単独峰のような全く独自の音楽世界を構成していて、通常の古典派からロマン派への連続的な発展としては捉えられない面を持っている。クナッパーツブッシュはドイツの歌劇場に棲み付き、このワーグナーの音楽語法がもう体の一部になってしまったような指揮者である。だから逆にこの人のベートーベンなどは聴く気になれない。この演奏はLP時代から聴き続けているが、無骨でアインザッツも乱れまくりの演奏であるにもかかわらず、相変わらず最も心を揺さぶられる。序曲や劇中曲の抜粋なのに瞬時に劇中に引き摺り込まれるような体験は他の指揮者では絶対味わえない。それが、この指揮者の独特の呼吸にあるのか、あるいは、魅せられたような表情豊かな音を紡ぎだしていくVPOの名手達の表現力にあるのかはよく分からない。ともかく、今後どんなに演奏の完成度が高く、録音の良いディスクが出ても、捨てられないCDである。

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  • 6 people agree with this review
     2009/11/08

    シベリウスの交響曲は3番以降から急速にチャイコフスキー風のロマン派の残滓を脱ぎ捨て、透明性の高いシベリウスだけのエッセンスを凝縮した音楽に変容を遂げた。このクリスタルのような傑作群を、いかに本場物とはいえ十全な演奏クオリティを持たないローカル・オケやメジャーの大編成のオケで演奏するのは必ずしも適切とは考えられない。従ってHPOとの全集で高い評価を得たベルグルンドが、アバドやアーノンクールが真っ白なキャンバスに思い通りの絵を描きたい時に使っていた若い腕っこき揃いのECOを使って10年後に再録音した気持ちは極めて良く理解できる。結果は大成功で、少なくとも3番以降の曲に関してこれほどピュアで凝縮感のある表現は他に聴けないと思う。シベリウスの最高傑作にして最も美しい曲想にあふれた4番など、この演奏以外には耳を傾けたくないほどである。録音もよく(半分以上をオンノ・スコルツェが録っている)、これが現在入手できないのは残念でならない。

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  • 7 people agree with this review
     2009/11/03

    ファウストはドヴォルザークの室内楽で一度聴いた程度の知識しかなかったが、予想を超えた素晴らしい全集だ。繊細さと激しさを持ち合わせながら知的なコントロールを忘れない演奏は正に古典派の曲には最適で、それにメルニコフのピアノは粒立ちが抜群で弱奏でも強奏でもそれが崩れないので、激しい曲想でも美しさが損なわれない。10年以上前に出たクレーメル/アルゲリッチ盤は2人の個性を聴くのには良いが、果たしてベートーベンの正統な演奏であるかについては疑問の残るものだった。それに比して、本演奏はベートーベンの音楽そのものを聴くには最適な全集と言って良い。録音も優秀な部類に入る。この新盤が廉価版の値段で買えるのだから、実に有難い。ファウストは現在最も優れたバイオリニストのひとりになっていると言っても過言ではなく、ハーン、フィッシャー、ヤンセン等の名前を思い合わせると、今やバイオリン界は女性上位になってしまった感がある。

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  • 4 people agree with this review
     2009/11/03

    初稿を聴くのは初めてだった。改訂版とは随分違うのに驚いた。スケルツオのトリオなんて、全く別の曲だ。改訂版の方が成熟してることは確かだと思うが、初稿はより素朴で荒削りな点、よりブルックナーらしいのかも知れない。ヤングを聴くのも初めてで、まあこのSACDは初物尽くしだったのだが、大変良い演奏だと思った。丁寧で、かつ、スケール大きく演奏され、強奏時でも決して音の美しさが損なわれないことに感心した。また、ヤングの演奏の呼吸というのが極めて自然で、長大なこの曲を全く疲れることなく聴き終えることが出来た。劇場指揮者は楽曲と聴衆の呼吸への配慮において優れると言われるが、昔のクナッパーツブッシュ/ミュンヘンPOの演奏と同じく、ずっと浸っていたい演奏である。録音はライブにしては大変良い方だと思う。

