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Review List of 七海耀 

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  • 1 people agree with this review
     2010/11/20

    「亡き子をしのぶ歌」は聴ける。しかし、「復活」は、この曲の演奏史というか、マーラーに余程興味のある人でないと楽しめないでしょう。いかんせん、音が凄い。弦がか細いのは予想がつくけど、フルートがほとんど口笛みたいに聞こえて、思わず笑ってしまった。いや、年代を考えれば致し方ないのでしょうけれど、音楽を聴くというレベルではないです。聞くところによると、フリードは、トスカニーニも真っ青の独裁者だったらしいですけれど・・・

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  • 6 people agree with this review
     2010/11/14

    ちょっと物凄い「悲愴」である。N響は、マルケヴィチとの録音があって、あれがベストかと思っていたが、これはその上を行くように思う。この曲には、カラヤンをはじめ、数多の名盤があるわけだが、確実に5本の指に入る大演奏と思う。咆哮する金管。唸りを上げる低弦。すすり泣く高弦。どれをとっても見事である。ティンパニもただ鳴ってるだけじゃない。音量も凄い。洪水のように押し寄せる音響。最終楽章は、かつて聞いたカラヤン、ウィーンフィルとのライヴのように柔らかにはいるが、徐々に緊張感を増し、中間部では詠嘆の調べが鳴り響く。N響が渾身の力で岩城の棒に応えている。これを聴くと、ちょっと普通の演奏では物足りなくなる。それくらい素晴らしい。これを、国内だけにとどめておくのは、誠に勿体ないのではないか。広く世界に紹介すべき演奏である。岩城宏之というと、なんとなくつまらない指揮者のように思っていて、かつてN響と録音したベト全など、イマイチと思っていたが、そこへきてこれである。岩城は、5番をはじめ、チャイコフスキーの交響曲を得意としていたはずで、この録音が特にリリースされた理由は、聴いてみると、その理由が歴然である。曼荼羅交響曲のほうは、演奏を云々できるほど良く聴きこんでいないので割愛するが、とにかく「悲愴」を聴くべき録音であるのは間違いない。

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     2010/11/03

    ヴァントの複数あるこの録音の中では、最もバランスが良く、主情的でもなく、音楽の美が素直に訴えかけてくる秀演だと思う。リューベック大聖堂でのライヴも捨てがたいし、その後のNDR、ミュンヘンフィルとの録音も良いが、BPOとの録音よりは、こちらのほうが良いと思う。アダージョなど絶美である。ヴァントの同曲の録音では、何度も取り出して聞くのは、これである。最近、輸入盤で、同等の値段で、全集が入手可能で、コストパフォーマンスはそちらのほうが高いのだが、あえて全曲はいらないというなら、これで十分だろう。録音も、この盤は24Bit/96KHzで優れているし。

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     2010/11/02

    値段がたったの500円。駅売りワゴンセールの巨匠などと言われるミラン・ホルヴァートの指揮姿が見られるのは貴重かもしれない。1983年収録だが、画質はまずまず良い。画面の右端に縦の線が入るが、あえて気にしなければ問題ない程度。音は、音像が中央に集まっており、まあ限りなくモノラルに近いけど、音質自体はそう悪くない。これが3千円だったらひと悶着あるところだが、500円だから、ある意味コストパフォーマンスは高いとも言える。デ・グルートのショパンのコンチェルト2番は非常に良い演奏。ピアノの音も綺麗に録れている。オケは、小編成だが、量感はそれなりにある。微小な断続的低音ノイズがあるが、演奏中はほとんど分からないレベルなので大丈夫。シューベルトの6番がメインで、これもまずまず良い。オケも指揮者も正装だが、聴衆は入っておらず、放送用の録音かと思われる。或いは、本番前のゲネプロだろうか。500円だから、仮に気に入らなくても、精神的ショックは小さくて済むので、控えめに推薦しておきたい。なお、このシリーズに共通したことだが、トラック毎の演奏時間に関する記載等は一切ない。

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  • 4 people agree with this review
     2010/10/30

    いや、良いですね。DSDリマスタリングではないようだけれど、24Bitで、5番などこれまで出た輸入番のどれよりも音が良い。演奏も、むらなく高水準。特に、3番、4番、5番、6番、7番、9番が素晴らしい。中でも、5番〜7番は、現在でも1、2を争う名盤と言えるのではないか。Disc7と8でオケ表記が間違っているとの但し書きがついてまして、Made in EUということですが、この程度のアバウトさはあたりまえの西洋社会なんで(^_^)。しかし、6番の錯綜とした楽想が、見事に整然と響き、迫力にも欠けていない。ティンパニの音も見事に拾われている。1番と10番なら他にも良い演奏があると思うけれど、いずれも水準はクリアしている。あえて、不満を言えばジャケットはもうちょっと工夫があってもええんでないかということと、6番と3番がCD3枚にまたがっていることでしょうか。でも、結局演奏の中身が全て。

