交響曲第9番『合唱』 カール・ベーム&ウィーン・フィル、ゼーフリート、デルモータ、他(1944)
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slave | 東京都 | 不明 | 2019年01月27日
この時期のベームの録音は決して多くないが、大戦末期のウィーンでの録音。私は、かつて、何かの余白に収録されていたヴェルディのレクイエム(抜粋)を聴いたことがある。その演奏は、非常に透明で、澄み切った冬の空のような不思議な哀しみを湛えていた。一体、誰がどのような状況で、このような透徹した演奏を行い得たのであろうかと、急いでジャケットを見てみると、それが、ベームの44年の録音であった。その後、その録音の全曲には結局お目にかからないのであるが、この第9の演奏も全く同様のものだ。録音は恐らく放送用録音で、人数の少なさに応じて、マイクからの距離を変えて、大きくバランスを崩さないようにしたものだろうと思う。非常に美しい演奏で、コップの中で青白く光る炎のような演奏。だれもが第三帝国が終わることを知り、死んでいった多くの人々と、ウィーンの輝かしい時代の終焉をじっと見つめていた頃の演奏。この独特の哀しみは、現代の演奏家では、表現できないと思う。ベームの知られざる一面を刻んだ貴重なCDの出版に感謝したい。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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