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izkeiske さんのレビュー一覧 

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     2021/07/03

    作品というものは常に時代に制約されています。特にこの手のサスペンス作品の場合はその影響が大きい。この原作は、インターネットもGPS携帯も存在しない世界でしか成立し得ない物語。したがってここで描かれた世界は現代ではありえません。しかし原作の脚本をそのまま使うという制約がある限りどうしようもない。原作の核を大切にして、動かさないということを重視した結果がそれなら、後はそれ以外の部分をどうにかするしかない。とはいえ、どうしてもそこに違和感が残るもの。それでもなおかつこの作品にリアリティを与えた役者さんたちの存在感と演技力を評価します。

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     2021/07/03

    冒頭の水上機事故のシーンなど、円谷英二氏による特撮も見られますが、それ以外は実機を使っての撮影です。それも隼一型の空撮シーンばかり。主翼に日の丸、機首に反射避け塗装をしただけの、ジュラルミン地肌を輝かせながら、水平飛行、背面飛行、宙返り、急横転、緩横転、垂直旋回、急降下、錐揉みからの回復など、まさにアクロバット飛行のフルコース!これらはテスト飛行のシーンとして撮られたものですが、正真正銘の本物が魅せる、まるで重力を操っているような飛びっぷりは、航空ファンやモデラーの宝物、本機の映像資料として最高のものでしょう。感動しながら何度も見ていると、飛行中のパイロットを正面から捉えたカットは、尾翼に明野飛行学校のマークが描かれていて、風防からも九九式高等練習機の後部座席と分かります。また、テストパイロット役の月田一郎氏は、タキシングしてエンジン停止、地上に降りて手前に歩いてくるまで、ワンカット吹き替えなしで、ご本人が実際に乗られているようです。

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     2021/07/03

    タイトル通り、ありえない地形に立つ長屋(?)が舞台の暗黒時代劇。大昔、地上波で観たときには、モノクロということもあってか、ひたすら暗いドラマだった記憶があるが、今回観直してみて面白さがわかった気がする。
    なにかで読んだ記憶があるのだが、黒沢監督は画面をいっぱいに使わないと気が済まない人だそうで、つまり群像劇になってしまうということらしい。しかし、三船や香川京子はともかく、他の地味な役者陣(!)だけでこれだけ見せる作品をつくれるのは、やはり尋常な才能じゃないよ(地味な役者陣は、みんな超名バイプレイヤーだけどね)。

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     2021/07/03

    尊敬して止まない黒澤作品のひとつ。最初はビデオで、2回目はDVDで見たが、見るたびに深い感慨を感じる。1945年9月製作ということで、終戦直後のタイミングである。
    黒澤の戦争前後の作品といえば戦時中の「いちばん美しく」や戦後の「わが青春に悔いなし」が思い浮かぶが、これらは日本人の価値観が大きく変動したことが伺える作品である。一方この「虎の尾を踏む男たち」については黒澤が立脚する拠り所というものが明確になった作品であると思う。それは日本古来の伝統的な武士道思想や日本人が違う階層、階級の間でも共有していたような、あえていうと「もののあわれ」というような感情である。山伏に変装した義経や弁慶たちの武士が7人、エノケン演じる強力(ごうりき:山伏の荷物を運搬する)が義経たちの行く末を案じて山伏の後をついていくというところなどはその後の名作「七人の侍」を暗示させる部分もある。「七人の侍」でも武士と農民の微妙な交流と関係を描いたように、本作品でも武士と強力の印象深い交流を描いた。当時は共産主義など階級闘争思想が万延する予兆があちこちに見られたが、黒澤は日本人の各階層間のゆるぎない精神的な紐帯について確信をもっていたのだろう。そういえば戦後の子供たちへのアンケートで長らく義経がベスト3に選ばれていたということを聞いたことがある。歴史的実像を離れて、この物語が日本人の心を長い間とらえてきたことは興味深い。戦時中、敗北を覚悟し追い詰められた軍人たちの多くが義経の物語を思い浮かべたに違いない、そういうことを感じさせてくれる点でも自分にとっては味わい深い映画であった。

