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モーツァルト(1756-1791)

CD 『コジ・ファン・トゥッテ』全曲 クルレンツィス&ムジカエテルナ、ケルメス、マルトマン、他(2013 ステレオ)(3CD)

『コジ・ファン・トゥッテ』全曲 クルレンツィス&ムジカエテルナ、ケルメス、マルトマン、他(2013 ステレオ)(3CD)

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    村井 翔  |  愛知県  |  不明  |  2015年01月05日

    演奏スタイルは『フィガロ』と同じ。即興的なカデンツァの挿入は華々しいし、コンティヌオのフォルテピアノは雄弁。テンポの速さも相変わらずで、序曲主部や第2幕フィナーレ冒頭では正真正銘のプレストが聴ける。歌手陣も『フィガロ』以上の充実で、ドン・アルフォンソ役がやや弱く、「恋人たちの学校」の仕掛け人としての存在感を示し得ていないのは残念だが、他はいずれも良い。ケルメスの清潔だが貧血性気味の歌はあまり好きではなかったのだが、ちょっとアナクロなほど貞操の固い姉娘にはぴったり。妹役のエルンマンは技巧の切れ味、性格表現ともに達者だ。デスピーナはそもそも見せ場たっぷりのおいしい役だが、カシアンも大車輪の活躍。ターヴァー/マルトマンの士官コンビも申し分ない。このオペラは一面では典型的なオぺラ・ブッファでもあるので、そういう面に限れば、つまり第1幕の終わりまでなら百点満点の演奏と言える。 けれども、『コジ』はそのストーリーも音楽も『フィガロ』とは比べ物にならぬほど深く、苦く、過激だ。もちろん指揮者もそれを知らないわけではなく、第2幕のドラベッラ/グリエルモの二重唱の全部、あるいはフィオルディリージのロンドやフィオルディリージ/フェランドの二重唱の一部、さらに第2幕フィナーレの一部(乾杯の四重唱)などでは歌手たちに声を張らせず、ソット・ヴォーチェのまま押し通している。ショスタコの交響曲第14番でも使われたスタジオ録音ならではの手法だが、これらの音楽における情念の深さに配慮した解釈だろう。ただ、そうした部分が全体のアグレッシヴな様式の中でやや浮き気味で、渾然一体となっていないのが惜しい。第2幕フィナーレ終盤も本来、全員が途方に暮れた状況であるはずなのだが、少し素っ気なさ過ぎる。というわけで、若干の注文はつけたが、凡百のモーツァルト演奏をはるかに超える水準の録音であることは変わらない。星は5つのままにしておきたい。

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