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ラフマニノフ、セルゲイ(1873-1943)

SACD 合唱交響曲『鐘』、カンタータ『春』、3つのロシアの歌、6つの合唱曲 ヴラディーミル・アシュケナージ&チェコ・フィル、プラハ・フィル合唱団(シングルレイヤー)

合唱交響曲『鐘』、カンタータ『春』、3つのロシアの歌、6つの合唱曲 ヴラディーミル・アシュケナージ&チェコ・フィル、プラハ・フィル合唱団(シングルレイヤー)

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    つよしくん  |  東京都  |  不明  |  2011年09月17日

    アシュケナージは、ハイティンクなどと同様に賛否両論が分かれる指揮者であると言えるが(ピアニストとしても)、アシュケナージに厳しい評価をするクラシック音楽ファンでも、ラフマニノフの演奏に関しては高い評価をする者も多いと言えるのではないだろうか。ベートーヴェンやブラームスの交響曲においては、過不足のない演奏を行ってはいるものの、今一つ踏み込み不足の感が否めないアシュケナージではあるが、ラフマニノフの楽曲を指揮する際には(そして、ピアニストとしてピアノ演奏する際には)、正に大芸術家に変貌すると言っても過言ではあるまい。ラフマニノフと同様に旧ソヴィエト連邦から亡命をしたロシア人であり、ピアニストであるという同じような経歴を有するということが、アシュケナージのラフマニノフへの深い愛着とともに畏敬の念に繋がっているとも考えられるところだ。アシュケナージが指揮したラフマニノフの交響曲や管弦楽曲、協奏曲、合唱曲、そしてピアニストとして演奏した協奏曲やピアノ曲については、相当数の膨大な録音が存在しているが、いずれも素晴らしい名演であり、それらに優劣を付けるのは困難であると言える。最新のシドニー交響楽団との交響曲・管弦楽曲全集(2007年)については、シドニー交響楽団の技量が必ずしも万全とは言い難いことから、他の演奏と比較すると今一つの出来と言えるが、それでもアシュケナージの指揮は万全であり、総体として名演との評価に揺らぎはないと言えるところだ。本盤には、ラフマニノフが自称最高傑作と評していた合唱交響曲「鐘」を軸に、6つの合唱曲、カンタータ「春」、そして3つのロシアの歌がおさめられているが、ラフマニノフに私淑するアシュケナージならではの圧倒的な名演に仕上がっていると高く評価したいと考える。アシュケナージは、合唱交響曲「鐘」を、1980年代前半にもコンセルトヘボウ・アムステルダムとともにスタジオ録音を行っており、それも名演ではあったが、私としては、後述の音質面をも含めて総合的に勘案すると、本演奏の方をより上位に掲げたい。そして、同曲には、デュトワやポリャリンスキーなどによる演奏以外に目ぼしい演奏が乏しいことに鑑みれば、本演奏こそは、同曲演奏史上最高の超名演との評価もあながち言い過ぎではあるまい。アシュケナージによる本演奏は、テンポの緩急、表情づけの巧みさ、ロシア風のメランコリックな抒情に満ち溢れた旋律の歌わせ方、壮麗にして重厚な迫力のすべてにおいて、これ以上は求め得ないような見事な演奏を繰り広げていると言える。このように述べると、あたかもとある影響力の大きい某音楽評論家がアシュケナージを貶す際に使用する「優等生的な演奏」のように思われるきらいもないわけではないが、アシュケナージの演奏の場合は、アシュケナージがラフマニノフの本質をしっかりと鷲掴みにしているため(というよりも、アシュケナージがラフマニノフ自身と化しているため)、本演奏こそが同曲演奏の理想像の具現化のように思われてならないと言えるところだ。これは、バーンスタインがマーラーの交響曲や歌曲を演奏する時と同様であるとも言えるだろう。正に、指揮者と作曲家の幸福な出会いというのが、本演奏を超名演たらしめた最大の要因であると考えられる。3つのロシアの歌、6つの合唱曲、そしてカンタータ「春」についても、合唱交響曲「鐘」と同様のことが言えるところであり、ラフマニノフの音楽を自らの血とし肉としたアシュケナージならではの圧倒的な超名演と高く評価したい。アシュケナージの指揮の下、豊穣で極上の美を誇る弦楽合奏をベースとした渾身の名演奏を繰り広げたチェコ・フィルにも大きな拍手を送りたい。マリーナ・シャーグチ(ソプラノ)、イリヤ・レヴィンスキー(テノール)、そしてセルゲイ・レイフェルクス(バリトン)の各独唱陣や、プラハ・フィルハーモニー合唱団も最高のパフォーマンスを発揮していると高く評価したい。6つの合唱曲におけるアシュケナージのピアノ演奏の素晴らしさは、もはや言わずもがなである。音質は、従来CD盤でもDSDレコーディングということもあって極めて良好なものと言えるが、ベストの音質は、同時期に発売されたシングルレイヤーによるマルチチャンネル付きのSACD盤であると言える。何よりも、マルチチャンネルが付いていることもあって、音質の極上の鮮明さに加えて音場に圧倒的な臨場感があるのが大きなメリットであると考えられる。2000年代初頭に発売されたオクタヴィアのSACD盤はいずれも超優秀な高音質録音揃いであり、近年のHQ方式によるSACD盤など、到底及ばないと言えるだろう。もっとも、当該SACD盤は現在では廃盤であるが、可能であれば、中古CD店などで購入されることを是非ともおすすめしておきたい。

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