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  • 3 people agree with this review
     2010/10/30

    これは初出の時聞き損ねたので、この度の再発は嬉しい。で、演奏だが、期待を裏切らない朝比奈節、良くも悪しくも(笑)。今の大フィルなら、もっと完成度の高い音楽を聞かせると思うけど、これほど骨太で腰の据わったマーラーも珍しい。他の指揮者にこの演奏は出来ない筈。第一楽章など、極めて遅いテンポながら、スケール感は十分に出ており、中間の楽章も、他の演奏にありがちな「熱狂」とは一線を画すゴツゴツ感が特殊だが、曲趣から著しく乖離しているとは思えない。やはり聞きどころは、弦がうなる最終楽章であり、ここは朝比奈・大フィルの特質が遺憾なく発揮されている。70年代〜80年代の朝比奈・大フィルをわざわざ聞くなら、オケの瑕を云々するのは野暮というものである。朝比奈は、小澤や若杉がマーラーを録音しはじめるのと前後して、ファイアーバードから2番、9番、「大地の歌」を出しており、演奏としてもかなり早い時期からマーラーに取り組んでいるのであって、NHKでマーラーに関する講義をやったくらいだから、ブルックナーやベートーヴェンに劣らず、マーラーにも一家言あるわけだ。「巧さ」からは程遠い「味のあるマーラー」と言っておきたい。音も、フェスティヴァルホールの録音らしく、マスの響きが心地よく、定位も良い。

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  • 5 people agree with this review
     2010/10/27

    エリシュカの作る音楽の特徴は、「柔らかく溶けあう響き」というところにあるのではないだろうか。金管は主張しても「絶叫」しない。さらに、低弦をベースとした、ピラミッド状の音作り。テンポは概して遅めで、5番のスケルツォやコーダなど、もう少しリズムに浮揚感があっても良いかなとは思うが、音楽が失速する一歩手前で持ちこたえており、ある種のスケールさえ感じさせるのは、内声部をおろそかにしない職人仕事の故だろう。木管など本当にドヴォルザークの味を出しており、例えばアメリカやベルリンフィルなどの機能的なオケだとこういう風には響かないように思う。「シンフォニエッタ」も同じ傾向で、下手な演奏だとただうるさいだけの冒頭からもうすでに味があるし、ここでも分厚い低弦を基礎にした盤石の音作りが光る。ドヴォルザークにせよ、ヤナーチェクにせよ、もう少し音楽に勢いがあっても良いと思われる方もおられると思うが、いずれも「余裕」と「風格」を感じさせる大家の演奏であり、このような解釈は最近ないだけに、私は歓迎したい。オケは、ライヴということで、ドヴォルザークのコーダなど、弦が緊密でない部分が若干あるが、大きな問題ではない。DSDを採用した録音は非常に良い。ライナーノートによれば、エリシュカは、ドヴォルザークで演奏する価値のあるのは5番以降と考えておられるようだが、まあそう言わず、この際全部録音していただきたい。この人の指揮で、3番、4番も聞いてみたいからである。こうなったら、もう8番、9番も録音して、全集を作っていただきたいものである。この度の録音のように、他のチェコ系の作曲家の主要作品をカップリングするとよろしいかと思う。

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     2010/10/26

    ま、はっきり言って、これ以上の「未完成」はないでしょう。ムラヴィンスキーも良いが、いかんせん音が。しかし、これはアナログ期DGの最良の録音。鞭のようにしなり、時に鋭く咆哮し、なお且つ、深い悲しみを湛えている。大交響曲を聴いたような素晴らしい感動を覚える。スケールとおおらかさという意味では、クリュイタンス盤(Testament)も素晴らしいが、このクライバーの「未完成」は、天才のみがなしうる、至高の芸術というべきだろう。

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     2010/10/25

    ピリオドスタイルによらない、モダン楽器を使った演奏で、格別くせがなく、重すぎず、軽すぎず、よく歌う「四季」を聴きたいというなら、これで十分という気がする。バルヒェットのソロは、快刀乱麻を断つというようなものではないが、十分な技巧で旋律線を慈しみながら弾いており、オケもほどよい量感で、安心して音楽に浸れる。録音は60年代初期だが、24Bitリマスタリングが効いており、目が覚めるようにクリアである。チェンバロは一貫して右から聞こえてくるが、明瞭であり、音楽により添いながら、十分に存在感も示している。この系統の演奏としては、パールマン・ロンドンフィル(EMI)と並んですすめられるものと思う。

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     2010/09/23

    見てみると、意外と評判が良いようだが、この演奏がこれほど評価が高いのなら、宇野功芳先生のベートーヴェンだって同等に評価されてよいと思う。これまでの演奏と同じでは面白くないから、色々やってみましたというわけで、嵌ってる部分もあるが、とってつけたようにわざとらしいところもある。面白いと言えばそうだが、宇野さんと違って、プレトニョフはプロだからねえ。2番と4番が比較的成功しているように思うけど、6番なんてわけがわからん。