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  • 0 people agree with this review
     2009/11/03

    チャイコフスキーは難しい。ロシアの作曲家にしては西欧風に洗練されているが、洗練され切ってはいない。そこで、並みのロシア人指揮者にかかると臭くなるし、西欧の指揮者ではロシア的なイディオムが表現し切れない。という訳で、ムラヴィンスキー盤が50年近くにわたって君臨しているのだが、ちょっと汗臭いがゲルギエフも良い線は行っていると思っていた。このヤンソンスが出て、やっとディジタルでこれぞという演奏が手に入った。ゲルギエフより洗練されクリスピーだが、第一楽章のコーダのような聞かせ所は思い切り感情が爆発するのが素晴らしい。これに比べて、協奏曲の方は、どこが特に悪いという訳ではないのだが、どこか半端でしっくりこない。ヤンソンスとブロンフマンの相性の問題なのか、何かこの2人の志向するものが合ってない感じなのである。従って、交響曲だけが満点。録音はライブにしては良い方ではないかと思う。

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     2009/11/01

    ザンデルリングはこの録音当時は確か60才ぐらいで指揮者としては最も充実する年代だということを実感させる演奏。何の衒いも無い正攻法の楷書体の指揮が飛び切りのオケと出会って可能になった圧倒的な揺るぎない名演だと思う。この録音後、今まで色々な名指揮者と言われる人達が録音してきたが、ここまでのものは無かったと思う。今後はヤルヴィやハーディングのような新世代の指揮者による斬新なアプローチや故クライバーのような強烈な個性によって魅力的な演奏が現れることを期待したいが、最近出たラトルの新盤のように、飛び切りのオケを使っても指揮が正体不明というように、中々良い録音が出てこないのが寂しい。このシリーズは70年代にしては良い方なので、ランチ一食分のお金で買えることだし、買って満足度は極めて高い。新盤は中々捨てがたい味わいを持っているが、やはり、指揮者の充実度やオケのレベルからして、旧盤に軍配が上がるのは当然だろう。

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  • 0 people agree with this review
     2009/11/01

    ザンデルリングはこの録音当時は確か60才ぐらいで指揮者としては最も充実する年代だということを実感させる演奏。何の衒いも無い正攻法の楷書体の指揮が飛び切りのオケと出会って可能になった圧倒的な揺るぎない名演だと思う。この録音後、今まで色々な名指揮者と言われる人達が録音してきたが、ここまでのものは無かったと思う。今後はヤルヴィやハーディングのような新世代の指揮者による斬新なアプローチや故クライバーのような強烈な個性によって魅力的な演奏が現れることを期待したいが、最近出たラトルの新盤のように、飛び切りのオケを使っても指揮が正体不明というように、中々良い録音が出てこないのが寂しい。このシリーズは70年代にしては良い方なので、ランチ一食分のお金で買えることだし、買って満足度は極めて高い。新盤は中々捨てがたい味わいを持っているが、やはり、指揮者の充実度やオケのレベルからして、旧盤に軍配が上がるのは当然だろう。

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     2009/10/11

    ヤンソンスは重厚かつ華麗な上にBRの特質である柔らかな音を生かして、実に滑らかでもある素晴らしい演奏をしている。もともとワーグナーはこのミュンヘンの暖かな、柔らかな音が合っていて、いくら上手くてもBPOではミスマッチだと思っている。と、ここまでは満点だが、ワーグナーにはプラスアルファが欲しくなってしまうのである。このような序曲や劇中曲のショーピース的な演奏には、独立の管弦楽曲として完成度を高めたものと舞台の場面を彷彿させるものがあって、楽劇そのものに親しんでいる人間にとって前者は物足りない。楽劇そのものの呼吸とかドラマを構成する感情、葛藤などを反映してないからだ。ヤンソンスの場合、完成度は高いが、前者に属する演奏だと思う。神棚を崇めるのは好きではないが、後者の代表であるクナッパーツブッシュがVPOやミュンヘンPOを振った演奏に満ち溢れるオーラがここでは希薄なのが惜しい。とは言え、もうこれからそんな演奏が出てくる可能性も高くはないだろうから、満点としよう。録音はライブとしては良い方だが、強奏時の音抜けは若干悪い。

