『オテロ』全曲 シャー演出、ヤニク・ネゼ=セガン&メトロポリタン歌劇場、アレクサンドルス・アントネンコ、ソーニャ・ヨンチェヴァ、他(2015 ステレオ)(2DVD)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2017年05月11日
演出はジャケ表紙にも見える可動式のガラスの宮殿(実際には透明プラスチックか?)と今や定番のプロジェクション・マッピング(それなりに効果的)以外、特に新味なし。典型的にメトらしい保守的な舞台だ。アントネンコの題名役は確かに素晴らしい声。「トランペットのように咆哮する」というイメージ通りのオテロだ。やや太ったけど、2008年ザルツブルクに比べれば演技もうまくなったと思う。われわれはドミンゴの達者な演技を見慣れてしまったので(しかも大量に映像が残っている)、続く世代の歌手は大変だが、もともと不器用な男という設定だから何とか我慢できる範囲か。ヨンチェヴァの憂いを含んだ美声もデズデーモナにぴったり。問題はルチッチ。声自体は力強く、第2幕幕切れの二重唱などなかなかの迫力だが、盛んに悪ぶってはみても、本質的にイヤーゴのキャラでないのは明らか。こんなマヌケ男に簡単に騙されるオテロがいかにも哀れに思えるが、それはシェイクスピア/ヴェルディの意図するところと違うだろう。 メトの次期音楽監督に指名されたネゼ=セガン、この録画は指名発表前のものだが、これでヴェルディも問題なく振れることを証明してみせた。彼の音楽作りは重厚というより俊敏でシャープなものだが、『オテロ』にとって特に不都合とも思わない。むしろ私としては、ピリオド・スタイルの洗礼を受けた世代らしい斬新な譜読みをもっと見せてほしいところだが、それはまだ第1幕冒頭など散発的に聴かれるにとどまっている。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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