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     2010/09/22

    フライングレヴューです。残念ながら、追加公演として組まれたこの演奏は聴いておらず、サントリホールの最後の演奏を聴きましたが、他の方と違って、意外にも私はそれほどの感銘を受けなかった。期待が大きすぎたのかも知れない。Mr. Sと読響のブルックナーは、常任就任前の9番、就任後の6番、2番、5番を聴きましたが、就任前の9番が圧倒的だった。第一楽章でオケが危なくなる場面があったが、それが却って緊張感を高めたのか、忘れられない演奏会となった。しかし、サントリーの最後の8番は、緊密で完成度は高いが、音が広がっていかない感じがして、全体として印象が薄い。5番、6番も同様。また、実際の演奏とCDにした場合とでは、違って聴こえる可能性があるので、現時点ではなんとも。ただ、サントリーの8番は、ブルーレイディスクで出るようですね。

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     2010/09/22

    8番が1955年。9番が1953年の録音。しかし、両者ともに音の質の差はない。モノラル後期で、十分潤いのある良い録音。8番はノヴァーク版。両曲とも速めのテンポで、二枚組だが、各々一枚に収まっている。速いが、情感に欠けるかというとそんなことはなく、大変余裕のある大家の演奏である。特に9番が良い。十分に歌っているし、テンポ設定も妥当。オケもうまい。凄みにも欠けていない。なにより、音楽的である。ホーレンシュタインの両曲の録音は、BBC録音のステレオライヴ盤もあり、そちらもなかなかの演奏だが、完成度ではこちらが上かもしれない。ブルックナーは、音の条件さえ良ければ、モノでもそう不満を感じないので、カタログから消える前に入手すべきと言いたい。ホーレンシュタインの場合、あと13年たたないと、著作権が切れないので、板起こしとやらも当分出てこないだろうし。

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     2010/09/22

    「英雄の生涯」の日本の団体による録音が、ここ10年で一気に増えた。昔は、N響・スウィトナー盤くらいしかなかったが、東フィル・ハイダー(初稿)、大友・JVO(廃盤)、大植・大フィル、山下・仙台フィル。それに、朝比奈・大フィルの音源もCD化された。多分他にも数点あるはずだ。まあ、色々と騒々しいが、カッコイイ曲だし、「ドンキホーテ」みたいに練達のチェロ奏者を必要とせず、「トゥアラトゥストラ」のようにオルガンを必要とせず、「アルプス」ほど編成が大きくなく、それでいて、演奏効果が高いので、各地のコンサートで良く取り上げられる。そこで、この飯守と東京シティフィルが加わった。これは非常に良い演奏で、普段録音上気になる、このオケの弦の線の細さが目立たない。戸澤のソロも良い。この曲の決定盤は、やっぱりライナー・シカゴ響あたりかなと思うが、これまで出た日本の団体によるものでは最上位ではないか。音も綺麗に録れているし、組合せのゴールドシュミットも気が利いている。

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     2010/09/17

    弦が痩せて聞こえる。これはマーラーでは致命傷ではないかと思う(特に9番では)。日本のオケに感じる不満はいつもこれ。実演では、場の雰囲気もあって、それほど気にならないが、録音だと非常に目立つ。録音の問題とは思えない。第一バイオリンなど、まるで数人しかいないみたいに聞こえる。第一楽章もやや手探りの感じで、今一つ有機的に響かない。第二楽章も、ぎこちない。なので、土台が強固という感じがしないので、金管や打楽器がなおのこと騒々しく聞こえる。しかし、音楽自体は、第三楽章以降かなり練れてくる。最後のアダージョは、弦の全合奏で、前半では気になった弦の薄さが多少減じており、オケも渾身の力で飯守の要求に応えている。録音レベルがやや低いが、音自体は悪くない。星3つにしようと思ったが、終楽章の出来が良いので、4つ。当然ファーストチョイスには成りえない。飯守、東京シティ・フィルだから聴いてみようという気になった。

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     2010/09/16

    巨匠なんだか、二流なんだかわからない微妙な扱いのホーレンシュタインのベートーヴェンの第9。激烈な第一楽章、第二楽章を経て、端正な音を紡ぐ第三楽章。オケはまずまずうまいが、木管がちょっと雑か。最終楽章は、開始こそ激しいが、全体としては、小さくまとまったという感じである。声楽は、独唱陣、合唱ともに高水準。録音は、適度な残響を伴って聴きやすい。この時期、RCA、EMI、Deccaなどは、かなり高水準なステレオ録音をしていたはずだが、これはモノ。テンポが速いので、あっという間に聴き終える感じだ。

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