ピアノ・ソナタ第20番、第21番 ヴラダー
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2012年04月29日
80分をわずかに切るだけの長時間収録で、シューベルト最後の二つのソナタを収めている。第20番はメジューエワの録音が出たばかりだが、あちらはシューベルトらしい歌の魅力をたっぷりと味わわせてくれる演奏、そうしたアプローチに不可欠な音色の美しさも申し分なかった。それに比べるとヴラダーは各楽章とも幾分テンポが速い。文字通りの絶唱と言うべき第2楽章はもとより、比較的ノンシャラントに奏でられがちな両端楽章も鋭い劇的な緊張をはらんだ音楽になっている。第21番も第1楽章第1主題や第2楽章などでは、たっぷりしたテンポがとられているが、速くなるところは結構速い。それでも全体としては、さほど先を急ぐ感じがしないのは緩急の切り換えがうまいのと、間(ま)のセンスがとてもいいせいだろう。近年は指揮者としても活躍しているらしいヴラダー、使用楽器はモダンだが(この録音ではベーゼンドルファーではなくスタインウェイ)、音楽の身のこなしの俊敏さは、まぎれもなくピリオド様式世代の音楽家だと思う。録音のせいか、タッチの冴えがいま一つ感じられないのは惜しいが、既に名盤山盛りのこの2名作のディスコグラフィに、新たに名乗りを上げる意義は十分にある一枚だと思う。0人の方が、このレビューに「共感」しています。
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