ミサ曲ロ短調 ルクス&コレギウム1704、ヴォカーレ1704(2CD)
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mimi | 兵庫県 | 不明 | 2013年10月06日
一聴して非常に好印象を持ちました。ロ短調ミサという曲は、おそらく西洋音楽の中で最も一筋縄でいかない難曲だけに、どういうタイプの演奏でも何らかの不満を抱かないではいられないと思うのですが、この演奏、決して粗いところが皆無でも無いのに、聴き終えた印象が非常に良いのです。少人数ながら合唱使用、オケもそれなりの編成を使い、必要とあらばかなり大音量を使うことも厭わないタイプですが、その演奏は極めて現代的であり、時に劇的と感じるところはあっても(これはロ短調ミサには必ずしも必要ない要素)、恣意的ロマン的な解釈は一切ありません。再現の基本はあくまで作品の(多声音楽としての)全体構造再現で、そのために時に性急ととらえられる様な瞬間もありますが、指揮者がこの巨大作品の全体構造把握をしっかり行っているため、結局聴き終えた時には納得させられています。そしてバッハ作品再現の最も困難な点である、瞬間瞬間の適切なテンポ、リズム、フレージングの選択において、これほど納得させられる演奏は稀かも知れず、それも結局指揮者があくまで曲全体構造をしっかり見据えた上で、細部に解決を与えているからであることが解ります。時にソリストなどに不安定さは感じることはあっても(ここらへんは若さ故でしょうが)、声楽・器楽ともに演奏技量は極めて高いものです。指揮者、演奏団体ともに非常に若いですが、近年これほどのロ短調ミサの演奏は少ないかも知れません。もちろん未完成の部分もあるでしょうし、これからも発展途上の演奏であるとは思いますが、それでもできるだけ多くのバッハ・ファンに聴いていただく価値がある盤と思います。1人の方が、このレビューに「共感」しています。
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