『椿姫』全曲 P.コンヴィチュニー演出、T.エヴァンズ&グラーツ歌劇場、M.ペーターゼン、ヴァラーノ、他(2011 ステレオ 日本語字幕付)
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村井 翔 | 愛知県 | 不明 | 2011年12月12日
豪華な装置を備えた大劇場での上演が見たい人は、こんなもの論外だろうし、逆にコンヴィチュニーの仕事に興味がある人は何をおいても買うだろうから、レビューしがいのない商品ではある。ある意味ではとてもリアルだが、究極のところオペラとは高度に様式化された、アンチリアルな芸術であることを良く心得た、いつもながらのコンヴィチュニー演出。だから、舞台上にあるのは椅子一つでも立派に『椿姫』が成り立つし、最終景で舞台に残るのはヴィオレッタ一人、他の面々は客席側に降りてしまう。興味深いのはコンヴィチュニー演出の定番だったパロディの要素がほとんど見当たらないこと。死期の迫った娼婦に不器用な眼鏡のオジサンが恋するという基本設定だけで十分笑えるので、それ以上の「ひねり」は不要ということだろう。『サロメ』のように元のストーリー、さらには音楽そのものと演出が致命的にすれ違ってしまうということもない。彼の手の内は先刻承知のつもりだが、それでも「ここは、こう来るか」と思わず唸らされるようなアイデアはまだ豊富で、特に多くの論者がこの曲のクライマックスだという第2幕のヴィオレッタと父ジェルモンの二重唱は秀逸だ。しかし全体としてはカーセン、デッカー、ムスバッハ、ペリーなどそれぞれ意匠を凝らした近年の各演出に比べて「格上」「別格」とまでは言えない。この版では第2幕第2場のジプシー女と闘牛士の合唱がないのは当然だろうが、どうも気になるのは細かく音楽を削った結果、逆に流れが悪くなってしまっていることだ(特に第3幕)。ペーターゼンは他にライマンの新作『メデア』初演の舞台しか見たことがないが、さすがの歌と演技力。救いがたいヘタレ男のアルフレードは完全に演出家の意図通りの演唱。指揮とオケにもっと表現意欲があれば、全体の印象も変わっただろうが、残念ながら手堅い出来にとどまる。2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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ombredouble | 東京都 | 不明 | 2011年12月02日
ジャケット写真にも見える大きな幕(「襞」は印刷?)数枚と椅子など、僅かの小物しか使わずに進んでゆく《椿姫》.スケールダウンはしたが、「アイディア」過剰に陥らずコンパクトで効果的な舞台進行が好もしい.細かい、また大きなシークエンス丸々のカットなど、リアリティを指向するコンヴィチュニーらしい潔さで気持ちは分からなくもないが、そこがまた限界でもある. 演奏陣もそれに応え、殊にヴィオレッタは初役のマーリス・ピーターゼンが堅実な歌唱と鮮やかな演技で、コンヴィチュニーの右腕として舞台を牽引する役割を果たしている(できることなら《ルル》もソフト化してほしいけれど).アルフレード役以下も与えられた役割をよくこなしており、引き締まった指揮ともども格別なニュアンスには乏しいものの、ドイツ語圏の歌劇場でこのレベルなら御の字だろう. 付録では、足を踏みならし合唱団の指導をする(いかにもドイツ人らしく大柄な)コンヴィチュニーのリハーサル風景を見ることができる.厳しい批判に晒される大都市圏を離れ、少し生き生きしている彼を見たいなら買いだ.2人の方が、このレビューに「共感」しています。
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