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     2009/10/10

    LP時代に買って大変気に入ってた演奏。この演奏の後、ディジタル時代になってカラヤン、ジュリーニをはじめ大指揮者と言われる人が殆どこの曲を録音したが、結局、少なくとも20世紀的なスタイルの演奏(最近録音したラトルもこの範疇)では相変わらず最初に指を折る決定盤である。楷書体で衒いがなく、あらゆるパーツが実に自然で妥当性のある鳴り方をしていることと、シュターツカペレ・ドレスデンの素晴らしい音と演奏技術の相乗効果で未だこれを超える演奏を探すのは容易ではない。確か原盤はオイロディスクか何かだったと思うが、71年の録音にしては優秀で、少なくとも当時のDGなんかよりずっと良い。今聴いても大きな不満は感じない。恐らく、これを超えるのは例えばヤルヴィのような指揮者による新しいスタイルの演奏を待つしかないのだろう。3/4番を既に録音しているハーディングあたりにも期待できるかもしれない。因みに、ザンデルリングの新盤との比較で言えば、やはり多くの人の指摘どおり、本CDのほうが完成度が高い。

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  • 1 people agree with this review
     2009/10/10

    寡聞にしてブリテンに魅力的なVn協奏曲があることを知らなかった。比較対象を聞いてないが、素晴らしい演奏だと思った。何よりもヤンセンのこの曲への思いが、強烈なパッションとして胸を打つ。ベートーベンは本人が言うとおり「ヤルヴィーカンマーフィルとのスタイルの違いが心配だった」という尤もな懸念があったものの、「案じるより生むが易し」という結果になった。ヤルヴィの筋肉質、透明な強固なオケのプラットフォームの上でヤンセンは安心して跳ね回ることが出来てるばかりでなく、両者の個性を殺さぬ範囲での歩み寄りも出来た感がある。もともとパッションの乗った演奏をするヤンセンは、先日放映されたN響とのチャイコフスキーの演奏でもオケが物足りないと自分から煽りに行くような面があるのだが、ヤルヴィの棒では水を得た魚のように伸び伸びと演奏していて、シャイーとのメンデルスゾーンの時に若干感じられた心許なさは微塵もない。全く個性の違うフィッシャーともども、実に有望な若手女流である。

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  • 6 people agree with this review
     2009/10/10

    この曲には2つの面で違和感を憶えてきた。楽章間の統一感が弱く、特に前3楽章と最終楽章には大きなギャップがあることと、これまでの演奏様式が過度にロマン派的でこのような不統一間を際立たせてしまってたことだ。ヤルヴィの演奏は、筋肉質かつ楽譜が透けて見えるほどの透明感があり、この曲が7番や8番の延長線上にある紛れもない古典派の交響曲であると同時に彼岸をを覗き見た終着点であることを明確に解らせてくれる。また、全体にインテンポ気味のなかで、従来の演奏より2楽章はテンポを落とし、逆に3楽章は大幅に早めるなど、マクロな演奏構造設計をゼロベースでやり直したかのごとく、楽章間の不統一性も大きく解消されている。3楽章を聴けば、従来の演奏とは全く別の曲と感じる程、清水のような魅力を湛えていることが誰にでも解るだろう。何時も押し出しの良さ一辺倒のバリトンの歌い出しも、ゲルネの実に思索的な歌唱で、聴いて気恥ずかしさを感じることもなくなった。これで9曲聴き終わり、この全集が本当にベートーベン交響曲演奏の新世紀を開くものであることを確信した。

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