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     2021/07/03

    おそらく撮影時の黒澤明監督からのプレッシャーはいつも相当のものだったろう。監督のプレッシャーを三船敏郎だけはものともしなかったと言われるが、志村喬の弁護士初登場シーンはあがっている。唯一、映画として自然な演技をしているのは小沢栄太郎。
    黒澤明監督作品になじめないが何に起因するのかずっと考えてきたが、それは作品が人間劇であるからだと思い至った。映画というより劇なのである。本作品も裁判は人間劇のための道具であり、裁判での応酬がメインではない。しかも隠れ主演は弁護士役の志村喬である。
    東京の道路の交通標識に米国占領時代の英語表記がある1950年が舞台。戦後まもなく人々が何とか生きていこうとしている。芸術家のイメージには程遠い、バイクを乗りこなす直情型の青年画家が、弁護士を連れて行った酒場で皆で一緒に歌う、蛍の光。まさしくどん底である。そして弁護士の娘は星のように生きた。かたや悪い人間ではないが弱い人間であるがため、薄汚くならざるを得なかった弁護士も最後に星となった。

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     2021/07/03

    若き黒澤明監督とスタッフが作った純愛映画。一日のデートの中にその時代の若者の想いを詰め込んだ華麗な映画。
    戦後すぐ共産主義が台頭し映画会社の労働争議の影響で主役級のスターが使えない。スタジオもあまり使えない。
    その状況を逆手に取って、当時の焼け野原から復興中の町でのロケ撮影や、普段は脇役なヒロインと新人の恋人役が逆にあの時代の空気を閉じ込めている。
    ヒロインの中北千枝子さんを満員電車のガラスに押し付けて、ここまでやるかととんでもなく不細工な顔でのヒロインの登場カット。その意地悪くブスとして描いたヒロインがラストでは可愛いくて美しく感じる語り口。人間の魅力や絶望の中での希望見つけ方など、私には愛おしい映画でした。
    そういえば中北千枝子さんって70-80年代に「ニッセイのおばちゃん」のCMやってはった女優さんか、あの好感度とみんなが応援したくなる雰囲気はずっと持ってはったんだなぁ。

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     2021/07/03

    黒沢監督はこの激変の時、民衆の無責任さからくる日和見な姿に大いに無念と憤りを感じていたと思う。
    しかしそんな難しいこと云々の前に、黒沢監督の理想の男性が野毛であり、理想の女性を幸枝として表していたのではないかと感じられた。
    女性ならこんな風に尊敬できる男性に出会いたいものだとつくづく思わされ、雷に打たれたようになった。
    これこそが本当の愛の姿である、と。
    藤田進さんの演技は抑えられた中に秘めたるものがあり、この役にとても合っていたし、原節子さんには初めて彼女の瞳の中に光を見た気がして、これが本当の原節子なのではないか!と思っていたら彼女自身、この役は気に入っていたようである。
    藤田進と原節子のカップリングが予想をはるかに超えてよかった。
    服部正さんの曲も素晴らしい。
    兎に角、予想を遥かに超えて、私にとって一番愛しい映画になった。小難しく考えずに観て欲しいと思える作品。

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     2021/07/03

    先生と生徒の関係よりも、かつて日本には礼節と良心によって人々が暮らしていた時代が確かにあったことを思い起こさせてくれる。拝金主義や収賄、非常識はもっとも忌み嫌われていた。17回のまあだ会には教え子たちの娘や孫たちが登場しかつての日本の豊かさを描いている。家族とは、友人とは、先生とは何かを現代に問う。人間が家族から切り離され友人とも会わずにすみ、先生のことも忘れ自分の葬式すら面倒に思える現代にふとこの映画を観ることによってまあだ会の末席に座っているような錯覚に陥る。ノラの存在はこの話をとても複雑にしている。妻や教え子たちに囲まれながら先生は孤独だったのか。観るたびに視点をずらして楽しめる。この映画は黒澤の傑作だと思う。

