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バッハ(1685-1750)

CD 平均律クラヴィーア曲集第2巻全曲 クリストフ・ルセ(チェンバロ)(2CD)

平均律クラヴィーア曲集第2巻全曲 クリストフ・ルセ(チェンバロ)(2CD)

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    六里庵  |  岡山県  |  不明  |  2015年07月05日

    クリストフ・ルセと言えば、抒情性に溢れるような90年代初めのパルティータ、極度の集中力によって曲集の印象を一新した2003年のイギリス組曲などが思い起される。それからさらに時を経たルセの平均律第2巻では、全体に遅いテンポで丁寧に各曲の意趣を掬い上げ、研ぎ澄まされた一音一音によって、どの曲にも全く新たな面目を施していく。No.16のプレリュードでは、厳しい表情は一貫しながらタッチの微妙な変化によって息づきと奥行きのある作品に仕上げている。そして続くフーガの感嘆するばかりに完璧なアーティキュレーション。ジーグ風に弾き飛ばされることの多いNo.18のフーガだが、緩やかにして慈しむような演奏が印象的だ。喜遊部では、同時奏鳴にアルペジオと細かなニュアンスを紡ぎ出すコード、頻繁に入るルバートに揺れ続ける旋律に絡む少なめの装飾音が驚くほどの効果をもたらす。また、第1巻のそれと対照的に軽めに扱われてきたNo.24の、誰も思い及ばなかったような決然とした佇まい。浩瀚にわたるこの平均律第2巻にあって事ごとに目覚ましい発見に満ちている。バッハのクラヴィア曲には、イギリス組曲のプレリュードやジーグのいくつかに典型的に見られるように、一般の音楽的美の範疇からはみ出る類の、ある種メカニカルな風貌をもつものがある。平均律第2巻でもNo.20のプレリュードや、No.10、16、20、22のフーガなど、短調曲の多くにも見られる。作曲家の意図では、例えばマニフィカトにあるような怒れる神の威力といったものの表現であるのかもしれない。しかし、優れた音楽がそうであるようにそのような解釈の枠を直ちに超え出て、尋常でない何ものかとして立ち現われてくる。ルセは、そのような尋常ならざる美のカテゴリーにも正面から向きあい、解釈を与える現在最も異能の奏者と言えるのではないだろうか。一方、No.11やNo.14の柔らかな情調は往年のパルティータの演奏を思い起こさせる。典雅なファンタジアの風姿を持つNo.11プレリュードの天国的な美しさは、誰にも真似のできないものだろう。

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    mimi  |  兵庫県  |  不明  |  2014年03月08日

    J.S.Bachの音楽を生きる糧とする自分たちのような人間にとって、Bach作品の満足できる演奏に出会うことは、それこそ数年に一度もありません。特にBach鍵盤作品中で、最も難しい平均律、わけても格段に十全な演奏の少ない第2巻では、個人的には、不満を覚えなかったことは殆どありませんでした。C.Roussetの演奏、これ以上は無いくらい、隅々までが美しい演奏です。第2巻でここまでの印象は個人的には、Leonhardt以外に経験がありません。そこまで第2巻が難しい訳は、逆にRoussetの演奏を聴くとよく解ります。この演奏、前奏曲もフーガも、右手も左手も、特に音楽のすべての部分に意味付けされてない瞬間が全くありません。それは現在の古楽界において、Rousset以外はおそらく不可能な高度な演奏技術と、Roussetのルネサンスから前古典に至る、広範な演奏経験に基づく広く深い歴史的理解をもって、初めて可能となったのです。第2巻にちらばる、千年の多声音楽史の精華のような大曲からまるで古典派のショウピースのような愛すべき小曲までの恐ろしく多様な曲集を、一つ一つの曲、音楽、フレーズ、リズムについて、真に時代に則した歴史的再現を完璧な技術で実現することで初めて、このようなすべてが例えようも無く美しい第2巻となったのではないでしょうか。とにかくチェンバロでは、自分の知る限り、此れ程に深く広い歴史的背景を実感させる第2巻の演奏は、やはりLeonhardt以外は無かったし(PianoではG.Gouldが全く別方向で実現していますが)、そのLeonhardtの歴史的名盤からすでに半世紀が経ていることを思えば、今回のRoussetの演奏がこの半世紀の、Bach研究・古楽研究の成果を可能な限り生かしたさらに素晴らしいものになっていることは、言うまでもありません。第18番フーガの深い解釈、Bach晩年の鍵盤フーガの頂点を溢れるような想いで再現した第22番、そして人間として生れたことの幸福さえ感じさせる虹のような輝かしい第23番など、言葉で到底言い表せない時間がいっぱい詰まった素晴らしい名盤です。疑いなく、他の演奏と次元を異にした、Bach愛好家が滅多に出会えない、真のBach再現と思います。それにしても、現代最高のチェンバロ奏者であるRoussetが、Bachを録音し続けてくれていることは、われわれBach愛好家にとって、何と言う幸せなことでしょうか!

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