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     2021/07/03

    1昨年5月にお亡くなりになった大女優の京マチ子さんを偲んでのボックスだそうですが、収録作品は、

    1. 「羅生門 デジタル完全版」1951年
    2. 「浮草 4Kデジタル修復版」1959年
    3. 「赤線地帯 4K デジタル修復版」1956年

    の3作だけです。1は黒澤明、2は小津安二郎、そして3は溝口健二と、大映製作による究極の映画監督3人の作品をセレクトしたようですが、3作ともすでに同じフォーマットの単品で4千円台で発売されています。私も2と3を購入済みですが、そういう方は多いと思います。このボックスの値段は6千円台と良心的ですが、今さらこのような形で発売しても食いつくファンは少ないと思います。何故今になってこのボックスか?機を見るに敏でない、行き当たりばったりとしか言いようのない国内メーカーの販売戦略には、全く理解に苦しみますね。

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     2021/07/03

    深い深い内容です。ひとりの優しくて純粋過ぎる‘’白痴‘’の青年が周囲の人達を混乱させて行く様が私にはかえって清々しく見えました。あり得ないほど清らかな人と関わってしまったために自分の中の恐ろしい部分に気づき苦しみだすって良い事だと思うけれどな。この複雑な今の時代にこそそれ必要だと思うけれどな。
    主役俳優の森雅之のかもし出す清楚で繊細なムードのせいかもしれません。私だったらたとえ破滅してもこういう人と人生を生きたいです。それくらい今の現実が汚くて騙しばかりで嫌になってるのだと思います。70年前の公開時には失敗作だと言われたというのが信じられないです。日本が敗戦で疲れはてていて、もっと解りやすい娯楽作品が求められたのでしょうね。あ、それは今だってそうかもしれませんが。人間の根源、不可解さ、愚かさに気づかされる芸術作品は観るのが恐ろしいのかもしれないけれど、今こそ必要だと思います。この映画「白痴」が。一番大好きなフェリーニの「道」とどっちが好きかと言えば、もしかしたらこちらです。そうなりました

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     2021/07/03

    続篇も良い。むしろ、前作の泥臭さが抜け、エンターテインメント色が強くなり、洒脱で楽しめる。(映画では、総じて続篇の方が、エンターテインメント色が強くなるようだ。例えば、「忍びの者」「続忍びの者」のように)。
    印象に残るシーンは2つ。三四郎が異種格闘技戦を観戦するシーンと、かつてのライバル檜垣源之助が三四郎を訪ねるシーン。
    前者は、三四郎表情と場内の熱狂とを短いショットでつなぎ、モンタージュの効果で、ドキュメンタリーのようだ。観ている者は、自然と興奮してくる。後者は、前作で敗れて以来、やつれた姿になった檜垣源之助が、かつての因縁は捨て、三四郎としみじみ語り合うシーン。檜垣の敗者の美学が漂う。

    三四郎は、雪山の決闘で、檜垣の弟たちに勝つ。しかし、三四郎は敗れた相手にも人情をかけ、弟たちを改心させる。彼は、もはや感化を与える側の人間になった。

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     2021/07/03

    現在(当時)では失われてしまっていたシーンの幾つかがロシアで見つかったとニュースが飛び込んで来た後、2001年にはフィルムセンターでそのシーンが継ぎ足された「姿三四郎」(ゴス版) が初公開となった。迷うことなくそれには足を運んだものだった。それらのシーンがあると、やはり登場人物たちの人間味はぐっと増し、作品に幅が出て来て全体の印象までもが全く!違って来る。

    その新たに見つかったフィルムが収録されているのは、2002年 初DVD化された時の赤ボックス・ジャケット盤だけです。その後の <普及版>となっている盤では【ゴス版】は鑑ることは出来ません。
    見つかった部分だけでもつなげて、それを「普及」させるのが最良ではないでしょうか!?(それが不完全だとしても、それは黒澤が作ったものにより近づくのですから!)

    「白痴」は、熊井啓がその全長版を持つ人物にまで会って確認しているので望みはあるが、「姿三四郎」の場合は奇跡でも起きない限り、それは難しそうです。しかし「白痴」同様、完全版なるものをいつか鑑てみたいものです。ね。
    いまのところの <最長版>=【ゴス版】で是非鑑てください。それしか選択は無いかと思います!

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     2021/07/03

    黒澤監督の監督デビュー作、
    戦時中に作られた劇画タッチの作品で、充分に面白いです。

    柔道対柔術のアクションも素晴らしいです。
    矢野正五郎(大河内傳次郎)闇討ちシーンの静寂、
    三四郎(藤田進)と柔術家たちの試合では、負ける方が崩れる様に負けるのがヴィジュアル的に楽しめます。

    そして、姿三四郎と小夜(轟夕起子)のラブロマンスも微笑ましい雰囲気が漂っていて、好感が持てます。
    明治時代の世間知らずの実直な若者と清楚で可憐な娘の淡い恋 って感じがよく出ています。

    大河内傳次郎(矢野正五郎)、月形龍之介(桧垣源之助)、高堂国典(和尚)の役どころを心得たセリフ回しも凄く印象に残っています。
    只者じゃない、さすが!って感じです。

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     2021/04/25

    昔々、この本は「・・・全一冊」・・・とか言うタイトルで売り出されたものだと思います。
    当時購入したのですが、いろいろ紆余曲折があり手元になくなってしまい、再度手に入れたいと思っていました。
    そうしたところ、今も販売されているのを知り購入する事にしました。
    ・・・が、その昔々よりは眼が悪くなったので、「大活字版」を購入する事にしたのですが、全一冊が二冊になってしまい、予想以上に活字が大きく、読むには良いのですがどうにも読んでいる様は体裁が悪い。

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     2021/04/25

    知り合いが高尾山をぶち抜いてトンネルを作る無謀な計画に反対する市民団体に縁があって、その会が『虔十の会』という会だった。森を守ろう、というとってもまともな思考の会に思えた。山をぶち抜いてトンネルなど作ったら自然はおかしなことになるのは見え見栄だ。そんな会の”虔十”というのは変わった名前だなあ、何のことだろうと思っていた。

    調べてみたら宮沢賢治氏の作品の主人公の名だった。

    あるときその本を手にとって見た。

    児童向けの優しい本だったが、読むそばからポロポロと涙が落ちてきた。

    今で言えば発達障害とでもいうのか、いつも馬鹿にされ黙ってもくもくと優しい心で暮らした虔十という少年が、初めて欲しがったのが杉の苗木。それを荒地を耕して植え、やがては人々が憩い遊ぶ素晴らしい森になるという話。

    賢くて理詰めで損得勘定やら自分の理屈ばかり並べることもなく、もくもくと植えた苗がやがては人々を癒し喜ばれる森となる。

    なんと象徴的な話だろうと思った。

    なるほど件の市民団体が【虔十】の名を団体名にしたのはそういう深い思いがあったのか、と納得。

    人は自然の恩恵から切り離されては生きてはいけない。
    虔十は森が立派になるのを見届けず死んでしまったが、森の恩恵はその後もその土地が発展しても人々のやすらう場になったと言う。

    宮沢賢治氏はすでにその簡単な短い作品の中に、現代社会を生きるわれわれへの愛に溢れるメッセージを残したように思えた。

    この本の挿絵のちっちゃな虔十の絵もみていると素朴で涙が落ちる。

    ここにはとっても大切な【心】があるような気がします。

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